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「はぁ・・・」
キャンプ地で起床・・・
疲れはまあ・・・不思議とない。
ある程度野営慣れしてるとは言っても、疲れがなくなるまでってのはなかなか難しい。
しかも、今は純粋な野営じゃない。作戦行動中のガーベラ陣営。
ガーベラさん配下の連中が夜中も警戒してくれているし、いざって時は動けるようにしてくれている。
気持ち的にだいぶ楽。
それはそれで要素としてあるとは思う。
だが、それにしても疲れがないような気がする。
普段そこまで激しい運動はしないほうだから、昨日のコアトル戦での消耗は大きかったと思う。
筋肉痛は覚悟していたが、思いの外それがない。
ジェシカに回復魔法を使ってもらったわけでもないし、寝る前のストレッチなんかは習慣にないし、そういうスキルを取ってるわけでもない。
何にせよ、ちょっとやそっとで筋肉痛をはじめとした不具合が起こらないようにできるわけでもないわけだ。というわけで何もせずにそのまま就寝したわけだが、その割に何もない。
何か昨日あったか・・・?
なんか不思議な感覚だ。
「おはようございます」
マーベルさんがすでに起きていて、食事を載せたトレーを持ってきていた。
「今日は朝から忙しいですし、早く済ませてしまいましょう」
「あ、はい」
「まだジェシカさんが起きてきていないので、そろそろ呼んできますが」
よかった。俺が最後じゃなかった。
別に悪いことじゃないんだが、なんとなくよかった。
「キリヤ、起きたか」
今後はオニキスか。
「おう」
「朝くらいはゆっくりさせてやりたいが、できるだけ稼いでおきたいんでな」
早速仕事か・・・コーヒーの一杯くらい飲ませてほしいもんだが、そういうわけにもいかないか。
「まあ・・・しょうがない」
寝袋から出て、ラグの上に座って、
「じゃあ、聞こうか」
「すまんな」
オニキスはラグに上がらず、その場で片膝を突いて地図を広げた。
「斥候たちにモンスターの種類と生息域を調べてもらった。まとめたのがこれだ」
「どれどれ」
文字がよく分からんから何を書いてあるのか分からん。これは本当に困る。
だが、生息域だけは分かる。
「こいつは?」
「ああ、そうか。文字が分からんのか」
「まあね」
オニキスは事情が分かってたな。こういう時、話が通じると楽だなぁ・・・
「そいつはデントオーガだな」
「あいつか・・・」
ボスゴブリンくらいの体格の人型モンスター。
一応、あれとは戦ったこともあるし、やり方は分かっている。
だが、
『あの程度の小物ではな・・・』
狼はお気に召さないようだ・・・
『一応、そこそこの獲物ではあるが、確かに軽いほうではある』
今回ばかりはアポロも厳しい、と。
「こいつは?」
「カッターマンティスだな」
『軽い』
あれも結構厳しいような気もするんだが、神様は手厳しいな・・・
『もう少し上を狙える。少年はそれなりに動けるようになっている』
評価もしてくれている分、なかなか文句も言えんな・・・
「こいつは?」
「そいつは・・・うぅむ」
オニキスが言い淀んだ。
「・・・どした?」
「そいつはパワードグリズリーというやつでな」
グリズリーってことは熊か・・・
『なるほど、ヤツか』
狼の反応が良さそうなのが気になる・・・
「こいつは中型クラスか?」
「ああ、そうだな。だが、前に挙げた二匹とは格が違うぞ」
「ほお」
「動きはそこまで素早くはないが、とにかく力が強い。ゴブリン程度とは比べ物にならん」
確かに熊ってそういうイメージがあるな。パワー系っていう。
ただ、あいつらも本気出せば車と一緒くらいのスピード出せるからなぁ。あまり素早くないってのも、オニキスが言うと当てにならん。
『少年、これを狩れ』
・・・そう来ましたか。
『人にとって力は脅威だが、動きの隙を突けば勝てん相手ではない。実力としてもちょうどいいか、多少格上程度。課題としては十分である』
対等か格下くらいが個人的にはちょうどいいんだが・・・
『格上と戦わねば試練にならん』
おっしゃることもごもっともか。辛い話だ。
「オニキス、こいつを狙う」
「大丈夫か?そこそこ手こずるぞ」
「やんなきゃいけないらしいんですよ、残念ながら」
俺の都合もおかまいなしでな。まあ、大した都合なんてないんですけど。
「ま、腹ごしらえしてきますかな」
「そうおっしゃると思って持って来ましたよ」
マーベルさんが朝飯を持ってきてくれた。
「助かります」
「オニキスさんもどうぞ」
「ああ、どうも」
オニキスはそのまま飯を食うらしい。
こっちは落ち着かないんだが・・・
「そう言えば、疲れはどうだ?」
いきなり話が変わったな。
「疲れ?別に大したこたないが」
「そうか。さすがはガーベラ様だ」
「・・・ガーベラさん?どういうこった?」
何であの人が関わる?
「ガーベラ様の舞を見たろう?あれは癒しの舞だ」
「へぇ、癒しの」
「体に残る疲れ、受けたダメージを癒す。そういう技だ」
踊り子とかだったっけ?
なるほど。単純に踊るだけじゃなく、そういう効果があるってわけか。
どおりで随分楽になったわけだ。
「感謝するんだな」
食べ終わったオニキスは立ち上がり、
「どうするんだい、あんたは?」
「俺は周辺の中型を狩る。お前さんと同じさ」
手をひらひらと振りながら去っていく。
まあ、一頭でも多く狩るってところは俺たちと同じところか。
「ここからは俺たちだけか」
作戦を共にする話はなかった。
俺の目的を踏まえれば一緒にいてもらわなくていいんだが、それはそれで何となく思うところはあるけども、まあ、それはそれだ。
「さて、やりますか」
フォークをトレーに置いて、
「作戦だ」




