昏い白
藍した虚
「わたしはSじゃないよ…」
イリヤが小さい口からほとばしらせる言の葉。
「ぼくはSです…」
応えたイズヤ。
☩
「てんで、ダメだ…」
「どうした、ホソミ」
「ホームセンタで買ったラックが作れない…」
「…きゃわ!」
じとっとイズヤのほうをねめつけるホソミ。
「…馬鹿にしてます?」
「え…してないって」
汗がでないけど、すこし焦ったイズヤ。
「もう…すぐ 馬鹿にするんだから…」
ほほをふくらませるホソミ。
白いコートに 彼は 黒いリボンをつけていた…
「いや… あ リボンがすこし ずれてるよ」
「なに、言ってるのよ ずっと ずれてる…」
ホソミの微笑はイズヤにしか見えない虹色の嘘。
それはまるで 若干黒色に見えた…。
外は白い雪が降っていた
「ちょっと まだ十月じゃない」
十月にぬれぎぬを着せていたイズヤ。
「そうだね はやい…」
雪の下で手でその小さな光を受け止めるホソミのてのひら
「ずっと…その そばにいてほしいなあ」
「……うそつかないでね 先輩」
笑顔でイズヤを見つめるホソミ。白く長いスカートはしかしやはり少し紫。
前かがみになっていて 目を細めているホソミの口角からは小さい泡が
虹のように上空に流れ落ちていくようだった…
「ああ…ちょっとだけ」
黒い前髪を受け入れたイズヤは
にやけている。とても虚しいと。
Δ
「ばーたれ。ちゃんと拭け」
「はい…」
大人しく従うイズヤ。
「ったく 後輩を指導するのもな 楽しくもなんともない」
ぶつぶつ 小さな音量で騒ぐ陽気なイリヤさん
「続けることが大事だよ」
「…そんなもんすか」
「そうだよ すべて…」
いつも静かに滑ってるイリヤは
ほんの ときどきだけど すべてくらいは 統べているようだった
拾った宵闇




