02-宝探し-
「早……」
華壱がつぶやいた。
「どこにあったものを手に入れたんだ……」
と、籠目さんが画面を食い入るように見つめる。
「……1階の会議室からのようだ」
シオさんが言った。
「何だ、虱潰しに1階からやってるだけか……」
と安心したように籠目さんが言った。
「……そんな簡単だとでも?」
隼人が笑う。
「……どういう意味だ」
一条字先輩も言った。
が、その表情はなぜか笑っている。
「見ていればわかりますよ」
「ならば見よう」
と、全員で画面の方に視線を向ける。
海馬は階段を駆け上がる。
「……」
何階にある?どこの部屋にある?いつになったら、アイツは来る?
それを考えながら走る。
直感的に3階を曲がり、別館の方向に向かう。それからさらに上へ駆け上がる。この上にあるのは情報室……パソコン室、というわけだ。
そこにしよう。
俺の運なら間違いなくある。
「情報室に入ったな」
と、一条字先輩が言った。
カメラの映像が室内に変わる。
室内を四方から見た様子。
「見たところ、何もないようだな」
やはり、偶然か。
と籠目さんが言った。
が。
映像を見ると、海馬はすべてのパソコンの電源を入れ始めた。
『あるはずなんだ!』
海馬の声が室内にこだました。
俺の運が間違ているはずがない、俺の運がここに呼び込んだということはこの部屋のどこかにはあるはずなんだ。
この部屋にあるのは大量のUSBメモリーと何台ものパソコン。
それらすべてをチェックすれば当たりにたどり着く。
が、そんなことする必要はない!
そこまで考えた海馬は、USBメモリーの入った箱を上に投げた。
そして落下してくるUSBメモリーを一つ掴んだ。
「こいつだ」
海馬はパソコンにそのメモリーをつなぐ。
「何やってんの、海馬は」
と、華壱は言った。
「分からん。あんな中に宝箱があるわけな――」
『あった!』
と、海馬の声が映像内から出た。
メモリーの中には宝箱のアイコン。
そこをクリックすると、青い水晶玉のアイコン。
「よし……」
海馬はそのあと、少しパソコンを軽くいじってから、メモリーを抜いた。
「……何なんだ、アイツは」
と籠目さんが呟く。
「どういうことだ。王城隼人。差支えなければ、説明を頼む」
「差し支えは……まあありません」
と、隼人は言った。
「彼は運がいいんです」
「……ふざけているのか?」
「いいえ。大真面目ですよ」
「運がいい……それが奴の力ということなのか?」
今度はシオさんが聞く。
「おもしれー!なんじゃそりゃ!」
華壱ははしゃぎ出す。
「それが真実なのか、嘉島奏明、虎郷火水、音河響花、常盤雅」
「ああ」
「そうよ」
「ええ」
「そうです」
全員即答だった。そりゃあそうだ。だってそれが真実なのだから。
「なるほどな。貴様らの余裕な態度はそれが理由か」
と、一条字先輩は笑った。
「何ですか?」
「よかったよ。相手の能力がわかってな」
と一条字先輩は言う。
シオさん、籠目さん、華壱も笑う。
「その程度なら、アイツは負けん」
一条字先輩は笑った。
「……そろそろでしょうか」
校舎の外で私は一人つぶやいた。