16話 これにて一件落着……………にならないのが、この世界…果ては俺達の定めみたいなもんなんだなぁーこりゃー
ナーリさんは救出。ヒキ野郎はとっちめた。
うん、良いことずくめやぁー!
「ユウさん♥️」「ユウサマ♥️」
「あっ、あの~」
ナーリとネリアに板挟みの優。後で殴るか。
ヒキ野郎一派は無事に連行された。そして、本題が…
「突然ですが、この村の件についてお話しましょうか村長さん?」
「………うむ」
ラーシャと後から来たカルラ村の村長の人が来た。早急に交渉をしたいだとか。さーどーすんだお嬢さんよ。
「まず、この村を私達の領地にしようと決めたのは父上の独断でした。その父上は自分の領地に入れと、貴方達に強要しました。その件については私が父上に代わり謝罪を申し上げます」
キリッとお辞儀をラーシャはした。
「その事を貴方が謝る必要はありませんよ」
村長が優しく嗜めてから、キリッとした目付きになる。
「それで、どのような条件を提示なさるのですか?」
問題はそこだな、ラーシャさんは一回深呼吸をしてから、覚悟を決めた。
「貴殿方は父上の領地には、どんな条件を提示されようとも、応じませんでした。無理もありません。あの人はとても自分勝手で横暴でしたから…」
目線を下に降ろしていく。
「そして、父上の部下の勝手な所業、私は許す訳にはいかない!」
「へっ!テメーに俺を裁ける権限なんざねーだろーが!」
お縄を頂戴されているオーシルスは醜くも反抗を繰り返していた。ヒキ野郎よ、醜いぞ。
「俺を裁けるのは、領主様だけだかんな!」
ラーシャが黙りこくった事をいいことに喋り続ける。
「はぁーーー、テメーみてーな甘ちゃんより先に、この交渉力ずくでも俺が成して、果ては…俺様が新しい領主なるはずだったのによぉーー!このくそ女!何とか言えよ!」
沈黙を貫いていたラーシャがついに口を開いた。
「おい、お前は誰に向かって、口を聞いてるのか?」
「はあー!テメーの事だよ!くそお―」
「領主である私に向かってか?」
「―んなぁー、ん?えっ?えぇええーーーー!!!」
驚愕の表情でオーシルスは跳び跳ねた。
「ばっバカな!一体どうして?」
「おい、私はお前に質問したはずだが?まだその答えが帰って来ていないのだが?」
ズシッとくる眼光に思わず周りの人は怯んでしまった。
「ももももももももももももももーーーーーー!もーーーーし訳ーーーーございまーーーーーーせん!!!」
究極的なまでの見事なDO・GE・ZAを繰り出した。
「宜しい。では、経緯を話すとしよう。簡単に言えば、昨日父上に直談判して、私が新しい領主になったのだ。そして―――」
「あの、ストップ!」
「ん?どーしたのだ?」
「あの人が貴方にそう易々と領主の座を明け渡す訳が…」
「昨日で私は18歳になった、領主の資格としては充分だ」
「「「「「えっ?!」」」」」
(((((あれが、18?)))))
驚く所そこか?俺は18歳で町の領主になれる事に驚いたが、まぁーーー俺よりは身長少しだけ大きいけど…。とっ!話を戻そうぜ!気になるんでな。
「ぐぬぬぬ!そっそれでも、あの人が明け渡す理由が―」
「それは企業秘密だ。」
「署名はこちらになります」
レクトールが領主である、証明書をオーシルスにばっと広げて見せた。
「ぁぁー、あー」
「ソーユー訳でお前への処罰も私が出来るのだそ!」
「キヒェエーーー」
ヒキ野郎は力なく経垂れ込んだ。コイツはノックダウンだ。
(父上の不倫のネタを揺すったり、もう50代過ぎているからとか年齢の事を押し付けたりして、なったなんて言えないなぁ)
俺の心に閉まっとくよ。そして話は戻る。
「村長殿、私はこの日の為にエルトン町の法律の改正、新事業の開拓などを計画して、実行していきました。私は、父上…否、あの男とは違ったやり方で私はやっていくつもりです!私は今、モンスターや魔族などの恐怖により、笑顔を失い、互いに協力も出来ず、そんな不安だらけの世界は…良くないと思っております。だから、私は町とこの村だけでも、互いに協力しあい、笑顔が絶えない様にしたいと考えています。村長さんはどうお考えでしょうか?」
村長はラーシャの問に、一時の沈黙を介して話し出した。
「このような…大層な考えをお持ちとは、恐れいったよ新しい領主殿よ。どれ、条件だけでも聞こうじゃないか!」
村長は年不相応な笑顔でラーシャに向かって笑った。
「いいの…ですか?」
大変驚いた様子のラーシャさん。
「あぁー、あの卑しい欲の塊みたいな男が治めている領地よりも、君の様な者が治める領地なら安心だ!」
「あっ、ありがとう、ございます!」
厚い握手を二人とも交わした。
「それでは、条件です。私が求めるのは、エルトン町の領地に入る事。月一で必要最低限のポーションの明け渡しです。そして、私達が貴殿方に与えるのは、村の復旧作業や護衛などです。そして、町の皆とも交流を深めていきたいのですが…」
「おぉー!いあじゃあないか!早速中で話の続きでも…ん?どーしたんだい?」
「いえ、村の皆様はどうゆう反応をするのか―」
「大丈夫だぞ、皆なぁー紳士に私達の事を考えて交渉に来る貴女の事を気に入ってるんだよ。皆『あの子が領主だったら、考えなくもなかった』なんて、言ってた位だ!それに村を無理やり追い出されなくなったんだ、そして素晴らしい領主のいる町の領地に入るんだ。こんな素晴らしい提案、歓迎しない訳がないよ」
そんな村長の優しい言葉によって、ラーシャは少しばかしが嬉し涙をポツリと垂らした。
「はいっ、これから宜しくお願いします!」
「良かったですね、ラーシャお嬢様」
「うぅん!」
レクトールに優しく肩を叩かれ、笑顔で答えた。
「これにて…一件落着だな!」
「「そうですね!」」
まだネリアとナーリの二人の板挟みに逢っている優がそんな事を呟いた。顔面蹴るか。
「ねぇー、ゴホッゴホっう…これって、私達のさぁー役目終わったんじゃないの?」
ユレーナに肩を担がれている地香は、まだ疲れているのか蒸せて、そんな事を話した。
でも、確かにそーだな。
「この後どースッかなあー!さっさと帰るか?」
「「えっーーーー!!!!!!もう帰るのですか?!」」
「ユウサマ♥️」「ユウさん♥️」
ガシッと、優の肩をこれヤバいんじゃないかって位、ミシミシと二人ともこんな力どこに隠し持っていたのか、地香とタメ張る握力を持っている。やベーなぁー。
(あっ、アレェーー、何かぁー悪寒がトマラナイィィ)
それもそうか、二人の顔。笑顔だが目に光が灯っていないのだ。そりゃー他の奴も例に漏れず悪寒が走っているだろう。この俺を除いてな。
「なぁー廻、そんな急がなくていいんじゃないか?」
「そうだよ!そうだよ!そんなに急いで行く所あったけ?」
優と地香の抗議は最もだな。だが―
「あるぞ!」
「「えっ!?」」
「それは、テメーらが居ない何処かだ!」
…………………………………………何か、場の空気がシーンとなった。
そして、皆何故か笑いだした。
「「「「「ワハハハハハ、フハハハハハ―」」」」」
「何だよ!そんなに可笑しいか?」
意味が分からないよ。マジで!
「でも、少し休んでからにしたら?」
「そうだよーーーーー!」
…引く気はねーのか。まぁーーー疲れたし一泊位はしてやる。その後はさっさと俺はトンズラするか。
「分かった、一泊だけな!いいよな!」
「うん!そりゃーユウさん達なら大歓迎♪ユウさんがよろしかったら、一泊なんて言わずに、何日でも!いや…いっそ一緒に住んでもらっても構いませんよ♥️」
笑顔で凄い提案をしてきたナーリちゃん?ちょっーーーと本気かい?いや、良くやったぞ!
「優、この機会だここに住んじゃえよ!地香も!」
「「えっえぇーーーー!!!!」」
そーすりゃー、面倒な奴をここに置いておけるぜ。
「ちょっとユウサマ♥️住むんなら私の城にぃぃーーー!」
「いえ、私が先に誘ったんです。横から邪魔しないでくれますかぁ!」
「「グヌヌヌヌヌヌヌヌヌヌ!!!!!!!」」
「ちょっとちょっと、二人とも落ち着いて!」
そんな彼らのやり取りを見ていて一同は笑い転げた。まぁな俺もほくそ笑んではいるがな、彼女が言うように『互いに協力しあい、笑顔が絶えない』そんな世界。実現出来るかもなと、僅かながらに思った。
その時、俺達は気づかなかった。
そんか和やかな光景の中にゆっくりと忍び寄る…
とても邪悪な何かの存在を。
その何かは真っ直ぐ目標を捕らえた。
その目標とは―
「さっ!本格的な交渉に移りましょう」
ラーシャ・エルトン
彼女に向かって突撃をしてくる。
そして、直撃。眩しく輝く閃光が俺達の目を覆った。
そこで、俺達はやっと奇妙な存在に気づいたのだった。
やっと視力が回復した所で状況を確認すると、そこには…
何も起きず、ただ尻もちを着いて佇んでいるラーシャと…
誰よりも彼女の前に出て、その身を盾とし、何かに立ちはだかった。一人の男、レクトール。
しかし、あの直撃を彼はモロに受けたのか、その場に倒れこんだ。
「レッ、レクト―――」
「近づい…ては、成りま…せん!お嬢…様」
「えっ?!」
ラーシャは思わず足を止めてしまった。確かに彼は何か胸に手を立てて苦しそうだし、介抱か何か施さなきゃいけない状況だろうが、彼の必死の呼び止めが何故なのかは知らないが、俺は直感的に悟った。彼の中に何か嫌な何かが潜んでいると。
「でも、レクトールどうして?」
「近づい…たら、お嬢様の…身に…危険が―」
「そうじゃなくて!なんで私なんかを助けたの!」
そう叫ぶラーシャの顔は涙を流していた。
そんなラーシャに段々と怪しい雰囲気が周囲に漂い、更にもがき苦しむ彼に包み込むようになっている、何かの力を必死に食い止めているレクトールは僅かに笑みを浮かべた。
「そんなの…決まって…いるじゃ、ない…ですか。………貴女は…必ず、私が…守るって、約束…だから…です…よ」
「レ、レクトール!」
「ぐぅっ!グァーーー!!!」
「レクトールゥゥゥーーーー!」
更にレクトールは苦しみ出し、そして彼を包み込む様に、赤黒くそして禍禍しい何かに繭な様に彼を包み込んだ。
そんなに経たない内に繭はシュルシュルとほどけた。
その中には。
「レ、レクトール?」
『ふっ、中々良き器だ。そして、ここが《中立界》
゛儀式゛は成功し、器も上々。文句は無いな。ふふふ―』
そこには、レクトールと何ら変わらない姿だが、肌は黒く、髪も俺達のよりも濃い黒さ、目は真っ赤に染まり、自らを舐め回す様に観察している。そして、纏っている雰囲気がレクトールの者と全然違う。
俺達の知っているレクトールさんとは別人だった。
やっと゛強敵゛登場!!!デデデーン!!!
皆一体感どーなるのかな?