11-宝探し 終了-
「……乱一」
口を切ったのは一条字さんだった。
「何を言っている、貴様。事と次第によっては、手段を選ばんぞ」
「いえ。ちゃんと理由はあります。楊瀬さん、あなたの水晶玉を見せてください」
そう言って乱は楊瀬さんに手を伸ばした。
楊瀬さんは静かにその上にUSBメモリーを置いた。
そして乱は保健室の教員用のパソコンの電源を入れてからUSBを差し込んだ。
ファイルが自動設定で開き、画面に宝箱のアイコンが移った。
「……これがどうかしたのか?」
「見てください」
と、乱が宝箱のアイコンをクリックする。
「!?」
そこの画面には青色の水晶玉が移っていた。
しかし、手の込んだいたずらのようにそのアイコンにはひびが入っていた。
「この通り、水晶玉は割れてしまっています。よって、この水晶玉は認められませんので、勝者は残り1つの水晶玉を保持している海馬さんです」
では、私はこれにて。
と、乱は扉を開けて去って行った。
「……正先輩。いつあんなことやったんですか?」
と雅が訊いた。
「……」
「寝たふりすんな」
俺はそう言って海馬の頭を軽くたたいた。
「ばれたか」
海馬は言って身を起こす。
「一番最初にあれを見つけた瞬間、これを偶然を装って楊瀬に奪わせれば、だまし討ちができるんじゃないかって考えた。だからすぐにペイントでヒビを入れておいたのさ」
「それはそれは、見事に騙されてしまいました」
楊瀬さんはそう言って笑う。戦いのときとは違い、優しい笑顔に戻っていた。
「天晴でしたよ。海馬様」
「……まあ、助けられた身だ。感謝はする」
海馬はそう言って、笑った。
海馬と楊瀬さんをしばらく保健室で休ませてから帰ることになった。だから俺たちは一旦保健室を出て、廊下に並ぶ。
「次はオイラだな」
と。
華壱は笑う。
「楊瀬さんが負けちゃったから、オイラは勝つぜ。雅」
「そうはいきません。このまま二連勝と行かせてもらいます」
雅もそう言って笑った。
笑顔。
本来敵対すべきもの同士の笑顔。
そこにはただの『楽しみ』という感情しかなかった。
何だろう……。戦いという雰囲気ではないということに少し違和感を感じていた。
「ちょっと外に出てくるよ」
俺はそんな違和感にも似た空気が少し合わなかったので、一刻も早く立ち去りたかった。だから俺は昇降口から出て、少し離れてから窓に背中を預けるようにしてもたれかかった。
「……ふう」
「どうだ。この学園は」
と。
唐突に声が聞こえた。
この声……!?
「お……お前」
振り向こうとしても振り向けない恐怖感。
「思ったよりも楽しい学園生活を送れているようで何よりだ。『残留思念』」
この呼称……やはりあの男……『希望の崩壊』……。
「何しに……来た?」
「俺はこの学校に居続けているからな。貴様の見えないところにいるぞ」
「……マジかよ」
「楽しそうに戦いをしているようだな」
「おかげさまでな」
余裕そうな発言をしているが俺の中には余裕なんて言葉はない。
いつ殺されるかわからないから寧ろビクビクしてる。
「だが気を付けるんだな。この選挙……お前たちが負けたら、俺たちの勝ちだと思えよ」
と。
男は言った。
「な!?」
「ああそう。俺と会ったことは内緒な」
じゃ。
と男が言ったと同時に、俺は気絶した。