↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
55/187

47、帰り道

 町の明かりの感じではまだ深夜ではない。人通りもそこそこある。まだ暮れたばかりといったところだろう。夜の町の中を歩いていく。以前は旅客自動車というものがあったらしい。金を払って目的地まで乗せてくれる車だ。今、俺はそこそこ疲れている。車で宿舎まで帰れたら楽だろうか。ひとしきり考えた。しかし答えはノーだ。たった一台でも車が走る往来は今となっては気持ち悪い。その代わりに街道沿いに宿屋が増えた。その方が風情もあるだろう。人が押す車は細々と存在するが、使うものは限られる。青葉の歓楽街に入った。ネオンが眩しい。


「お兄さん、ちょっと寄っていかないか」


「学習量未達なので」


 男に声をかけられた。若い女がそばについて酒を注いでくれる店だ。酒代が高い。男はしばらく俺の後ろ姿を見送っていた。今日は大通りではなく裏通りを歩いてしまっているからだろう。そういう店が多い。早く白亜の町に出よう。

 その後も何度か声をかけられたが適当に断った。断り方がよくなかったのか一度だけ舌打ちをされてしまった。その男は他の客も捕まらず、空き缶を蹴飛ばしていた。

 白亜に出ると通りは急に静かになった。街灯が所々にあり、家には明かりが灯っている。俺は手ぶらで歩きたいので照明魔法(ライト)は使わないが道を歩いているものはだいたい照明魔法を灯している。魔法が使えるかどうかは重要な問題だ。基礎魔法は生活の上でも役に立つものが多い。ほとんどのものが通う青学までで一通りスキルのことは教えられる。だから一般人でも使えるものは多い。冒険者になるにはスキルの素養が必要になる。俺は露九戊の推薦で免除になったが審査は結構厳しい。

 子どもがアパートの家の門に背中を預けて立っていた。水色学校の高学年くらいの女の子に見える。こちらを見て微笑んでいる。二階には明かりがつき、一階は暗い。玄関の配置からも一階と二階で世帯が分かれているようだった。一階の誰かを待っているのだろうか。

 少し離れたところには駄菓子屋があった。夜になるが子どもが少し、集まっていた。俺は堪えきれずにそこにある自動販売機でメロンソーダを買った。一気に飲む。子どもたちは木のスツールに腰かけてお喋りしていた。奥ではおばちゃんが上がり框のところに腰かけて店番している。何人かが俺の方を珍しそうに見る。俺は瓶をゴミ箱に捨てて歩き始めた。

 駄菓子屋のその先には水色学校があった。暗くて静まり返っていた。運動場はひっそりとしている。ここを歩くのは何度目だろうか。

 そろそろ紫苑に着くころだ。時間がわからない。携帯を置いてきてしまった。携帯が今一つ馴染まない俺はよく部屋に忘れてしまう。今は冒険者の端くれなので大事な連絡がないとも限らない。忘れないようにしなくては。しかしやっぱり携帯を身につけるのには違和感がある。また忘れそうだ。

 そんなことを考えていると商店街に出た。店もまだ少し営業している。この分だと猿田とノエルも食堂で飯を食ってる時間かもしれない。俺は急いで宿舎に戻った。


 大通りを歩いて一本道を通り、宿舎にたどり着いた。案の定二人が席についている姿が見えた。俺も飯を食いに行こう。

 俺はまたしても手ぶらだったため、真っすぐ食堂に向かった。荷物といえば少しの金とギルドからもらった地図がポケットにあるだけだ。夜間受付に行ってもいいが、面倒だから報告は明日にしよう。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。