第21話 捜査報告書
捜査報告書
(部外秘)
警察庁長官 ██ ██殿
福岡県警察本部長
警視監 山田 稔
報告事項:福岡県内における警察官連続失踪事件に関する捜査状況について(中間報告)
作成日:令和6年6月8日
1.失踪者の状況
令和6年5月25日から同月28日にかけて、福岡県警察に所属する警察官7名が相次いで失踪。失踪者の詳細は以下のとおり。
・ 青木 一郎
・ 年齢:三十二歳
・ 所属:██署
・ 階級:巡査部長
・ 失踪日時:令和6年5月25日 23時頃
・ 失踪場所:福岡市██区の路上
・ 備考:アパート「黄泉館」付近でパトロール中に消息を絶つ。「カミサマ」と呟く声が最後に無線に入った。
・ 神田 健二
・ 年齢:四十二歳
・ 所属:██本部
・ 階級:警部
・ 失踪日時:令和6年5月26日 15時頃
・ 失踪場所:██村の公民館
・ 備考:村人への聞き込み調査中に失踪。
・ 小堀 裕子
・ 年齢:三十三歳
・ 所属:██署
・ 階級:警部補
・ 失踪日時:令和6年5月27日 未明
・ 失踪場所:自宅(福岡市██区)
・ 備考:就寝中に失踪。
・ 伊藤 明
・ 年齢:四十五歳
・ 所属:██本部
・ 階級:警視
・ 失踪日時:令和6年5月27日 深夜
・ 失踪場所:福岡市██区の路上
・ 備考:帰宅途中に失踪。「助けて」と叫ぶ声が聞かれたという近隣住民の証言あり。
・ 猿渡 涼子
・ 年齢:二十五歳
・ 所属:██署
・ 階級:巡査
・ 失踪日時:令和6年5月28日
・ 失踪場所:██署内
・ 備考:勤務中に突如姿を消す。
・ 加藤 大介
・ 年齢:三十五歳
・ 所属:██本部
・ 階級:警部補
・ 失踪日時:令和6年5月28日
・ 失踪場所:福岡市██区のコンビニ付近
・ 備考:夜食を買いに出かけたまま、行方不明に。「コトリバコ」について調べていた。
・ 鈴木 誠
・ 年齢:三十九歳
・ 所属:██本部
・ 階級:警視
・ 失踪日時:令和6年5月28日
・ 失踪場所:██県██市
・ 備考:出張先で失踪。「言霊の会」について調べていた。
2.現場検証結果
各失踪者の自宅、職場、最後に確認された場所等について、詳細な現場検証を実施した結果、以下の点が判明した。
(1)共通点
・ 争った形跡や外部から侵入された形跡は認められない。
・ 遺書や失踪をほのめかすものは発見されていない。
・ 失踪直前、一部の失踪者は、精神的に不安定な状態であった、または、何かにおびえているような様子であったとの証言が得られた(家族、同僚、近隣住民など)。
・ 一部の失踪者の自宅等から、別添資料2「呪いのシール」写真に示されるような、特異な模様が描かれたシールが発見された。
・ 一部の失踪者の私有PCおよびスマートフォンから、インターネット上のブログ「コトリバコ」の閲覧履歴が確認された。
(2)相違点
・ 失踪場所および失踪時の状況は、各失踪者によって異なる。
・ 一部の失踪者は、失踪直前に「カミサマ」「助けて」「██村」などの言葉を発していたとの証言がある。
・ 一部の失踪者の自宅から、別添資料3「遺留品写真」に示されるような、奇妙な落書きや、意味不明な記号が書かれたメモが発見された。
3.遺留品分析結果
失踪現場およびその周辺から採取された遺留品について、科捜研で分析を行った結果、以下の点が判明した。
(1)採取された指紋、DNA、微物(土、植物片など)については、失踪者以外の人物との関連性を示唆するものは、現時点では確認されていない。
(2)一部の遺留品から、微量の毒物(種類特定不能)が検出された。
(3)一部の遺留品に、別添資料3「遺留品写真」に示されるような、特異な模様や記号が記載されていた。これらの模様や記号は、別添資料2「呪いのシール」写真に示されるものと酷似しており、さらにインターネット上のブログ「コトリバコ」に掲載されている怪談に登場するモチーフとも類似性が認められる。
4.捜査上の問題点と課題
(1)現時点では、失踪の原因を特定できるだけの証拠が得られていない。
(2)失踪者七名は、全員が福岡県警察に所属する警察官であり、そのうち一部は、本件に関連すると思われる「言霊の会」や「コトリバコ」に関する捜査に従事していた。
(3)「言霊の会」や「コトリバコ」については、その実態が不明であり、今後の捜査において、慎重な対応が必要となる。
(4)██村における「カミカクシ」伝承との関連性も不明であり、民俗学的な見地からの検討も必要である。
(5)失踪した警察官の一部が、上記のような宗教団体、カルト教団およびインターネット上の情報に接触していたことから、警察内部における情報漏洩、あるいは関係者の関与も視野に入れて捜査を進める必要がある。
5.今後の捜査方針
(1)失踪者の足取りの追跡、関係者への聞き込み、遺留品の再鑑定などを徹底し、失踪原因の究明に全力を尽くす。
(2)「言霊の会」および「コトリバコ」の実態解明に向けた捜査を強化する。特に、主宰者とされる「カミシロ」の身元確認、および「コトリバコ」の作成者との接触を試みる。
(3)██村における現地調査(特に「禁足地」とされる場所)を実施し「カミカクシ」伝承との関連性を捜査する。
(4)民俗学者、宗教学者、精神科医、AI研究者など、外部専門家の協力を得て、多角的な視点から捜査を進める。
(5)捜査の進捗状況については、逐次、警察庁長官に報告する。
6.所見
本件は、極めて特異かつ重大な事件であり、国民の関心も高いことから、早期解決が求められる。
しかしながら、現時点では、事件の全容解明には至っておらず、今後の捜査には、多くの困難が予想される。
引き続き、あらゆる可能性を視野に入れ、慎重かつ大胆に捜査を進めていく所存である。
以上
(部外秘)
別添資料1:失踪者一覧
別添資料2:呪いのシール(写真)
別添資料3:遺留品写真(一部モザイク処理)
(注意)
本資料は、警察の捜査資料であり、取り扱いには十分注意すること。
無許可での複製、配布、公開は、固く禁ずる。




