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森に入ってから体感時間で30分程歩いていると、前方の方から何やら声が聞こえてきた。
音をできるだけ出さない様にしながら木に隠れて近づいて行く。
木々を挟んで約10m程前方に全身緑色の汚く小柄なモンスターが3体程いた。そのモンスターは人間で言うと談笑だろうか?をしているところだった。
モンスターに談笑という言葉を使うのも何か違うような気はするのだが⋯
近づいていくとやはりと言うべきなのかモンスターはゴブリンだと確認できた。のだが⋯この距離でも鼻を覆いたくなる程の悪臭が漂ってくる。その悪臭は生ゴミが夏場に腐ったような表現のしようもないモノだった。
モンスターは自然に生きるのだから当たり前なのは分かるのだが、これ程の悪臭ともなれば慣れないものである。目元には涙を浮かばせて忍び寄る俺。
受付女さんから聞いていたとおり知能は殆ど持ち合わせていないのか、後数歩という所まで来ても気付かずに談笑しているゴブリン。
1体のゴブリンの首をスパッと切り裂いた。そのゴブリンの発していた耳障りな笑い声はかき消えて、共に笑っていたゴブリン達の笑い声も消えていた。
続けざまに放心しているゴブリンの片方の首をスパッと切り裂いた。
最後の1体はようやく仲間が殺された事に気付き手に持っていた木の枝を持って飛びかかろうとした時にスパッと首を切り裂いた。
最後のゴブリン以外の2体は最後まで何が起こったのか分からないまま死んでいったのではないだろうか?
グラっと体が地面に崩れてその拍子に胴体から首だけが離れた。そして胴体と首からも血が溢れ出てくる。ゴブリン達が持っていた木の枝はゴブリンの手から離れて地面に転がっている。
俺はサバイバルナイフというかコーティングしていた、魔力に付着したゴブリンの血を薙ぎ払って落とした。
だが俺はそんなことよりもゴブリンの首と胴体を見て「切り方が、荒いな」と口にしていた。
たしかに首と胴体の切れ目はその独り言が指すとおりにガタガタで綺麗に切れたとは言えない有様だった。
「これだと力任せに切っている⋯いや切ってすらいないな。引きちびっているというのが妥当かもしれないか」と自己分析を行った後、事後処理に取り掛かった。
軍手をしてからゴブリンの右耳を切り取り、ゴム袋に入れていく。
右耳は討伐確認の為持ち帰る様にと受付女さんから教わっていたからである。
それと合わせてその他の死体なども焼いて処理するようにと言われていた。
何でもゴブリンを好き好んで食べたがるモンスターはいないがいた場合、モンスターが寄ってくるので処理が必要なのだとか。
他にも血の臭いで寄ってくるモンスターが街道に現れて被害が出たら大事になる為だとも言われていた。
死体が転がっている側の地面に俺は手をかざし「ピット」と唱えると、手をかざした目の前の地面が窪んだ。
穴はそこそこの大きさの穴になっているようで、その穴の中を覗き込むと底に落ちた雑草は土を被っていた。
穴の中に3体のゴブリンの死体を放り込み、穴の中に向けて手をかざし一言⋯
「ファイアーボール」
そおすると掌から拳くらいの大きさがあるオレンジ色の球体が現れた。
ファイアーボールはゴブリンの死体が入っている穴に落ちていき、ゴブリンの体を燃やしだした。
本来のファイアボールは狙った対象に放ち、対象に当たるなりすれば小規模の爆発が起きるのだが今回は爆発という爆発は起きていない。
それもこれも微調整で爆発は殆ど起きないが燃焼力を上げた為でもある。
そんな芸当は世間一般的な者は出来ない。無論、魔力をコーティングするかの様に武器を魔力強化する事もだ。普通なら魔力を武器に流して強化するが、血液や汚れなどは武器自体に付着してしまう。
では何故俺のサバイバルナイフには付着しないのかと言えば、魔力を流しながら薄く膜を張っているからだ。
例えば
魔力を流す=モノに電気などを流している状態
魔力を纏わす(膜を張る)=モノにラッピングしている状態
そう表現するのが良いだろか?
穴を眺めながらぼーっと待つこと10分程、火は収まり穴の中には黒ずんだ燃えカスが残っていた。
異空間からシャベルを取り出して、近場の地面から少しずつ土を穴に入れていきある程度まで穴を埋めたらシャベルを異空間に直してサバイバルナイフを取り出した。
冒険者として初めての戦闘と後処理を終えて課題がある事を自覚した。
そして更にゴブリンを探し、森の中を歩きだす。




