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君におとりになってほしいんだが?

 意識が朦朧(もうろう)とする中、上条がこっちに走ってくるのが見えた。

 まさかこいつ、僕を助けようと……

 だが、このリアル女の体重の圧力は尋常ではなく、上条が来てもびくともしなかった。


「おっと、上条くんは動いちゃダメよ。動いたら東條くんを潰すわよ」


 脅しをかけるリアル女。

 その言葉に上条は足を止める。

 ていうか、もう潰れてるっつうの。


「よいしょっと!」


 僕の上からやっと退()いてくれた。

 とはいえ、もう立てそうにない。


「命までは取らないであげるわ。ここからすぐに引きなさい。ここは乙女の領域よ」


 リアル女は僕に背を向けて上条に向かって話しかけている。

 どうする?

 考えろ僕。

 この状況を打破するための一発逆転の奇跡が起きるはず!!


 信じろ自分!!


 繋げ未来!!


「御生憎さま、うちの隆は諦めが悪いんだよ」


「何!?」


「うおあああああ!!」


 その時だった。

 後ろからものすごい地響きを立てて走ってくる1人の男がいた。

 そう、彼の名はムキムキ。

 握力100キロ越え。

 筋肉でいえば誰にも負けない男。

 そのムキムキが今、ここにいる!


 ムキムキは僕を右腕でしっかり掴み、走り出した。


「ありがとう!助かった!」


「女子風呂はこの先だ!行こう!」


 上条も僕らの後を追い、走り出した。

 あのレスリング部はヘビー級。

 パワーあるものの、図体がでかいあまり、そう早くは走れない。

 この勝負、僕らの勝ちだ!


「ここは通さないわよ!」


 さっきのリアル女を投げたレスリング部とそれを指揮していたやつが待ち伏せしていた。

 図体のでかい100キロ越えが3人。

 いけるのか、ムキムキ。


「うおあああああ!!」


 一瞬にしてレスリング部3人を吹き飛ばすその光景はまさに超人。

 3人はそのまま気絶した。

 だが、後ろからはさっき僕をプレスしたリアル女が走ってくる。


「逃さないわよ!」


 ムキムキは僕をおろし、後ろを振り返り前へ1歩足を踏み出した。


「ここは俺に任せてください。さあ、女子風呂へ!」


「僕も戦うよ、ムキムキ」


 いつのまにか山田もいた。

 多分、ムキムキと来たのだろう。

 全然気づかなかったし。


「お前、いたのか」


「行こう、隆」


 僕と上条は女子風呂のある方向を向き、再び走り出した。

 ゴールまであと少しだ。

 あと少しで女子風呂にたどり着く。

 しかし、そこで待ち受けていたのはタオルを武器にしたリアル女20人だった。


「逃さないわよ、東條!」


「覚悟しなさい、東條!」


「僕だけかよ!?こいつだって覗こうとしてんだぞ!?」


 向けられた言葉の矛先と視線の矛先は全て僕に突き刺さる。

 上条を指差して道連れにしてやった。

 いい加減目を覚ませ、リアル女ども。

 イケメンでも覗きをするのだよ。


「だって〜。上条くんが覗きなんてするわけないじゃ〜ん」


「そうよ〜。あの上条くんだも〜ん」


 その場にいたリアル女全員はメスの顔をしていた。

 こいつら、グループラインの件忘れたのかよ。

 それを送った張本人が上条だっていうのに。


「そういうことだ。ここは君がおとりになってくれ」


 上条は僕の肩を掴んだ。


「てめえ!!」


「冗談だよ。おとりになるのは僕だけで十分さ」


 上条は胸ポケットからチケットのようなものを何枚か取り出した。


「上条……」


 ていうか、なんだあれ?

 チケットのようなものをよく見ると、赤くドンとデート券と書かれていた。

 上条は大きく息を吸って口を開いた。


「ここに、1日デート券がある!これは僕と休日にデートする券だ!さあ、先着15名!僕を捕まえてごらんよ!」


 そう言うと、上条は左方向に向かって走り出した。


「きゃ〜!上条くん待ってえ〜」


「一日デート券は私のよ〜」


 そして誰もいなくなった。

 あいつ、僕のためにおとりになってくれたのか。

 誰よりも覗きたがっていたあいつが。

 まあいいか。


 とにかく、この場は(しの)いだ。

 気がつくと僕は女子風呂まで十メートルの距離にいた。

 ここを突破すれば副業達成だ。

 そう思い、一歩踏み出した。


「逃さねえよ、ばーか!」


「……ッ!?」


 この罵倒する声。

 この局面に立つのは何度目だろうか。

 後ろを振り返ると、そこには昇龍が立っていた。

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