「内紛しちゃいかんのか?」「いかんでしょ」(3/5)
ーーーー織田三七侍従信孝、岐阜にて家臣を粛清。
同時に謀反の疑いにて、織田中将信忠に出頭を指示、
さもなくば追討するとの命を織田政権の名に命ず。
「ーーーーーーーは?」
その一報を聞いた際は、間抜けながら、そのような一言しか出てこなかった。
なぜそんな事が起きたのかが分からない、初めは笑えない不謹慎な冗談かと思ったわけで。
複数のルートから全く同様の情報が入り、後に岐阜より召喚の書状が届き
間違いなく事実である事が判明すると、
あまりに唐突で意味不明な事態に重臣一同が清州に集まり、今後の対応を考える事になった。
「いやあ……このまま何事もなく過ぎる事はあるまいとは思っていましたが、まさか
こんな巫山戯た事をしてくれるとは、やって下さいましたな、あの三七様は」
そう開始早々言い始めたのは蒲生氏郷。ニコニコと笑みを浮かべながら、目は全く笑っていない。
とても分かりやすく、キレていらっしゃる。
「それで中将様、いつよりあのすかした青二才に天誅を与えに行かれますので?」
「少し落ち着かんか、忠三郎(氏郷)」
この場で最年長かつ筆頭家老の前田利家が氏郷を窘めるように押し留める。
「家中の重臣たるものが一時の感情で物事を決めて如何とする。
まずは、情報を集めねばなるまい。現状では三七様が家臣を誅殺された事と、
中将様の謀反の嫌疑が脈絡がなさすぎて意味が分からぬ」
「それを明瞭に説明する事無く、『謀反の嫌疑あるがゆえ岐阜にくるよう』などと実の兄に
命じているのが、もはや此方を舐めくさっている証拠でありましょう」
現状、怒り心頭で突出した意見になりがちな氏郷を利家がなんとかなだめようとしている
会議にになっている。というか、全然会議が進まない。
個人的な心情としては氏郷側ではあるのだが、
怒りよりも『なんで?』といった思いの方が強いのが現状正直な所だ。
情報の到着の速度的に、家臣の誅殺と自分事信忠の召喚は同時期に行っているようだし、
なぜそのような話の流れになったのかがとんとピンとこない。
「されど、又左殿。貴殿は中将様がこのような扱いを受け、織田家臣下としてなにも思わないのですが」
「ーーー儂が、何も思うてないとでも思っているのか、忠三郎」
利家の粛とした声に、場がしぃん、と静まり返る。
すげえ、たった一言で怒りを鎮めて大人しくさせたよ。
ていうか怖え!こっちまで威圧の殺気がビリビリきてるんですけど!?
流石父信長に仕えて30年近く、母衣衆筆頭として数多の戦場を駆けて武功を挙げ続けてきた
戦国武将は伊達じゃない。
戦国武将って一言で『破っ!!!」』って空気を震わせれるような人ばっかなのだろうか。
「皆々様方」
それまで黙して語らずいた利治が手を挙げ皆の視線を集める。
「……申し訳ございませぬ。全て私の落ち度にございます」
そう言って、斎藤利治が全員の前で頭を下げた。




