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ファンタジーな世界ってこんな感じなんですか? ー起こることは現実的で心が折れそうですー  作者: ナツオ


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「どっ、どういうこった・・・!?」

「びっくりしたねぇ」

 俺とヴェロニカは床に転がっていた。

 体を起こして周囲の状況を確認してみる。


 俺たちと同様、びっくりしているスタッフたち。

 同じ空間でのんびりしていた客たち。


 そして、突如としてブチ破られた、俺たちの席の側の壁と窓・・・


 なんで俺たちがフレアバレットを撃ち込まれにゃならん!?


 *


「な、なにを!?」

 思わず、声を上げた。

 怪しいと警戒してはいても、まさか魔法を撃つ・・・しかも、カフェに攻撃を直撃させるとは思わない。

 いきなりの炎魔法は驚かされた。

「あんた、何してんの!」

「例の奴だ!」


 例の奴・・・?


「探している、あの?」

「おお、そうだ!だから撃ち込んだんだよ!行くぞ!」

「ちょ、ちょっと待って!」

 状況を整理しましょう。

 撃ち込んだ彼が黒魔術師である可能性はある。威力からしても、恐らくジョブは選んでいてもおかしくはない。てっきり女性の方がそうだと思ったのですが・・・

 一方の女性は謎のまま。

 二人とも同じ人物を探している。

 その対象がキリヤさんである可能性が高い・・・


 高いですが、一体なぜ?


 *


「とにかく、伏せろ!あんたらも!」

 向こうは攻撃する気満々・・・危険感知も真っ赤。次の攻撃もあるだろう。

 俺たちもそうだが、周りの人間も危ない。

 とりあえず、床に伏せさせて、

「ったく、冗談じゃないぞ・・・!」

 壁際に移動して、背中を壁に当てる。

「キリ、危ないんじゃないかな?」

「見た感じ、壁は安全そうだ」

 窓枠、ガラスは吹っ飛んでいるが、壁は焦げ付いているだけで崩れてはいない。

 今のところ、壁は安全だと推測できる。まあ、相手が手加減している可能性はあるし、絶対的に安全ってことはないだろうが・・・

「・・・距離が嫌な感じだな」

 連中、こっちとの距離を詰めてきている。

 確実にこっちに気付いているし、

「わたしかキリ、もしくは両方に用事があるみたいだねぇ」

「・・・ですなぁ」

 危険感知の様子からして、敵意があるのは確定しているわけだし、俺たちに用事があるんだろうが、それにしても手荒すぎないか?

 いきなり町中でぶっ放すか?

 嫌でも人目につくし、メリコの警備隊なんかに追われるかもしれないのに?


 リスクを無視して攻撃する理由があると見える。


「攻撃してきたなら、攻撃してもいいよね!」

「お前はダメ」

「えーっ!?なんで!?」

 魔法対決をするならヴェロニカに任せたいところだが、それこそこっちも人目につく。

 威力はこっちが上だと思いたいが、やって倒せるかどうかも分からない。

「お前、そこにいるのは分かってるんだ!!出て来い!!」

「おーおー・・・」

 随分、男の方が攻撃的だなぁ。

「キリ、マーベルの思っていることを読み取れたよ。男は黒魔術師の可能性が高いみたい」

 そりゃあ、フレアバレットを効果的に使うなら、どう考えても黒魔術師一択。

 だが、威力を考えないなら黒魔術師でなくても覚えることはできる。

 一概に黒魔術師とは言い切れない。その辺りはマーベルさんも考えてはいるようだが・・・

「女のほうは不明みたいだけれど」

「・・・近づいてくるな」

 道路側に向き直って、吹っ飛んだ窓から一瞬顔を出して状況確認。

 女が手前に出てきていて、男が奥にいる。

 女の方が接近戦をするのか?

 位置関係からしてその可能性が高いけど、確証がないなぁ。

「キリ、この前言ってたこと・・・やるかい?」

 アレかぁ・・・

「練習してないぞ。大丈夫か?」

「じゃなきゃ切り抜けられないよ。後ろにも人はいることだし、言ってる場合じゃない」

 確かに、後ろにはスタッフも他の客もいる。

 自分から提案しておいてなんだが、俺も変なリスクを背負うんだよなぁ・・・

「だがまあ、仕方がないか」

 提案したのは俺だし、ヴェロニカも協力的だし、やらないって方向はないわな。

「うっし・・・じゃあ、やるか」

 ヴェロニカを抱っこ紐で背中にしっかりと固定して、

「ワクワク!」

「いくぞ」


 俺たちは店のドアから外へ。


「よう、あんたら。俺に何の用だ?」

 表はちょっとした騒ぎ・・・パニックほどではないが、逃げていく奴もいれば、何事かと野次馬になっている奴もいる。

 店の正面に立ってみると、

「・・・本当にいたのね」

「だから言ったろ」

 二人の立ち位置は変わらない。女が手前、男が奥。

 やる気満々って感じ・・・なのは男のほうか?

 まあ、今はそんなこたぁどうでもいい。

「俺に用事があるなら、堂々と話しかけに来たらどうなんだ?店に火の玉、撃ち込む必要ないだろ?」

 パンツのポケットに両手を突っ込んで、仁王立ち。

「お前・・・随分威勢がいいじゃあねぇか」

「そりゃお互い様だろ」

 あんたも大概、威嚇してるけどな。

 俺が威勢よく見せてるのも、そういう立ち回りだからだよ。

 さっきまでどうやってやり過ごそうかって考えていた人間だとは思えないだろ?

「素直に用件を言えないような内容かい?」

「・・・黙ってついて来れば、乱暴はしないわ」

 ローブを羽織っているからてっきり魔術師かと思ったが、身構えた感じはそれじゃあないな。たぶん。

「・・・どうも、穏やかに済みそうな感じじゃないね」

 足を肩くらいの位置まで開いて、

「あんたらがどこの誰なのかなんて興味ないが、やるってなら容赦しないぞ?」

 右手をポケットから出して、二人を指差す。

「あんたらが先に手ェ出したんだからな」

 この威嚇で諦めてくれたらいいが、

「いいだろう。黙ってついて来なかったことを後悔させてやる」

 まあ、どう考えても俺の方が格下だからな。あの二人からしたら。引くってことはあり得ない。それくらい想定してる。

「後悔するのはあんたらだよ」

 俺の指先に、炎が生まれた。

「お前も黒魔術師か!」

「炎対決といこうぜ」

 男も両手を前に突き出して、炎を球体に形成していっている。

「ちょ、ちょっと・・・あっちのほう、あんたのより大きくない?」

「は、はぁ?」

 俺の指先でどんどん大きくなっていく火の玉は、もう成人男性一人分くらいの大きさ。

 一方、相手のほうはその三分の一くらい。

「どうせ見せかけだ!!」

 ちょっとビビっているようだが、

「どうかな?」

 こっちもここまで来たら止められない。

「フレアバレット!!」

「フレアバレット」

 ほぼ同時に、魔法が放たれた!


 ドボッッ!!!


 なんとも独特な衝撃音。

 まるで中身の無い物同士の衝突のような・・・

 火の玉同士の衝突って、こういう感じになるのか?

「うっ、ぐぐっ!」

 火の玉同士が押し合っている!

 だが、奴のほうがしんどそうで、

「ほらほら、どうしたどうした?その程度か?」

 煽ると同時に、こっちが放ったフレアバレットがぐいぐい押し込んでいく。

「ちょ、ちょっと」

 女もさすがに分が悪いと気付いたらしく、

「吹っ飛べ」

「よ、避けろ!!」

 ボキュッ!!

 こっちが放った火の玉が、男が放ったそれを撃ち抜いた。

 猛スピードで飛んでいくそれを、二人はそれぞれ飛んで避けた。

「よっ」

 まるでタクトを振るうように指を空へ向けると、その通りにフレアバレットが動き、空へ飛んで消滅した。

「ふっふっふ、どうだい?わたしの攻撃は?」

 背中にいるお子様のどや顔が手に取るように分かる。


 フレアバレットを覚えていない俺が何で使えているか?


 答えは簡単。発生源はヴェロニカで、俺が撃っているように見せかけているからだ。


 どうやら、ある程度遠距離で発生させることができるらしく、自分のちょっと先・・・今回の場合、ヴェロニカの位置から俺の指先で発生させたわけだが、そういう芸当もあるようだ。

 まあ、全員ができるかと言われたら分からんらしいが、それはそれで使える芸当。

 こうすることで、ヴェロニカが発生させて、俺が撃っている・・・っていう演技ができるわけだ。

 ヴェロニカの攻撃力を使わないのはもったいない。というより、使わないとやっていけない場面は出てくる。今回が良い例だろう。

 俺だけの力でどうすることもできないから、使えるものは利用していく。

 俺も慣れない戦闘をする必要もないし、ヴェロニカも普段の鬱憤をぶつけられる。ある意味最高の対処法じゃないだろうか?

 ただまあ・・・

「お前・・・まさか、ここまでの魔法を使えるなんてなァ・・・!」

「油断も隙も無いわね」

 二人の表情がより引き締まって見える。

 ・・・これの弱点は、敵意がガッツリ俺に向くことだ。

 本当は俺がやってるんじゃないのに・・・

「まだやるかい?やるなら容赦しないぜ?」

「もうちょっと撃ちたいなぁ」

 破壊衝動に駆られてないか・・・?

 あんたら、このまま逃げてくれたほうが絶対にいいぞ!

「魔法を使えるのは分かったわ。でも」

 ローブの裾を払って、女が詰め寄ってきた!

「接近戦はどうかしら!」

 きらりと光る物が見えた。

「キリ!」

「ん!」

 ナイフだ!

 こいつ、盗賊か!?

「そういうのは―――」

 ベルトパッドの鞭を引き抜いて、

「やめてもろて!!」

 走って来る女の足元に革紐を打ち込んで牽制!

「ちっ」

 スピードを殺して止まって、バックステップで距離を開けていった。

「ちょっと厄介なコンビだねぇ」

「全くですぞ」

 黒魔術師と盗賊のコンビか・・・後方支援と接近戦が揃ってる。

 今のところ助かっているのは、魔法の威力はヴェロニカが勝ってるってところか。

 前衛の機動力に関しちゃ、残念ながら俺の負け。俺は大体のことが中の下、良くて中の中くらいの実力。走るスピードも言うほど速くない。

「魔法で仕留めるしかないね。鞭で進路妨害して、その隙に仕留めよう」

「左手で攻撃するようにするけど、できるな?」

「もちろん。わたしだからね」

 何でこの赤ん坊はここまで自信たっぷりなんだ?ホント、羨ましいわ。

「黒魔術師のくせして、鞭を使うのか・・・!?」

「とにかく撃ち込んで!あたしが接近する!」

 ナイフを抜いた女盗賊がまた距離を詰めてくる!

「積極的だなぁ、あんた!」

「誰にでもこうじゃないわよ!」

「冗談通じるんだな・・・!」

 鞭で払おうとするが、

「フレアバレット!!」

 左側に走りながら、黒魔術師がフレアバレットを撃ってきやがった!

「キリ、左手をそっちに!」

 結構難しいこと言うじゃない!?

 右手の鞭で盗賊の相手をしながら、左手で別の奴に狙いを定めろってか!

 でも、やるしかないのが辛いところよなぁ!!

「フレアバレット・・・!」

 瞬く間に形成された炎が、魔術師に向かって発射された!

「右側がお留守なんじゃないの?」

「キリ!!」

 気付けば、女盗賊が二メートルのところまで詰め寄っていて、

「ぅおいっ!?」

 苦し紛れにスピードウィップを繰り出す!

「くっ!」

 革紐を弾かれた!

「やるじゃない!」

 また距離を取ってくれれば助かるが、そうはならん、と・・・

「あっち行ってくんない!?」

 鞭で盗賊を追っ払いながらでも、どうしても感じてしまう。

 戦う経験がないって、こういうところにも響いてくる・・・!


 というより、人と戦うことを想定してないよ、俺は!!


 ランドリザードやらポイズンスパイダーは成り行き上相手にしたし、これからもそういうことはあるだろうと覚悟もしたし、少しずつ経験していかないといけないと計画していたところではある。

 それはあくまでもモンスター相手だ。人は想定していない。

 こっちでも人を傷つければ罪になるんだろうし、殺そうなんて思わない。

 だが、これも覚悟しないといけないってなると、相当キツイぞ・・・

「キリ、大丈夫かい?」

 そこまで体力使ったつもりはないんだが、やるかやられるかの緊張感ってのは相当体力を削ってくるな。

「こりゃあ・・・」

 長期戦はできない。

 まあ、長期戦は向こうも望んじゃないだろう。

 周囲の状況からして、相当騒ぎになってる。野次馬も多くなってるように見えるし、慌ただしい動きもあるように思える。

 恐らくは、

「分かってるよ、キリ」

 次の攻撃で仕留める。

 あいつらもそう思っているはずだ・・・と思いたい。

 あいつらがバカじゃなければ、だが。

「ヴェロニカ、俺が考えてること、動き・・・よく読めよ」

「分かってるよ、キリ。キリこそ、しっかり動いてね」

 それも重々承知ですわ。

「詰めるわよ!!」

 盗賊が革紐を避けながら接近してくる!

「こっちも次で決めてやるぞ!」

 黒魔術師がデカい火の玉を作り始めている・・・!

「・・・冗談は」

 俺は鞭を操りながら、

「こ、こいつ!」

「顔だけにしとくんな!!」

 黒魔術師に距離を詰める!

「俺を直接叩きに来るとはな!」

「さっさと撃って焼きなさい!」

「言われなくてもそうする!」

 今にも撃たれそうだが、

「そうは問屋が卸さんってやつ!!」

 スピードウィップで黒魔術師の両脛をしばく!

「ぎゃあ!?」

 体勢が崩れた!

 丸々と大きくなった火の玉が、明後日の方向に向かって飛んでいった。

「ちょ、ちょっと!」

「次は―――」

 左手を女盗賊に向けて指を差し、

「あんただ」

 分かってるよな?ヴェロニカ。

 ここは必殺のアレだぞ?

「分かってるよ、キリ!」

 指先にぎゅううっと炎が収束していく。

「なっ、あう」

「フレア―――」


 こいつで吹っ飛べ!!


「バレット!!」

 もう少し詰められたらナイフが届いていたかもしれない・・・って距離。言っちまえば、至近距離っていうレベルの距離で、大きくなった火の玉が放たれた!

「うっ!?」

 真正面からフレアバレットを受けた盗賊は、そのまま火の玉と一緒に近隣の建物に吹っ飛んで壁に打ち付けられた。

「かはっ!!」

 ・・・ありゃあ、痛いぞ。

 下手すりゃ、乗用車と正面衝突くらいの感じだ。

 俺も、こっちに飛ばされなかったら、ああいう風な感じだったのかなぁ・・・

「キリ、あっちのほうも忘れないようにね」

「そうだな」

 黒魔術師はこかしただけだし、

「動くなよ」

 革紐を手早くまとめて、左手で牽制しつつ近づく。

「動いたら撃つ。あんたの連れと同じ目に遭わせてやるぜ」

「今遭わせてもいいけれどね」

 こいつ・・・止めを刺そうとしてるな?

 まあ、仕掛けてきたのはこいつらだし、酷い目に遭っても言い訳できないけどな。

「ぐ、うう・・・!」

「あんたら、どこの誰だ?何で俺を狙った?素直に話さないと」

 色々気になる点はある。あるこたあるが、あり過ぎる。


 とにかく、狙われる理由を知らなきゃ話にならん。


 狙うくらいだから、何かしら問題があるんだろう。

 それが怨恨なのか、ビジネスなのか、他の何かなのか・・・

 答えによっちゃあ大事になるが、逆に今置かれている状況を把握できる。

 問い質さないと。

「俺をあんまりナメるなよ?あんたの相方がどうなったか見えるか?」

 建物の外壁に激突してのびている。

 脅すには十分な威力を見せつけたはず。普通ならビビるはずだが・・・

「俺がそう簡単に言うとでも思うか?」

 ・・・普通じゃないな。

 強がりか、大物か、それとも俺たちよりももっとヤバい奴が後ろにいるのか?

「ほう、そうかいそうかい」

 たぶん、後ろに誰かがいるんだな、これの場合。

 ただのチンピラにしちゃあ、盗賊との連携はそこそこできてるように見えるし・・・

「じゃあ、喋られるようにしてやろうか?」

 指先に火の玉を作ってもらう。

「撃ってもいいけどねぇ」

 それはちょっと待ってもろて。

 こいつには喋ってもらわにゃならん。のびてもらっちゃ困る。

「どうする?もろに食らうか?俺のフレアバレット」

「わたしのだけどね」

「さあさあ、どうす―――」

 今まで消えていた反応が一つある。

 それは鈍く点滅し始めて、一気に赤に変わった。

「あいつ・・・!!」


 あの女盗賊、起きやがった!!


「調子に乗って・・・!!」

 危険感知が真っ赤に反応・・・!

「必死かよ・・・!」

 ナイフを構えた女盗賊が突っ込んでくる!

「まずはあっちか!?」

「キリヤさん、後ろ!」

 盗賊にフレアバレットを撃ち込もうと振り返ったんだが、黒魔術師がフレアバレットを撃とうとしていた!

 マーベルさんが呼びかけてくれなきゃ、気付かなかった!

「こいつ・・・!」

 左手は盗賊に向けている。鞭で切り抜けるしかない!

 スピードウィップで黒魔術師の腕を弾くと、

「カットブレード!!」

 盗賊が詰めてくるのも速い!!

「スピードウィップ!」

 切りつけようと振りかぶった腕をしばくと、

「ちっ・・・!」

 体勢を崩せた!

 今なら倒せるか!?

「スモーク!!」


 ぼふっっ!!


「なっ、んじゃ!?」

 いきなり煙が発生・・・!?

「こいつは・・・!」

 煙幕か!!

 煙は大量に発生している・・・もう二人の姿が見えない!

「キリ、風で吹き飛ばすよ!」

「おう!」

 ヴェロニカが両手を広げると、強風が発生!

 発生した煙を吹き飛ばすと、

「・・・ちっ」

 二人の姿はもうなかった。

 煙幕で目を眩ませて、その隙に逃げていったか・・・

「危険感知で見つからないかい?」

「・・・もうそれらしい反応はない」

 煙幕を消し飛ばすのにそこまで時間は掛かっちゃいないはずだが、もう射程距離外まで逃げたのか?

 こういうことを見越して準備していたようじゃないし、苦し紛れだな、ありゃあ・・・

「キリヤさん!」

「キリヤくん、大丈夫か!?」

 市場のほうからマーベルさんと、ボーマンたち協会スタッフが走ってくるのが見える。

 マーベルさん、俺たちが戦ってる間にボーマンを呼びに行ったんだな。

「とりあえず、どうにかなったな・・・」

「だねぇ」

 命はあるし、怪我もしてない。生き延びることだけを踏まえると上出来だが、問題もある。

 どうやら、俺たちを狙っている誰かがいる。

 単純に俺だけなのか、それともヴェロニカなのか、はたまた両方か・・・

 どっちにしても、ろくなもんじゃないのは確かだな。

「ふう、久しぶりにすっきりしたねぇ!」

 ・・・悩みが増えた俺を他所に、おんぶしている赤ん坊が、満足そうにしていた。

「また来てくれないかなぁ・・・今度は別の魔法を使いたいねぇ!」

「・・・左様ですか・・・」


 こっちはそれどころじゃないんですけど・・・

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