04-右手と左手の変則-
注意 ややこしいので気を付けてください。
目が覚めると、母と兄と妹がいた。
「・・・・・・母さん、響也、奏・・・・・・」
「・・・・・・奏明・・・・・・!!」
俺は体を起こした。
「お兄ちゃん!」
「うぉわ!」
まずは奏。
目からは当然の如く、涙が溢れている。
「奏明・・・・・・お前、心配かけんなよ・・・・・・!!」
疲れたように椅子にへたり込む響也。しかし安堵の表情も伺える。
「良かった・・・・・・。お父さんが居なくなって、響があんな調子で・・・・・・奏明までそうなってしまったら・・・・・・」
母はそう言って俯いた。
涙をこらえているようだ。
「・・・・・・ああ」
心配かけたんだな・・・・・・、と思った。
「・・・・・・ありがとう」
俺はそう言って、しばらく安静にしているように医師から言われたので、そのままベッドに横になった。
その後、健のことを聞いてみたが、あの場所には俺以外には誰も居なかったらしい。
健は肉体と精神、そして体力や・・・・・・この左手ごと、俺の中に入っていったということか。
俺はそのまま天井を見た。
健とは会話できないけれど、俺の中に・・・・・・そしてこの左手にアイツは残っている。だから、それでもいいか。と俺は思うのだ。
さて。
後はアイツの意志に沿うだけだ。
面白い事には進んで首を突っ込んで、助けられる奴は絶対助けてやる。
勝手に色々やってやる。
そう思って俺は天井を見た。
回想終了っと。
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結論から言わせてもらえれば。
端的に言って、残ったのは『嘉島』ということになり、消え去ったのは『健』ということになった。
だが、これは俺の能力が未熟だった所為だろう。
俺の左手で送信された『俺』という情報は、俺という存在以外は空っぽだった『健』の体を蝕むように広がっていった。
そして異常が起きたのだ。
『健』の意志が俺の体に入り込み、そして矛盾が無いように健が解釈した。
つまり『健』はこう考えている。
自分は昔から、『右手に力を持った』嘉島で。
出会った『左手に力を持った』健が、俺(すなわち嘉島)を助けるために自らの存在を送ったと。
彼と俺の中での錯覚が置き、この世の中には最初から『君長柄 健』という人間は居ない事に等しくなったのだ。
まぁ、難しい話をして理解してもらえるとも思っていない。だから、簡潔にこれだけ分かっていて欲しい。
この物語の語り部である『彼』からすれば俺は『タケル』だ。
しかし本当は俺が嘉島だ、ということだ。
俺達の記憶の相互関係が、何らかの不和を起こしたということだろう。
以上、終わり。
以後宜しくお願いします……かね?
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訂正すべき事項だった場合、意見を優先して訂正させていただきます。