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最強の少年聖騎士、転生者を狩る〜研ぎ澄まされた技で、チートを凌駕する〜  作者: 宇奈木 ユラ
第6章 交易都市の死闘(後編)

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ACT.190 "最優"vs貴金の転生者(Ⅱ)

 一瞬の隙をついて振り返ったカリンが、異能で硬貨を射出する。

 ライの足元へ向けて放たれたソレは、威嚇射撃的な意図が大きい。

 兎に角、美少女相手に躊躇いなく殺しにくるイカレ騎士の足を少しでも止めたかった。


 ──ガンッ!


 威嚇目的の攻撃は狙いも雑である為に、ライには命中することはなかった。

 自身の足先寸前で、鈍い音を立てて砕けたタイル。

 例え当たらずとも、その威力の攻撃を走っている最中にされたのなら、普通は慄くもしくは次を警戒して速度を緩めそうなものだが──ライ・コーンウェルは残念ながら普通じゃない。

 一切の減速をすることなく走りながら、手にした剣を肩と首の間に挟めて片手を空ける。

 そして、背中にあった鞘を掴んでカリンの足元目掛けてブーメランのように横投げした。


「おぅあっ!?」


 足を絡めて転倒させる為に投げられた鞘を間一髪で飛び跳ねて躱わした彼女は、一拍遅れて噴き出る冷や汗を拭う余裕もなく叫ぶ。


「イカレてんのかテメェ!?」


 本当に容赦がない。

 障害物や曲がり角を利用しながらカリンは悪態を吐く。

 罠を張ったポイントは直線距離でいえば大した距離は離れていないが、直線競争だと勝ち目が無い為にわざと回り道をしなければならない。

 疲労感で吐き気さえ覚えはじめた頃、カリンは足をもつれさせて転倒する。

 場所は、屋敷正面玄関のすぐ横側。

 なんの変哲もない──警戒心を起こす要素は皆無。


 裏の裏。


 転生者殺しのプロである粛清騎士ならば、罠を張るべき場所を察するなぞはおそらく造作もないだろう。

 だからこそ、敢えて罠を張るには不向きな場所をカリンは選んだ。

 ここの地面の下には、レジーを唆してわざわざ造らせた特殊合金製の槍が何本も埋まっている。

 相手が上を通った瞬間に、自身の異能で槍を操って出現させて串刺しにする作戦だ。

 無論、ここで転んで見せたのも作戦のうち。

 あの粛清騎士から見たならば、狙撃に失敗して逃げ出してとうとう転倒してしまった哀れな獲物──くらいにしか見えていないだろう。


「(さぁ、来い! ぶっ殺してやる!)」


 口元に浮かびそうになる笑みを堪えて機会を伺うカリン──────成る程ね。

 異能(どくしん)を用いて不自然な目論見に勘づいた俺は、身体の主導権を奪い槍が埋まっている箇所の寸前で足を止めた。

 長柄の槍をわざわざ密集させて埋めているとするなら、真上以外へは動かしようが無い。

 空中にあるのなら四方八方から自由に振り回せるだろうが、土の中じゃ土の質量に邪魔されてしまう。

 硬貨程の大きさなら、異能の出力にもよるが強引に土中を動かせたかもしれないが、槍くらい表面積が大きいモノなら流石に厳しい筈だ。

 つまりは、この真上を通らなければ槍は使えない。

 無理に使おうとするなら、一度地中から出した上でというワンアクションを挟む必要がある。

 変にアレンジを加えず、硬貨を埋めた方が良かったモノを。


「槍を埋めたのは悪手だね」


 俺はわざわざそう口にして、兜の内で意地悪くほくそ笑んだ。

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