ケンタウロスの始祖は『ケンタウロス』でした。
ケンタウロスの始祖は『ケンタウロス』でした。
『ケンタウロス』は、神話伝承やファンタジックな創作物の『半人半馬の怪物』……馬の獣人をさす言葉です。
しかし『ケンタウロス』の『タウロス』はギリシャ語の「牡牛」てす。
馬……『ヒッポ』ではありません。
牛……『タウルス』です。
言葉の起源に牛が関わっているのは確かでしょう。
もう少し詳しく述べると、ケンタウロスは古代ギリシア語で、
κεντέω …「刺す、切り刻む」
ταυρος …「牛(牡牛)」
…… 二つの言葉でできています。
「牛殺し」 、あるいは「牛を刺すもの」という意味で、転じて、「牛の狩人」など。
スペインのマタドール( Matador)の闘牛を連想しませんか?
そういえば、愚地独 p………じゃなく。
某フルコンタクト空手の創設者は、牛を素手で四十頭以上倒し、角を手刀で折り『ゴッドハンド』と呼ばれました。
古代の野生牛を倒した狩人や、屈強な牧夫の『猛者の称号』。………『ケンタウロス』ももともとそんな言葉だったのでしょう。
実際、古代ギリシャ文明の『テッサリア地方』の牧夫はたいへん気が荒く、怪物ケンロスの血をひいていると自称したそうです。
それでは『ケンタウロス』という言葉が神話の中でつかわれたのは、いつ、どのようなかたちでしょう?
個人の名前でした。
半人半馬の種族の始祖は、人のすがたで生まれて母にケンタウロスと名付けられました。
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人名のケンタウロス』をくわしく説明するには、半人半馬のケンタウロス族の神話的起源にふれる必要があります。
また、前段として……。
ギリシャ神話のケンタウロスは、単一の種族、同系の血縁集団ではありません。出生や特性の異なる個人や(マイナーな伝承の)小集団がいました。
例えば、キプロス島の伝承のケンタウロスは、牡牛の角が頭に生え豊穣の神(精霊?)として敬われたそうです。
かれらの神話的起源はその、なんというか……
ゼウスが美の女神アフロディーテに欲情して、うっかり、キプロスの大地に精液をこぼしてしまい、そこに発生したと((トホホホホ…))
また、賢者『ケイロン』は夜空の『射手座』になったとされるたいへん有名なケンタウロスですが、その出自は、ほかのケンタウロスとまったくちがっています。
父親は、旧時代の最高神クロノス。
現−最高神ゼウスは異母兄弟。
半人半馬、ならぬ『半神半馬』です。
ケイロンは別の機会に取り上げようと思います。
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世界的に知られているギリシャ神話に、半人半馬のケンタウロスは何度も登場しません。
しかも、どれも、テッサリア地方を故郷とするケンタウロスの話です。
『ギリシャ神話の古典的ケンタウロス』、イコール、『テッサリア地方のケンタウロス』と。
………いえます。
そして人のすがたで生まれ、母に『ケンタウロス』と名付けられた人物こそ、『テッサリア地方のケンタウロス』の始祖でした。
ちなみにケンタウロス族の始祖は、一人は人でしたがその妻は牝馬です。
始祖ケンタウロスの誕生は、ギリシャ神話の有名なエピソードと関係しています。
テッサリア地方には、神話の時代から人間がくらしていました。
「ラビタイ人(ラピテース族)」は同地方のギリシャ系の民族集団で、勇猛で、英雄を輩出し。アルゴー号の航海にポリュペモスをはじめとしたラピタイ人も参加しました。
(50人中、最大七人。伝承により員数の増減あり)
勇敢なラビダイ人と、争いを好むケンタウロス族は何度も衝突し。ケンタウロス族は血なまぐさい戦争に敗北して多くが殺されました。
さらに生き残りは、テッサリア地方を追われます。
人間と獣人族のさけがたい激突……。といいたいところですが、半人半馬のケンタウロス族は、じつはラビタイ人の王族の末裔でした。
◯冥府のイクシオン
ラビタイ人の王の息子の一人、イクシオンは、ほかの民族集団との戦いに勝利した英雄でした。しかし、その名は『人類で最初の親族殺し』として記憶されることになります。
王子イクシオンは、結婚の前に約束した婚資(財貨)を払わず。舅(義父)といさかいになると、相手をおびき出し、計画的に殺してしまいました。
最初の『親族殺し』です。
イクシオンに味方するものはなく、唯一、最高神ゼウスがその罪を清めてやりました。
さらに神酒を与えて不死にし、神の宴に招きました。イクシオンにどんな価値が……なんで?といいたくなる厚遇です。
ところがイクシオンは恩に報いるどころか、ゼウスの妻の女神ヘラに欲情し、ひそかに誘惑しました。
ヘラは夫の浮気に悩まされているので応じると踏んだようですが………相手は、結婚と母性と貞節を司る女神でした。王権を司る一面もあります。
有名な女神の美人コンテスト『パリスの審判』のさい、ジャッジのパリスに対してアテナは戦いの勝利、アフロディーテは地上最高の女を約束して勝とうとしました。このときヘラは、アジア最大の君主の座という、とんでもないスケールの報酬で買収しようとしました(負けましたけど)。
女神を冒涜しようとする企みはヘラからゼウスに伝わり、不遜なイクシオンは冥府に閉じ込められて、炎の車輪にかけられて空中で永遠に回転する刑罰に処されるのでした。
◯地上のケンタウロス
この大罪人の王族イクシオンと、半人半馬の始祖ケンタウロスがどうつながるのか?
ゼウスはすぐに裁こうとせず、雲をあつめてヘラに似せた娘(雲の精、ネピドー)をつくると、イクシオンのもとに遣りました。
イクシオンは女神ヘラと思い込んで雲の娘を抱き、ゼウスにその現場をおさえられて冥府へ。
一方、雲の精は身ごもり、始祖ケンタウロスが生まれたのでした。
はっきり描写されないものの、始祖ケンタウロスの姿は『人間』でまちがいないそうです。
(別伝は、イクシオンとネピドーの子が半人半馬だったといいますが、今話は『始祖ケンタウロスは人間』の伝承にそって進めます)
「彼は人間の間でも神々の世界でも名誉を得られなかった[ (ピンダロス)」
始祖ケンタウロスの人物像はよく分かりません。
しかし、まわりと正常で穏当な関係はもてなかったようです。
父は人類初の親族殺し。加えて最高神を裏切り冥府で処刑中。
母は、なんだかよくわからないゼウスの被造物でした。
ふたりの子に、神も人もかわりたいと思わなかったのでしょう。
始祖ケンタウロスもまた、成長すると人の娘ではなく、美しい牝馬を愛し、半人半馬の子をもうけました。
こうして、テッサリア地方に人頭獣身の種族が出現したのでした。、
かれらがどうやってふえたか、よく分かりません。
ケンタウレと呼ばれる『女のケンタウロス』がはじめて描写されたのはローマ時代でした。
古代ギリシャの伝承に、ケンタウロス族の女のすがたはなく。ケンタウロス(♂)は人間の女に欲情した、襲った、強姦したといいつつ………人間の女がケンタウロスの子を生んだという話はありません。
【ここからは個人的感想、疑問や想像です】
「ケンタウロス」という名(言葉)について、どうしても気になることがあります。
もともと強者を称える『牛殺し』の言葉だったなら、なぜ、相応の武勇のエピソードがないのでしょう。
始祖ケンタウロスに猛獣と戦った、勝利した話は見当たりません。
半人半馬のケンタウロス族も、争い好きといいつつ仲間同士のケンカの描写はなく。その悪行は略奪、殺傷、破壊行為、女の誘拐や強姦………あくまでも人間相手の、人間的な犯罪行為ばかりです。
巨獣との激突……なし。
だれも怪物の武勇伝を求めなかった?
古い口伝が記録されなかった?
理由があって削除された?
神話伝承のエピソードの空白、どうもしっくりしません。
古代ギリシャ人は、ケンタウロスを『牛殺し』』と当然理解していたはずですが。
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〇おまけ。
英語;セントール Centau
ドイツ語;ケンタオア Kentaur
ツェンタオア Zentaur
スペイン語;センタウロ(男性) Centauro
センタウラ(女性) Centaura
フランス語;ソントーフ.ソントール Centaure
イタリア語;チェンタウロ Centauro
ラテン語;ケンタウルス Centaurus
ギリシャ語;ケンタウロス Kentauros
中国語
半人馬
人馬
人馬怪
人頭馬
◯メモ◯ スタンダードなギリシャ神話
世界中に広まったギリシャ神話は、古代ギリシャ文明の有力都市、アテネが後世に伝えた神話伝承です。
古代ギリシャ文明は、いくつもの都市国家、都市同盟が並び立つ歴史がつづき。最高神をアポロンとする都市も存在しました,
そんな中、アテネは文化的活動がさかんで『発信力』が強く、より多く詳細な記録を後世に残しました。
『アテネの神話伝承』、イコール、『 今日、世界的に古代ギリシャ文明の神話伝承として知られている物語』、と。
………いえます。
だいたいは。
◯メモ◯ テッサリア地方について
テッサリア地方は神話的な架空の土地ではありません。
現在のギリシャ共和国の中部の地名で、内陸の緑の多い山野、穀倉地帯の平野(盆地)から成り、地域の東辺はエーゲ海を臨む海岸です。
古代ギリシャ文明において、テッサリア地方は『辺境』でした。
神話伝承も、アテネなどの文明都市に対しテッサリア地方は「野生」や「神秘」を象徴する土地という扱いでした。
例えば……ギリシャ神話の洪水伝説『デウカリオンの洪水』です。
ゼウスが大洪水を起こしたとき、世界中でテッサリア地方の山の頂きだけが『陸』として残り。そこに生き残った人間、デウカリオンが投げた石から新しい人類が生まれたとされます。
……つまり、テッサリア地方は、現行人類の故郷ということです。
また、アルゴナウタイを率いた英雄イアソンはテッサリア地方に生まれ、アルゴー号を建造し、この土地から神話時代で最大の冒険旅行に出発しました。
ケンタウロスたちの故郷は、そんな土地でした。




