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丸く収まったこの世界  作者: 榊屋
第六章 誘い乱れるこの世界
242/324

14-相手取るには、役不足-


 注意:役不足の誤法はしておりません



 放課後。

 正式な書類を書いている最中だった。

「さぁ、ここまで来たぞ」

 ほとんどの記述を終えた書類を前に隼人は呟く。

 そこにいるのは俺と隼人と、そして何故か雅だった。珍しいメンバーである。

 というのも、海馬は一度家に顔を出しに行くと言い(昨日の会話で唐突に爺やにお礼を言いに行こうと決意したらしい)、音河と虎郷は当然のように洋服を買いに行ったのである。

 雅はというと、あまり服装に興味がないようだったので、今こうして俺たちと残っているというわけである。

 で、だ。

 そのほとんどの記述を終えた書類というのは、唯一2つ空欄があった。


 会 長:


 副会長:


 会 計:虎郷 火水


 書 記:海馬 正


 庶 務:常盤 雅


 と以下に続く。

 

 まあつまり、副会長と会長をどちらにするか、という議論だ。

「どうするんだ」

「どうしようか」

「もうどっちでもいいじゃないですか……」

 雅は少し眠そうな目をしている。

「いや、この議論は大切だ」

「そうだな」

「じゃあじゃんけんでもしてくださいよ」

「そんな簡単に決めて言い訳ないんだよ、ミヤビ君」

「だったら決闘でもして決めてみてはいかがだろうか」


 そう言って突然現れたのはシオさんだった。


「え……」

「まあ冗談だ。奏明、隼人。お前らがけんかしているのを見て、雅が暇そうだからやってきただけだよ」

「え、私ですか?」

「ああ。私は君のことも気に入っているよ、雅」

 てっきり、女子のことは嫌いだと思っていたんだが――。

 虎郷が気に入らないのか?

 まあ、よくわからないから質問するのもなんとなく阻まれるが。

「雅も選挙に出るのか?」

「ええ……私は雑務向きですから」

「そうか。うちの庶務も雑務向きだからな。実力選挙ではいい戦いになりそうだ」

「役職別に戦うんですよね?」

「ああ。ちなみに副会長は誰なんだ?」

 そう言ってシオさんは俺たちを見る。

「俺たちのどちらかです」

「……忠告しておこうか。一つだけ言っておこう」

 人差し指を突き出したシオさん。


「玲王には勝てない。私の婚約者は最強だ」

「……婚約者……ですか」

 そう言って隼人は少し不穏な表情を見せた。何か思うところがあるのかもしれない。

「ちなみに私にも勝つことはできないだろうな」

 自信満々――というよりは、冷静に考えて間違いない、というような表情だった。

「玲王は王座に立つ男だ。それ以外を許さない、という感じだ。だから私はそれをサポートをする役目として結婚するんだ。だから副会長になった」

 シオさんはさらにそう続けた。


 なるほど。




 これを聞いて決まった。それはきっと隼人も一緒だろう。


「シオさん」

 俺は言った。

「いい戦いをしましょう」

 俺の発言にシオさんは面食らったような表情をした。

「あと、玲王さんは僕が戦うので」

 隼人がそう言った時にはそれぞれの名前が既に書かれていた。


 会長:王城 隼人

 副会長:嘉島 奏明


 

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