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丸く収まったこの世界  作者: 榊屋
第七章 戦う未来とこの世界
260/324

01-宝探し 開始-

 一応、ここで新章に

 4月18日 木曜日。

 学校、特別休日。

 午前12時前。


 第一戦 庶務戦。

 楊瀬通 対 海馬正。


 ゲーム 『宝探し』

 ルール説明:校内に設置された5つの宝箱から色のついた水晶玉を手に入れること。水晶玉を獲ってから、1分以上、単独で保持した場合、保持したものの所有物ということになり『獲得』となる。先に3個の水晶玉を手に入れたものの勝ちとする。獲得した、あるいは、宝箱から取り出された水晶玉が割れた場合、『獲得』を無効とする。制限時間は無し。終わるまで戦い続ける。ゲーム開始時刻は12時。チャイムで知らせる。

 ハンデ:新入生徒である海馬正にハンデを付ける。最初の10分間、楊瀬通の行動を禁じる。



「これが今回のルールだ」

 と、一条字先輩は集まった全員のそのプリントを配った。

 当然、俺たち六人と向こう側の候補者である。

「まあ、簡単に言えばトレジャーハンティングだ。さっさと始めて終わらせろ、楊瀬」

「ルールによれば、私が行動できるのは12時10分からでございます。少々お待ちくださいませ」

 と、余裕そうな発言をする。

「……」

 海馬は無表情だ。

 このゲームの攻略法でも考えているのかもしれない。

「あまり余裕じゃないようだな、海馬正」

 一条字先輩は海馬を見て言った。

「……まあな。ハンデの10分なんかいまいち役に立ちそうもない」

「それもそうか。まあ、あきらめろ。こいつの能力はわかってるだろう?」

「どんな能力かはわからないけど、どんな効果があるかはわかっているつもりだ」

 海馬はそう言って、準備を始めた。

「運動靴で走ってもいいのか?」

「いいぞ。貴様の自由にしろ」

 一条字先輩は言った。

「……玲王」

 シオさんが言う。

「この勝負、そう簡単にはいきそうもないと思うけれど……」

「だろうな。驚くほどに冷静な男だ」

 2人は静かに会話した。


「先輩」

 と雅が海馬に近づく。

 それから

「頑張ってください」

 と言って海馬を見る。

「任せろ。運に」

「運任せ、だと?」

 籠目さんが怪訝そうな顔をする。

「まあ探索活動にある程度の運が必要ではあろうが、それだけで攻略できる戦いでもないと思うぞ」

「……忘れるな」

 と、海馬は言った。

「プリントを見ろ。これは『ゲーム』なんだよ。一種の賭け事だ。所詮は運が全てだ」

 俺はそう思いたい。

 と、海馬は続けた。

「信じてます、貴方を」

 と。

 雅は言った。

「……死亡フラグになりかねないこと言わせんなよ……」

 と言って、海馬は小さな体躯の雅の頭に手を置いた。

「任せろ。勝ってくる」

 と言った。


 キーンコーンカーンコーン……。

「行ってくる」

 海馬は言ったが早いか走り出した。

 そして昇降口へと消えていった。


「楊瀬はここに残れ。俺たちは行くぞ」

 と一条字先輩は言った。


 校内には監視カメラが設置されており、映像で状況を確認することができる。また音声も拾ってある。それは応接室で確認できるが、楊瀬さんはこれから戦うので確認することは認められてはいない。

 俺たちは一階の応接室前に到着した。

「まあ、海馬正がどんな男かはわからんが、楊瀬は強い。そう簡単に勝てる相手ではないだろう」

「どうでしょうか。それは」

 と。

 隼人が言った。

「……?」

「僕ら側は何一つ心配はしておりません」

「まあ、信頼するのは構わないが、客観的に見るのもリーダーの務めだぞ?」

「分かってますよ。そして、すぐにわかります」

 と。

 隼人は言った。

「何だと?」

 と、言いながら応接室を開けると。

 音声が漏れてきた。


『一個ゲット。さっさと次行くぞ』

 と。

 海馬の声だった。

「何!?」

 一条先輩側の候補者が一気に駆け寄る。

 そして映像を見ると。


 赤い水晶玉を上げては下ろしを繰り返している海馬の姿が画面に映っていた。

「ほら。彼は強い」

 

 

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