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ポチ「+亜門」の逃走劇

最近筆が乗ってる。

「おーい!早く!置いていくよ!」

「おっと、ドリムが呼んでる。」

「行くぞ、亜門君。」

「はい!」

「アルファ先輩。ちょっと聞いてもいいですか?」

「なんだい?亜門君。」

「それはですね。ポチ先輩は何処にいるんですか?」

「後ろから着いていっているよ。」

「でも、アルファ先輩。二匹居ますよポチ先輩。」

「え?そんな馬鹿な。」

そう言いアルファ先輩が後ろを振り向く。

そして、動揺しながら話す。

「え?ちょっと待って、ホントだ。マジで二匹いる。」

「どうしようかな?」

「じゃあ、自分がポチ先輩呼びに行きますよ。」

「あ、待って!亜門君。」

「なんですか?」

「行っちゃ駄目だ。」

「何でですか?」

「だってほら、僕達お忍びでこの世界に来てるでしょ。」

「確かにそうですね。」

「だからね。あまり噂になるようなことは控えたいんだ。」

「噂になるってどんなことですか?」

「この状態は、二重の意味でヤバいんだ。例えば、あの二匹の内でマルコを引き当てたとするだろ。」

「はい。」

「そうしたら、絶対に亜門君マルコに話しかけるだろ?」

「まぁ、そうしないと何処かに行ってしまうので。」

「でもな、客観的に見たら相当怖いぞ。犬が喋っているし、それと会話している亜門君も怖く見える。」

「そんな、酷いですよ。」

「仕方がないじゃないか。見ているのは、僕達だけじゃないんだからさ。」

「で、でも二匹の内でポチ先輩じゃない方を引き当てたらどうなるんですか?」

「普通、犬は喋らないのに話しかけている変人だと思われる。」

「けど、この世界にも獣人とか喋る犬型のモンスターとかがいるかも知れないじゃないですか。だからなんとも思われないですよ。」

「いや、それは無い。」

「この世界には、犬型のモンスターはいるけど愛玩動物だし喋らない。しかもこの世界の獣人は人に近いから二足歩行だ。」

「詳しいですね。」

「初めてじゃないからね。」

「でだ。どうする?」

「自分に聞かれても分からないですよ。」

「じゃあ、ここは僕がとっておきの策を披露しよう。」

「ちょっとここで待ってて。」

「はい。分かりました。」

「他の先輩達にも伝えときますね。あとポチ先輩一号とポチ先輩二号の監視も。」

「ありがとー亜門君!」

「どういたしましてー!」

遠のいていくアルファ先輩を見ながら、亜門は先輩達に事情を話した。

「ポチが二匹だって!?」

「まぁ、落ち着きなさいドリム。アルファがなんとかしてくれるらしいから私達は何も気にしなくてもいいじゃない。」

「田中のことだ。気にしなくてもいい。」

「まぁまぁ、落ち着いてください。先輩達、直にアルファ先輩も戻ってくるので。」

5分後。

「おーい!帰って来たよー!」

「あ!噂をすれば。」

「こっち来てくれ亜門君。

「良し、じゃあ亜門君手を出して。」

「まぁ、はい。」

「はいこれどうぞ。」

べちゃ。

亜門の手のひらにドロドロしたものが乗る。

「わ!なんですか?このベチャベチャしたもの。」

亜門が興味本位で嗅ぐ。

スンスン。

「臭ぁ!!」

「な、なんですか?この、魚臭いけれど獣臭も漂う物体は!」

「犬の餌だよ、さっきの売店に売っていたから買ってきた。」

「良くこんな臭いもの売れるな。」

「この世界では、結構人気の商品なんだよ。」

「嘘っだぁ。」

「でも、犬の餌を買ってきたのは良いもののどうするんですか?」

「それはね、まず僕がマルコ一号、亜門君がマルコ二号の方に行って餌を与える。この時、餌を食べなかったらマルコ、食べなかったらマルコじゃないと判断する。」

「確かにそれだったら、ただ犬に餌を与えている人にしか見えませんね。」

「じゃあ、亜門君。早速実行しようか。」

————————————————————

「ほーれ、マルコ。餌だよー。」

ニマニマした笑顔で、アルファが餌をマルコ一号の目の前に置く。

ベチャ。

すると、ポチ一号が目を輝かせて、吠える。

「ワン!」

「良し!食べていいぞ。」

アルファの待ての指示が無くなった瞬間、ポチ一号はまた吠えて勢いよく食べ始めた。

「ワン!ワン!」

ガツガツ。

「お!食べた!」

「ということは、こいつはマルコじゃないな。」

「じゃあそう言うことで、マルコ一号!餌は全部食べていいからバイバイ!」

そう言いマルコ一号に背を向けた、その時。

「アルファ?」

「え?」

「君は...カールかい?」

「そうよ。久しぶり。」

「そう...だな。」

「ここじゃ、周りの目がある。場所を移そう。」

「えぇ。話したいことが沢山あるからね。」

————————————————————

アルファがマルコ一号に餌をあげていた時、亜門もマルコ二号に餌を与えていた。

「ほーら。この世界で一番人気の犬の餌《ヘドロ》だよー。」

そう言い、犬の餌《ヘドロ》が載った手のひらをポチ二号に近づける。

ぬちょ。

「あ!ごめんごめん。」

「犬の餌《ヘドロ》が毛並みにちょっと付いちゃった。」

「チッ。」

「ん?何か聞こえたような。気の所為か。」

「まぁ別にいいけど。それよりポチ二号、食わないの?犬の餌《ヘドロ》。」

しかしポチ二号は亜門のことを完全に無視して、下を向いている。

しかも、犬の餌《ヘドロ》が付いた所を。

クンクン。

「臭!!」

「え?」

「てめぇ、何がこの世界で一番人気だ!ふざんけんな!こんな、くせぇーもの食えるわけねぇーだろ!」

「い、犬が喋った!?」

「だから何で、驚くんだよ!知ってんだろ喋れるって!」

「しかも、犬じゃねぇし、狼だし!」

「おー。怒涛のツッコミ!」

「ツッコミじゃねぇ、説教だ!」

「ちょっと、ポチ先輩落ち着いてください。周りにバレたらどうするんですか。」

「おぉ、スマン。」

「兎に角、ポチ先輩が見つかって良かったです。」

「あもきゅん、一つ聞いていいか?」

「あもきゅんではないですけど、何ですか?聞きたいことって。」

「お前、アルファ達と一緒に居たはずだろ?なんでこっちに来てるんだ?」

「え!?ポチ先輩気づいていなかったんですか?ポチ先輩と全く同じ姿の犬が居たんですよ。」

「それでだな...。」

「ポチ先輩ちょっと待ってください。」

「何か視線を感じませんか?」

「そんなバカなここは路地裏だぞ。」

「アハハ、気の所為ですよね。」

チラッ。

亜門が振り向く。

そこには、中年くらいのおじさんと青年が歩いてきていた。

「ポチ先輩ヤバいです。」

亜門は青年達にバレないように小声でポチに状況を伝える。

「ポチ先輩、後ろから中年くらいのおじさんと青年が歩いてきています。」

「なので、ポチ先輩には犬の真似をしてください。」

「そうしたら、犬に餌を与えている人間としか思われえないので。」

「ヤダ。」

「な、なんでですか!?」

「我は、狼ぞ。犬畜生とは、違う。」

「そんなこと言わないでくださいよ。」

「クク、亜門よその考えは甘いぞ。どうせバレる。」

「何で、バレるですか?」

「我は、真似が苦手だからだ!」

「本当に、犬なの?」

「狼だ。」

「とりあえずこのままだと普通にバレるので、下手でもいいので犬の真似してください。」

「真似をしないと、新種のモンスターとして討伐されるかもしれないですよ。」

「むぅ、致したがない。」

「ほら、ポチ先輩。来ましたよ。早く犬の真似を。」

「ワンゥーンワンワン、ワンゥーンワンワン。」

それは、犬と言うにはあまりにも似ていない鳴き声だった。

なにせ目は完全に虚無だし、壁に寄り掛かって前足を組んで言っていたからだ。

路地裏には、五秒の静寂が流れた。

「すぅーふぅー。」

亜門は呼吸を整え、冷静に状況をポチに伝える。

「ポチ先輩、失敗です。あの人達、自分達のことガン見してます。」

「どうしますか?」

「逃げるしかないだろう。」

亜門達は逃げた。

幸い、ガル達と合流する場所を話していたので行き先には、困らなかった。

しかし、亜門達が逃げるのを青年達が追っていた。

ガンギマッた目で。

「はぁはぁ、ポチ先輩!」

「ヤバいです!あいつらめちゃくちゃ足速いです。」

「あぁ、薬物でもやってハイになっているようだ。」

「と、とりあえずガル先輩達とこのまま合流すると確実に騒ぎになりますね!」

「だから、撒きましょう!今すぐに!」

「分かった!」

————————————————————

20分後。

「はぁはぁ、ふぅー。ポチ先輩なんとか逃げ切りましたね。」

「あぁ、不幸中の幸いか曲がった角の先に、市場があって良かった。」

「ほら、ポチ先輩見てください。犬の餌《ヘドロ》が売ってますよ!」

「てめぇ、殴られてぇのか?」

「すみません。」

「まぁ、そのことは置いといて。とりあえず、ガル先輩達と合流しましょう。」

「そうだな。」

更に5分後。

亜門達は、一つの店にたどり着いた。

「ここが、ガル先輩達との合流の店、酒場《アルスの森》か。」

「早く入ろう。この店からはいい匂いがする。」

亜門が店の扉を開けると奥の席にガル達が座っていた。

「おっ来たか!新人!」

「さっきぶりです。ガル先輩。」

「マルコは見つかったか?」

「見つかりました。」

「あれ?田中の姿が見えねぇが何処に行ったんだ?」

「さぁ?」

「ポチ先輩、アルファ先輩が何処に行ったか分かりますか?」

「あぁん、知らねぇよ。だってさっきまでお前と行動していたじゃねぇか。」

「確かにそうですね。」

「田中のことだ。一応合流場所は伝えてあるんだろ?だったら待つしかねぇな。」

————————————————————

亜門達とガル達がアルスの森で合流していた時。

アルファは、カールと共にある店に訪れていた。

「ここに来るのも久しぶりね。」

「そう...だな。」

アルファ達が訪れた店...酒場《メルト》は、首都アルス・メメントの端の店である。

当然、端の方にある店なので、人はあまり来ない。

「懐かしいわね。」

「あぁ、昔は討伐が終わった時によくこの店に皆で集まったっけ。」

「あの頃は、本当に楽しかったわ。」

「...。」

「...。」

「ねぇ、アルファもういいじゃないあのことを話してくれても。」

「もう、あの出来事から三年も経つのよ。」

アルファは息を吐き、深呼吸をした。

そして、重い口を開いた。

「奇遇だね、自分ももういいかなって思ってきた所なんだ。」

「話そうか、カール。三年前のシーカー殺しの迷宮で起きたことを。」

次は、アルファの過去編です!

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