20
マーベルさんが移動して少し時間を空けて、俺たちも市場に向かった。
首都ほどじゃあないにしても、メリコの市場も結構賑わっている。
内陸にあるためか魚関係を見かけることはほとんどないんだが、その代わりに肉、野菜は種類が多い。たぶんそうだろうっていう認識だが、ハーブやスパイスも見かける。
そう考えると、カレーやシチューみたいな料理がどこでもあるっていうのは納得かもしれない。
ノーラ大陸自体が農業や畜産業が盛んって一面もあるんだろうか。
まあ、そんなことは今はどうでもいい。
いや、自分が思っておいて、そういう風に話題を切り替えるのもどうかとは思うけど。
問題は例の二人組。
「キリ、マーベルがいたよ」
「ああ、見えた」
市場に入って、ざっくり30メートルくらい入ったところにマーベルさんがいた。
いつものバカデカリュックを召喚していて、露店のスタイルで商品を広げているらしい。
リュックのおかげで、位置が分かりやすくて助かる。
「だとすると・・・」
たぶん、何かあった時に逃げやすく、例の二人を捕捉しやすい位置を考えたんだろうと思う。
人混みが多い中で、俺たちが監視するにも程よい距離感。
「あの店がいいかな?」
近くにカフェがあった。店内とテラスで席が選べるらしい。
こういうところも計算に入れているのか?
だとしたら、あの人、相当できるな。
まあ・・・今更のような気がするが。
「とりあえず、あの店にしよう」
店に入って席を確保しつつ、
「・・・コーヒーを一杯お願いします」
と、適当に注文。
すぐに外に目をやり、
「わたしのは?」
「そうそう都合よくミルクを準備しちゃくれんだろ・・・大体、腹減ってんのか?」
今までが特例だったんじゃないか・・・と思うんだけどな。
「今は大丈夫かな?」
「だったら無くてよろしい」
水分を取るとトイレが近くなるし、必要ないならなくていい。
どっちにしろ、ヴェロニカのトイレは近いから気を遣わなくてもいいかもしれないが。
「今のところ来てはいないようだねぇ」
「ううん」
さすがにすぐには現れちゃくれんか。
というより、市場に立ち寄るかも定かじゃないわけだし・・・
「まあ、気長にやろうか」
例の二人のことが分からないにしても、それはそれで仕方がない。俺たちだけで調査をすることにそもそもの限界がある。
これは俺たちに得はないが、マーベルさんが商売で得をするかもしれない。収穫の違いはあるが、ちょっとでも前向きに考えようじゃないか。
「テレパシーで探ろうとしたのだけど、すぐに消えちゃうから捉えられなくてねぇ」
拳銃で狙おうにも、照準を合わせる時間がない・・・ってところか。
「その点は仕方がないとしても、問題は危険感知に引っ掛かってるってところだ」
何で連中はこっちに気付いたんだ?
俺たちは完全に初対面。ボーマンが協会スタッフを使って調査してくれて、初めて分かったわけだし。
だが、連中は何故か俺たちを知っている風だ。
「当たっているかどうかは分からないけれど」
「コーヒー、お待たせ致しました」
ヴェロニカの見解が述べられようとすると同時に、コーヒーがやってきた。
こっちで飲んできたコーヒーとは少し香りが違う気がするが、これはそういう豆の影響か?
「どうしたの?」
「いや、続けてくれ」
コーヒーの香りに気を取られた。
「向こうも危険感知持ちかもしれないね」
「・・・なるほどな」
危険感知は自分に敵意がある存在を感知するスキル。
まあ、マンガやゲームがある程度分かっている奴はすぐに察するような内容だ。
俺は別に敵意があるわけじゃないんだが、警戒はしていた。
警戒すると黄色信号が点灯するっていう性質上、こっちの視線や意識はしっかり向いている。
相手が危険感知を持っているなら、俺に対して感知してもおかしくはない。
「だとすると厄介だな・・・」
となれば、マーベルさんの周りどころか、ここにも現れないだろうな。
少なくとも、今も信号が点滅している可能性もある。
「ある程度の距離があれば、引っ掛かりはしないだろうけれどねぇ」
その範囲も感覚だけでしか分からないから更に困る。
ざっくりでもいいから、例えば10メートル以内で感知するって分かればやりようがあるんだが。
まあ、そういう点は仕方がない。この仕様は直るもんでもないし、こっちの悩みは向こうの悩みでもあるだろうし、条件は一緒。
これでやっていくしかない。
「上手くやりたいなぁ」
やっていくしかないが、イケてないことも事実。
少しでも相手より上手く立ち回るために、工夫が必要だ。
また課題が増えたなぁ。
「・・・現れないねぇ」
「まあ、じっくりやろう」
まだ監視を始めたばかりだし、どうせトカゲとクモの解体が終わるまではここで足止めだ。焦っても仕方がない。
「・・・ああ、そうだ。ちょっと話があるんだけど」
時間もあるし、そこまで根を詰めて監視もしなきゃいけないわけでもない。
話をしておきたいことがあったから、この機会に話させてもらおう。
「どうしたんだい?」
「俺らを脅すのはやめてくれないか?」
そう、ニギのクモ退治で脅された件。
俺はあれをとにかくやめてほしい。
「脅しているわけじゃないのだけれどねぇ」
「いや、ヴェロニカのアレは十分脅しだよ」
ライターの火くらいならまだしも、大型モンスターを一発で吹っ飛ばす火力・・・あれが脅しじゃないわけがない。
俺も大概だが、マーベルさんもトカゲの件では相当怯えていた。俺だけがおかしいわけじゃないことも分かっている。
これは早いこと折り合いをつけておかないと、続くと面倒なことになる。
「ああいうのは良くないぞ」
「だって、ああでもしないとキリは森に行かなかったでしょ?」
「そりゃ当たり前だろ」
「面白そうなのに、行かないともったいないでしょ?」
「・・・ううん」
なるほどなぁ。これは説得のするのに骨が折れる。
分かってくれるまで何本骨が折れることやら・・・
「・・・まず、勘違いしないで欲しいのは、俺が行くことを渋るのは、危険だからってところが大きい」
「それは違うでしょ?キリは危険を一番嫌うもの」
「そりゃ危ないのは誰だって嫌だろ」
巨体の割に動きは速い。効果速度が速い糸で相手の動きを封じる。毒針だってある。
単純な戦闘能力だけじゃなく、複数で単独で動いている的を確実に仕留めるチームワークもある。
はっきり言って、地球のタランチュラだって真っ青な能力だ。あれを危険じゃないなんて思う奴がいれば、そいつは相当なバカか大物かのどっちかだな。
・・・目の前の赤ちゃんは大物のほうだな、こりゃあ。
「ありゃあ、誰だって危険だよ。受ける奴がいないのも納得だ」
「だから面白そうじゃない。討伐できたらお金も入るし、しばらくの旅費にもなる。キリの経験にもなるし、わたしも楽しめる。全員が幸せじゃない」
こいつ・・・バカみたいな火力だけじゃなくて、知恵もあるから厄介だな。
こういう子供がいたら、親も頭を抱えるんだろうか?
ただ、そういうことはある程度想定はしているわけですよ。
「全員が幸せって言ったけど、俺は別に幸せじゃないぞ?」
「そうなのかい?経験を得ていけば、スキルポイントも増えていく。今よりもっと活動しやすくなるのだけれど」
「俺が言いたいことはそういうことじゃないんだよなぁ」
コーヒーを一口飲んで、カップをテーブルに戻す。
「俺は別に経験なんて要らないんだよ。そりゃ確かにもうスキルポイントは無い。すっからかんだ。これから先どうしようかなぁなんて考えないこともない。ただ、優先順位が低いだけ」
「優先順位?」
物事には優先順位がある。
例えばキャンプ道具を一式揃えるとする。
キャンプに必要な物をざっくり挙げるなら、雨風を防いで安全に寝るスペースとなるテント、寒さから身を守る寝袋、暗闇でも活動可能とする照明、薪や食べ物の処理をする刃物類、荷物をまとめるカバンなんかだ。言えばもっとあるけど、ざっくりそれらを挙げる。
キャンプは楽しむレジャーの一面がある一方で、強固な家と違って屋外で寝泊まりをする必要がある。つまり、外で寝るわけだ。
前提条件として、外で寝るわけだから、寝られる環境を整えなければいけない。
生き延びなければいけない・・・死んだら楽しい思い出も全部パーだ。
「野営を例に挙げたが、俺が生き延びるために最優先とするのは寝袋、テント。次に刃物だ」
「雨風は体温を奪う。寒さなんて言わずもがなだね。だからキリはマーベルから良い物を買ったんだよね。でも、刃物はどうなんだろう?わたしはあまり重要性を感じないのだけれど」
「刃物はヴェロニカには要らないかもな。俺は必要なんだよ」
この場合の刃物は、包丁じゃあなく、薪割りをするための物を指す。
「炎さえ作ることができれば、暖を取れるし、物を焼ける。完全には無理だけど、生命維持がある程度できる」
あと、野生動物や虫を追い払える。これも地味に生存に必要な要素だ。
俺はヴェロニカと違って火の魔法を覚えてない。覚えていればこれは必要ないんだが、今回の話の場合、魔法がないことが前提として話を進めている。
「生き延びることを最優先とするなら、食べることよりも寒さの対策をするべき・・・ヴェロニカの場合、楽しむことが最優先になってる」
色々得なことを言っちゃあいたが、最終的には面白そうってところに重きを置いている。
「ヴェロニカがしなくちゃいけないことは何だっけ?」
「・・・親を探すこと、だね」
そう、と小さく頷いてやり、コーヒーをもう一口。結構うまいな。
「そこを最優先とすべきだ。それに必要なことは何だ?」
「親に関する情報、旅費の確保、旅の手段かな」
「その通り」
なんだ、案外分かってるじゃないか。
「だから、モンスター退治なんて後回しでいいんだよ」
「でも、ポイズンスパイダーを討伐すれば、報酬をもらえる。素材もマーベルに売ればそれもお金になる。旅費の確保という面はクリアできるでしょ?」
ヴェロニカが言うことも理解できる。
理解できるが、
「旅費はクモの一件よりも前にある程度目途がついた可能性がある。ランドリザードが解体中だろ?」
あ、とヴェロニカは目を丸くした。
お気づきのようですな。
「あれ、結構イイ額になるかもしれん。詳しい額は受け取らないと分からないとしても、一泊や二泊で無くなるようなもんじゃないだろう。素材だってある。あれだけでもある程度、やってはいけるかもしれない」
ヴェロニカ個人の資産もあるし、そこまで気にしなくてもいいんだろうが、
「旅費は気にしなくてもいいし、旅の手段だって歩いていけばいい。時間は掛かるだろうけど。他人と同行することを良しとするなら、行商の連中と移動したっていいし、ドッシュを借りてもいいしな」
ドッシュだったら、スピードも安定感もある。もしかすると、ランドリザードから逃げるのも簡単かもしれない。
今考える話じゃないが、ドッシュを買い取って足にするのも悪くないな。その場合、餌代とかの管理は考えないといけないが・・・
まあ、今はいい。
「とにかく情報を手に入れないことには始まらない。クモ退治なんか行ってる場合じゃないんだよ。それに」
「それに?」
「次、ああいうのと戦うことになっても、生き残れん」
ランドリザードも大概だが、クモもヤバかった。
正直、生き残ったのも運によるところが大きいだろう。
「あんなモン、素人が戦う相手じゃない。その辺の大人とケンカするほうがよっぽど楽だ」
何せ、集団で襲い掛かってきて、しかも毒の針や糸っていう遠距離攻撃もある。
マーベルさんがヴェロニカと戻って来るのが少しでも遅れたら、俺もレンタルのドッシュも危なかった。
ありゃあ、この辺りの戦闘職が避けるのも頷けるもんだ。あんなのを面白そうだからって理由で狩るのはどうかしてる。
「別に、付き合わないわけじゃない。ただ、マーベルさんはどうかは知らないけど、俺は素人なんだ。野営の知識や技術はラヴィリアの連中より上かもしれないが、それ以外は素人なんだよ。ああいうのを相手にするのは危険すぎる」
「・・・そうかもしれないね」
「そうかもじゃなくて、そうなんだよ」
ヴェロニカは簡単に吹っ飛ばせるけど、矢面に立つのは俺だからなぁ・・・
「例えば、資金が苦しいとか、行く予定の道を塞がれていて迂回ルートがないとか、そういうこと以外は避けるべきだ。戦う必要性があるなら、俺も何かしら戦う技術を習得しないといけない」
戦う技術って何だろうな。
鞭の技術、ナイフの技術、攻撃手段、体捌きとか?
これも今後の課題なんだろうなぁ・・・
「これは脅しと受け取ってもらってもいいけど」
「なんだい?」
「今後、脅してきた場合、容赦なく俺はお前を置いて立ち去る」
「え!?酷くないかい?」
まあ、酷いとは思うが。俺も思うところがあるにはあるが。
「こっちに来てしばらくは仕方がなかったけど、今はパスポートもあるし、ある程度の世界観も分かったし、金を稼ぐ手段もあるし・・・」
そう、旅を続けていく中で、生活できる環境を最低限確保できた。
こう言っちゃあ何だが、いつでもヴェロニカと別れて活動できる状態だ。
それでも一緒にいるのは、
「俺を拾ってくれて、今まで色んな面で助けてくれたから、一緒にいるんだ。所謂、恩ってやつ」
助けられてなかったら、森の付近で野垂れ死に・・・なんて想像も簡単だな。
金の問題もあるし、ランドリザードから助けてくれた恩もある。一緒に旅をしているわけだし、少しずつでも恩を返していけたらいいか、なんて思ってはいるが。
それでも我慢の限界がある。さすがにああいう無茶振りが続くと、付き合いきれない。
「俺も命が惜しいからなぁ」
「一応、君は向こうで死んでいた可能性はあるけれどね」
「そこを突かれると痛いが、拾った命でも大切にしていきたいし」
ラヴィリアであっても、生きていけるなら生きていきたいしなぁ。そのために避けられるリスクは極力避ける。それが当たり前だろ。
「俺は物語によくある、剣が得意な勇者でも、魔法が得意な賢者でもない。その辺りにいる一般人。無理なものは無理なんだよ。それが分かってくれないなら、切るしかないよな?」
「・・・まあ、そうだよね」
今こんなところで捨てられて困るのはヴェロニカ本人だ。
浮遊スキルもあるが、街中をうろうろ飛べるわけもないし、ミルクやトイレの補助をしてくれるヤツがいない。生活力は全て俺とマーベルさん頼り。
俺は赤ん坊放置の十字架を背負うことになるだろうが、それはそれ、これはこれだ。
「別に、今すぐ縁を切るってわけじゃない。少なからず、今も恩を感じてもいるし、関わっちまった以上、ヴェロニカの親のことは気になるからな」
知ったら、どうなるのかくらいは気になる。映画を途中で切り上げるのと一緒だ。
俺は案外、行くところまで行くタイプらしいし・・・
「・・・分かったよ。気を付ける」
ふう・・・分かってくれた。
それでもやるってなったらどうしようかなと思っていたんだが、元々賢いし、自分の置かれた状況やリスクも分かってくれる。
ただ、自分の好奇心のほうが勝っていただけ・・・と思いたい。
ああ、コーヒーがうまい。
「すいません、おかわりください」
熱弁したから喉が渇いた。張込みも時間が掛かるし、もう一杯いただこう。
「あれから来たのかな?」
「・・・どうだぁ?」
向こうも警戒はしてるだろうし、市場に用があるのかどうかも定かじゃないしなぁ。
「・・・あ!」
*
「あら」
いらっしゃった。
店を出してそこそこ時間が経った頃、例の二人が市場に入ってきた。
私も商売人の端くれ。一度見た顔は忘れないようにしている。
間違いなく、例の二人。
問題は私に興味を持ってもらえるかですが、
「いらっしゃい、そこのお二人さん。何かお困りのことはありませんか?用立ててみせますよ~」
そこはやってみないと分かりません。
「・・・俺たちか?」
おや?
「お困りごと、あるのですか?」
「・・・まあ、困ってはいるかもしれないけど」
掛かった!
「もう市場は見て回られましたか?他のお店で無い物でも、用立ててみせますよ」
このまま引き付けて、探っていく。
「・・・頼んでみる?」
「・・・むう」
見た感じ、歳は三十歳前後か?もしかすると二十代後半かもしれませんね。
明らかに怪しいとまではいかなくても、それなりに身なりは整っている。それなりに経験を積んだ雰囲気も感じられる。
「なんなりと」
正規の軍人、もしくは傭兵の類・・・?それとも別の何か?
どちらにせよ、見た目だけでは分かりませんね。
「・・・なら、バチの実は無いか?」
「バチの実ですか?」
もう少し探りましょうか。
「バチの実なら扱っていますが、どういった用途でお使いで?」
リュックの中からバチの実が入っている瓶を取り出すと、
「家事に使う予定なのよ」
「そうなんですね。てっきり黒魔術師の方かと思いましたよ」
バチの実はとある地方でよく取れる木の実の一種。
料理に使えば香りが立ち、湯船に入れれば体がよく温まるという、火や熱に反応する特殊な木の実。
これを香り袋のような物にまとめて相手に投げつけ、炎魔法を当てて爆発させる・・・といった使い方もできる。炎魔法の威力が弱い黒魔術師がよくする、火力増強の手法の一つ。
「あなたには関係ないわ。一瓶、おいくらかしら?」
どちらがそうかは分かりませんが、黒魔術師がいるのは間違いなさそうですね。
「一瓶、五千フォドルです」
「おい、高くないか?」
「こちらは品質の良い商品でして、一般流通している物よりも効果が高い物なんです。高いのはそのためですよ」
品質が高いのは間違いないですが、値段はだいぶ盛りました。
これでどのような表情になるのか見たかったのですが、少し見えました。
少なくとも、男性のほうは好戦的な印象。少し乱暴の気配もありますね。
「今年はあまり採れなかったようですし、他のところでも高い可能性はありますが・・・」
バチの実は安定して採れますがね。
「・・・ちょっと手が出ないな」
「安くならないかしら?」
「そうですねぇ」
よしよし、この調子です。
このまま情報を更に引き出せれば。
「他の商品も購入していただければ、お値段は考えさせていただきますよ」
他に何を欲しがるのか?
それによって分かることもありますが、
「もういいだろ」
男性が切り上げようとしている。
「バチの実に五千フォドルも払えんだろ。あくまでも保険だし」
「使うかもしれないでしょう。必要経費だわ」
会話の様子からして、男性は倹約家、女性は仕事に忠実・・・といったところでしょうか?
少なくとも、経費と言う言葉が出る辺り、何らかの組織に属していると見えますね。
もう少し情報を引き出せれば・・・
「・・・ん?」
男性のほうの視線が私から別の方向へ向いた。
市場の外・・・?
「いたぞ!!」
はい?
「あそこだ!!」
指差す先に、喫茶店が一件・・・
喫茶店!?
「フレアバレット!!!」




