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丸く収まったこの世界  作者: 榊屋
第六章 誘い乱れるこの世界
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04-舞えば乱れて、春来る-

 青春というわけですよ。

 オンマイルーム。

「うぉわ!」

 俺の体はその部屋に投げ出された。

「どういうつもり」

 ……『?』すらない、彼女の冷淡な言葉。ていうか、

「どういうつもりってどういう意味だよ」

 俺は虎郷の質問に質問で返す。

「……敵対するべき副会長にわざわざ話しかけてどうするのよ。わかってるの?こちらの情報をわざわざ与えるわけにもいかないでしょう」

 もっともな理由、だ。

 でも、その理由にはぶつけることのできる事実がある。

「俺から話しかけたわけじゃないし」

 むしろ攻撃されかけて驚いたくらいだ。

 と、そこまでは言わなかったが。

「あの人には、聞きたいこともあるし」

「……だからといって、話しをしていい理由にはならないわ」

 そう言って虎郷はにらんでくる。

 はぁ。

「言っとくけどな、虎郷。俺は巷で噂の『鈍感な主人公』じゃないんだよ。そんな使い古されたネタは俺には通用しない」

「そうね。むしろそれが多すぎて、最近のライトノベルは面白さに欠けている事が多々あるわ」

「逆にこいつは俺に気があるんじゃないか?と、深読みしすぎる主人公もいたりする。何が正解なのかわからないな――というのは置いといて、だ。俺は鈍感ではないから――」

 そう言って虎郷を見た。

「お前が怒っているのはもっと私的なことだろ?」

「……」

「妬いてんのか」

 俺はそう言って虎郷を見る。

 虎郷は突然、鋭い目に変わり先ほどより強く俺をにらんだ。

「貴方は、どうして、そういう!」

 表情や行動は変わらないが、言動は変わってしまっている。

「落ち着け、バカ」

「貴方にバカって言われる筋合いはないわ!」

「うん、気持ちはわかるけど――」

「大体、あならは」

「呂律が回ってない!」

 俺は叫んで、虎郷を強制退場させる。そしてリビングの方に向かった。


「女子めんどくせー!」

 俺はそう言って隼人が寝ているのとは別のソファーに座りこむ。

「待ちなさい!話はまだ終わってないわ」

「俺の中では解決だっつーの!誰か、助けて!」

「大変そうだね、ソウメイ君」

「女関係ならいつでも相談承ってんぜ」

 俺の発言に隼人と海馬は笑って答える。

「大体、火水は妬きすぎだよ」

「学校で女子と話しているだけで不機嫌になりますからね」

 女子二人が教えてくれた新情報!

「そうなのか、虎郷」

「彼女たちは適当に言っているだけよ。私がそんな存在なわけないでしょう?」

「嫉妬の炎ってわけか」

「だから、違うって言ってるでしょう!」

 キレる虎郷。怖い。


 夜は俺たちは普通に騒いでいた。

 虎郷を見て、ああ、もういろいろ吹っ切れたんだな、と思えて少しうれしかったのだが。


 次の日、俺は人生初の修羅場を経験する。


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