11話 憐れな囚われ人
さて、さてさてさてさて!
11話を更新致します。
ではっどうぞ!
目を覚ますと、私達はフッカフッカのベットに寝ていた。可愛いパジャマ姿のネリアと一緒に…
「ほえ?」
まだ眠たい瞼を擦り状況を整理する。
私達は女帝と直接会う事は出来たが、どういう訳か?ニエンティがいる事がバレた上に罠に掛かり逃げられなくなった挙げ句にいつの間にか優とアルトはボロクソにされた状態で人質として取られ、抵抗も何も出来ずに降参した後の事が分からない。
てか、私も何だが可愛い柄のパジャマをいつの間にか着ていた!てかてか、唯唯ハズイ。てかてかてか!これって…普通ならジメジメとした薄暗い牢屋に閉じ込められるのが一般的な拘束の筈でしょ?
けど何?この部屋は?まるで修学旅行の旅館の一室並。いやそれ以上の豪華さだわ!
だって、普通捕虜とか罪人とかその辺りの奴がぶち込まれる場所って大抵石造りで錆びた鉄格子と衛生面のなってない汚い地下牢って相場が決まってるのに…
何で私達…こんなに清潔感溢れる客室みたいな場所に囚われてるの?
「てか起きてネリアちゃん!呑気に寝てる場合じゃないよ!?ねぇねぇねぇねぇねぇ!!!」
「やぁんっ♪ゆうしゃまぁ~~~そきょわラメェ~~~アンッ!あぁんっ!?フフフフフフフ…」
「駄目だこりゃ…」
ここまで熟睡出来るのは羨ましいが、一体全体何の夢を見ているのか気になる所。優と一体何をしてやがるのか…聞いてはみたいが、もしそれを聞いたら多分…ネリアは悶え死ぬ事間違いなしね。
仕方ないね。奥の手を使うわ!
「起きて、可愛い子猫ちゃん…」(優の声真似)ボソッ…
「―っ!?ヒャイッ!?」
私の隠し芸の1つ。優のイケボ。しかも本人よりも低音が出せるので、本人が言うよりも胸がドキドキするトキメキイケボなのだ。この芸をユウミンの人達に聞かせたら卒倒しちゃった程…
仮にも女である私がする芸にしては複雑な心境だ。
けれど効果は覿面。微塵も起きる気がしなかったネリアを瞬時に覚醒させる程のインパクトがあるのだからやっておいて損はなかった。
そう思った瞬間。ネリアちゃんはまだ眠たげな瞼を開かせて私の事をじっと見てきた。そして、段々と…顔を赤く染め―
「き、ききききき聞いた!?」
「……ナンノコトデショーーー」
「誤魔化されるもんですかっ!ヤッパ聞いたんですねっ?ねっ!?」
顔を赤く染め胸ぐらを捕まれた。彼女は羞恥の余り私達が置かれている状況を把握仕切れてない様子。
「うえぇぇぇぇぇぇぇん!!ハズカシィィィィィィィ!!!聞かれちゃったぁぁぁぁ!!!!!」
「てかそんな叫んでられる状況じゃないから今はさぁ!」
「えっ?…ここは、ドコ?」
要予約私達が置かれている状況を理解しようとしたネリアだったが、私と同じように首を傾げている。
『お目覚めになられましたか?ネリア嬢。チカ殿』
「「―!?」」
私達は突如として現れた声の主。
女帝ナーフェルの声がする方向に視線を向けた。そこには、タンスの上に置かれていた水晶から光が飛び出て映像が流し出されていた。
「魔法に関して何歩も先を行っているとは聞いてたけど、想像以上の出来なんですけど…」
『お褒めに預かり光栄だよ。この技術を完成させたのは我が母上だからな。母上は実に若々しく可憐でこの上なく美しい女性だった。しかも神や精霊に愛されてるのかと思わす程の天賦の才の数々…そんな私が最も敬愛している母上が造り上げた国は私にとっての宝に等しい。その国の技術を貴女の様な芯が真っ直ぐで純情そうなチカ殿に褒められるとは私としても素直に嬉しいよ』
「そ、それは…どうも」
スゴい。この人、結構ペラペラと話していらっしゃる。今の会話だけで重度のマザコンだって事とこの国を如何に愛しているのかがよく分かっちゃう。
「所でこの部屋って…」
『モチロン。貴女達用の牢屋だ。何かご不満でもおありでしたか?あぁ!ベットを一つしか用意してなかったからか?朝食の準備が遅れてしまっている事か?それとも両方…』
「イヤイヤイヤイヤ!私達っ!捕虜的な扱いな訳よね?だから、その捕虜には捕虜に対する然るべきこう~処罰染みたものがあるとテッキリ思ったのだけど?」
『何を言いますか?ネリア嬢。捕虜とは言え仮にも貴女方は麗しき女性だ。弁える事を知らない捕虜にはそれ相応の待遇を用意するが、女性を虐げるのは私の趣味ではない。なので、国外で捕まえた男二人は地下で他の奴らと働いてもらってる。そして他の女性を含めて貴女達はこの部屋で暫く軟禁させて貰うよ。あぁ大丈夫、他の者達の安否を確かめたければこの水晶を使うといい。通信機としても使えるのでな。私は貴女達に部屋から出る以外の自由を縛るつもりはない。せいぜいヤツとの契約が果たされるまでくつろいで欲しい』
「この状況でくつろいでいられるかっ!てか、ニエンティちゃんはどうしてるの!まさか、貴女の所に居るの?」
『ご明察。まぁたった一人の妹だ。チカ殿、あの野蛮人達より先に保護してくれた事とワザワザこちらへ送り届けてくれた事に関しては感謝してもしきれないよ』
「そんなのはどうでもいいのっ!!」
私はただ、知りたかった。
ヤツと一体誰の事なのか?ニエンティちゃんと何が関係あるのか?それにそもそも魔族と何らかの取引をしているのは真実なのだろうか?それが真実だとして、一体何をすると言うのだろうか?
そんな様々な私の頭じゃ到底さばき切れない程の疑問が頭の中でグルグルと過っている。
「何故っ―」
『因みに、この部屋には特殊な結界が生成されててね。貴女達が使用できる魔力は限られてるんだ。勿論、予め貴女達が寝ている間に魔力は吸い取ったし元々使える魔力量もそんなにないよ。それに、並の魔法攻撃や物理攻撃に関しては傷一つ付けられないから、ムリムリ~』
「そんな事ご聞きたいんじゃなくって―」
『本当に…感謝しているよ』
その一言を最後に水晶の通信は途絶えた。
最後の彼女の言葉には、少しだけ悲しさが宿っていたようだった。
☆
「なぁユウ殿…」
「みなまで言わないでくれアルト…」
「だが、敢えて言わせてくれ」
「じゃあ僕も言おう…」
只今、僕こと優とアルト君は…
「オラッ!働けオスどもぉ!!」
「「休ませてくれぇぇぇぇぇぇぇ!!!」」
エイリュフォンの城内に存在する地下工房で、他の男達と一緒に奴隷として働かされている。作業は鉱山の発掘作業や発掘された鉱石の運送が主だ。それがかなりキツイ。
てか、結構酷使されてるんですが!
休憩とかろくに取れないし、猛暑の中やるだなんて地獄にも程がある。
「それもこれも、全部ヤツのせいだ!」
何故、僕達が無様に捕らえられたのかと言うと…
☆
「誰だ!お前っ!」
『やぁやぁやぁやぁやぁ!お前だっけ?あの女と一緒に居た冒険者の優男ってのは?』
僕の目の前現れたのは、禍禍しいオーラを放ち肌は黒く目は純血したかの様に赤く頭には異形の角と翼が生え、髪はとても長く赤黒い、そして額には怪しく輝く赤黒い宝石の様な物が引っ付いてやがる。
コイツは以前にも見たことがある。嫌…以前のヤツよりもヤバイ!僕とアルト君の2人はそう直感が警報を鳴らしていた。
「完全な受肉を果たした魔族かっ!」
『おっ…ケヒッ!大正解~~~正解したお前さんにささやかなプレゼントだぁぁぁぁぁ!!!』
彼…魔族の男が雄叫びを上げると、周りにいたがら奴らが姿を現した。
「なっ!?」「えっ…?」
現れた数はゆうに50人は越えていた。その事に絶句したのではなく。その50人共、魔族の類いだも言う事実に絶句し言葉を発せられなくなったのだ。
『ケヒッ!俺様のプレゼント、スーーーパ~~~~バァッドォォォでぇ~最悪だろぉ?』
「クソッ!こんな数の魔族をどうやって…」
「それよりも、コレは…マズイですよ」
普通、魔族単体なら余裕で最近の僕にも対処は出来たし魔族とは言え女性相手の時はちょっと疲れるけど肉弾戦で押し通せたけど…流石にこんな数を相手にするのは初めてだ。
全員を僕の得意な広範囲魔法で一掃出来たら楽だけど、当然女性はあの集団の中にもそれなりの数は存在する。必然的に僕の魔法の威力は激減する。
肉弾戦に持ち込もうとしても、元から素の戦闘能力が僕よりも高い物理系の魔族がいるかも知れない。
ハッキリ言って勝ち目はない。けど…
「ここで諦める訳には…いかない!」
こうして恐らくナーフェル女帝と契約を交わしているであろう魔族が、こちらに来ていると言う事は女性陣の作戦が何らかの理由で失敗に終わったんだろう。多分、全力で逃亡中の筈だ。
彼女達が帰ってくるまで時間稼ぎを―
『おっと?オットットットットッ!?無駄な事してないで大人しく投降しなっ!コイツらの様になりたくなきゃなっ!』
そうして、魔族の男が取り出した水晶から映像が写し出された。そこには、王宮のとある一室が写し出されていた。おそらく玉座の間だろう。そこには、ボロボロになって倒れている地香やサーナとユレーナ。エメルナちゃんにフレシアスさんと…ネリアさん。
皆が傷付き床に伏している場面を見せられた。
『ケヒッ!俺様のフィアンセを態々届けてくれた奴らだからなぁ~出来れば殺したくないが、お前らが抵抗するんだもんなぉ~~~仕方ないかぁ』
「くっ!分かった。さっさと連れてけ!」
『ほんじゃぁねぇ~~~お休みっ!』
ヤツは僕達に憎たらしい程の笑みを浮かべて攻撃魔法を放ちやがった。
☆
後から知った事だが、アイツがさっき見せた皆がボロボロになって倒れていた光景は、ヤツの配下の魔族の変装によるものだった。
マンマと騙されたのだ。
多分あの野郎。今頃は笑い転げている筈だ。
クソムカツク!!!
☆
「明日だ。やっと明日に私とアイツとの契約を果たす事が出来る。あぁよく来てくれた我が妹。全ては計画通りだ…そう全てアイツの計画通りさ…あぁ」
自室で女帝ナーフェルは、自分のベッドでぐっすりと眠りに堕ちている妹のニエンティの寝顔を隣で見ていた。そしてニエンティの頭を優しく撫でながら一人言を続ける。
「私の事は…ほっといてくれれば…よかったんだ。私に構わずに、お前は…彼女達と…」
掠れるような声で彼女は言葉を綴る。
聞いてる筈がないのにだ。
最後に彼女は最愛の妹にお休みのキスを額にし、部屋を後にした。
彼女の足取りはとても…とても重かった。
まるで、鎖に繋がれた囚われ人。
残酷な運命と言う名の鎖に繋がれた囚人のように…
次回…魔族の目的とか語られちゃうかも?




