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街を歩くエルフ

大通りを歩きながら、シルは行き交う人々の会話に耳を傾けていた。


顔を見合わせて楽しそうに笑い合う若い二人連れ。

母親の袖を引っ張り、しきりに何かをねだっている幼い子供。


背後からも前方からも、途切れることなく人の声が通り抜けていく。


だが、それらの声は足音や車両の走行音といった街の喧騒と完全に同化し、意味を持たない「音の塊」と化していた。

その塊からは、どこで言葉が区切られているのかさえ、まるで聞き分けがつかない。


普通なら胃の奥がキュッと縮み上がるような心細さを覚えるところだが、シルは予想通りといった表情を浮かべ、肩に掛けた鞄の中に手を入れた。


取り出したのは、細工の施された銀色の首飾り。

かつて、巨人族との出会いをきっかけに開発した、言語解析の魔導具だ。


(……やっぱり、魔導具に頼るしかないわね)


幼少期のかすかな感覚を頼りに、少しくらいは聞き取れるかと期待していた。

だが、手帳に地球の断片を書き留めていても、言葉の響きまでは思い出せなかった。


(あのときも、最初は身振り手振りすら通じなくて苦労したっけ)


当時の無茶を思い出し、口元に自然と懐かしい笑みが浮かぶ。


シルは銀の鎖を首にかけ、胸元の位置を整えた。

薄い金属板が肌に触れ、トクトク、と銀細工が微弱な脈動を刻み始める。


魔導具の脈動に合わせ、先ほどまでひと塊だった街の喧騒から、わずかな音が浮かび上がった。


『……は……だ』


音の切れ端が浮かんだだけで、意味までは分からない。


(……まずは、音を集めなくちゃ)


シルは小さく息を漏らした。


――だが、ため息の直後には、シルはもう楽しげに目を細めていた。

音を集めなければならないという課題は、この未知の街を心ゆくまで見て回る最高の口実でもあった。


シルは胸元の銀細工にそっと指先を添え、微かな脈動が続いていることを確かめると、再び雑踏の中へ歩き出した。


シルのすぐ脇を通り抜けた男性が、耳元に小さな機器をあてながら、まるで目の前に透明な人間がいるかのように言葉を投げかけている。

男性はその見えない相手と言葉を交わしながら、人混みの波を器用にすり抜けて去っていった。


(手帳の隅に書き留めてあった、スマートフォンという道具かしら。ずいぶん薄くて小さいのね)


エルディア共和国にも、遠くの相手と会話できる魔導具は存在する。

だが、先ほど見た機器ほど小さくはない。


これほど小さな道具で、どのように音声を届けているのだろう。

考えるほど興味が湧いてきた。


中身を分解して確かめてみたいところだが、今はまだ、耳に入ってくる声が無意味な音の連なりにすぎない。

言葉の通じない相手に頼み込んで、見せてもらうことはできるはずもなかった。


『オレ………ニ………バズ……………』


少しずつ単語らしい音のまとまりを拾えるようになってきたが、話の内容を理解するにはまだ時間がかかりそうだ。

シルは首飾りをそっと撫で、次なる未知を求めるように街の奥へと歩みを進めた。


大通りを進んだところで、背後から向けられる視線に気づいた。

少し離れた場所に、若い男性が立っている。

片手に構えたスマートフォンを、こちらへ真っ直ぐ向けていた。


シルが何気なく振り返ると、男は機器を下ろしたものの、視線は逸らさない。

それどころか、こちらの反応を面白がるような下卑た笑みを浮かべていた。


手帳によれば、あの道具には風景や人物の姿をそのまま写し取る機能があったはずだ。

なぜ見ず知らずの自分を撮影しているのか。あの薄笑いは何を意味しているのか。

疑問や興味が湧かないでもないが、目の前に広がる未知の街への誘惑の方が遥かに強かった。


通りの向こうに並ぶ店々は一体何を商っているのだろう。

シルは背後の男の存在を意識の片隅に留めたまま、並び立つ看板やショーウィンドウへ視線を移した。

店々への興味に引かれ、少し歩調を速める。


だが、その矢先のことだった。

前方を歩いていた男性が、不意に足を止める。


店並みに気を取られていたシルは歩みを止めきれず、前のめりのまま男性の背中へと衝突した。

鈍い反動にシルの肩がわずかに揺れ、ぶつかった鼻先に微かな痛みが走る。


突然の衝撃に肩を跳ね上げた男性は、不快そうに眉をひそめてシルの方を振り返った。


「あ、ごめんなさい」


シルが謝ると、男性はその言葉に反応する様子もなく、怪訝そうに彼女を見つめた。

視線がシルの長く尖った耳に留まり、金色の髪、胸元の銀細工へと移る。

さらに上着の前合わせへ目を落とすと、男性は何か言いかけたが、小さく舌打ちして口を閉じた。


シルから顔を背けると、手元のスマートフォンへ視線を落とす。


(……まだ、こちらの言葉を変換してくれる段階にはなっていないみたいね)


胸元の銀細工は微弱な脈動を刻み続けているが、周囲の声の解析すら追いついていない以上、通じるはずもない。

まずは音の標本を溜めるほかない。


男性の様子からそう結論づけたシルが改めて周囲を見渡すと、他の人々も目の前の男性と同じように足を止めていた。

アスファルトに白い帯が何本も引かれた道の向こう側にも、人々が列をなして立っている。


不思議に思って顔を上げると、人々の頭上に小さな四角い箱があった。

箱の中には赤い人の形をした光が灯っている。


シルが眺めていると、赤い光が消え、その下に緑色の人影が浮かび上がった。

すると、それまで立ち止まっていた人々が一斉に歩き始めた。


後ろにいた人々がシルの両脇を通り過ぎ、白い帯の引かれた道へ進んでいく。

向こう側で待っていた人々も、こちらへ向かって歩き始めていた。


(……あの光が、歩き始める合図なのかしら)


向かい合って進む人々は、互いに進路を譲りながら自然にすれ違っていく。

急ぐ者もいれば、連れと肩を並べてゆっくり歩く者もいる。

これほど多くの人々が行き交っているにもかかわらず、流れは滞ることなく続いていた。


シルもまた、人の波に乗って歩き出した。


「これだけ人が多いと、こういう合図が必要なのね」


長年にわたり、シルは様々な都市を訪れてきた。

だが、これほど大勢の人々が一つの合図で動き出し、見知らぬ者同士が入り交じりながら進んでいく光景は、これまでに見たことがなかった。


その人の波に身を任せて進むうち、先ほどから気になっていた店々の前にたどり着いた。


周囲の無機質な灰色の外壁とは異なり、そこは一面が澄んだ透明な板で覆われていて、外からでも店内の様子を余すところなく観察できるようになっている。

透明な仕切りのすぐ内側には、頭部のない人の体躯を模した模型が横一列に並べられていた。


模型たちはそれぞれ色とりどりの衣服を身に纏っている。

どれもエルディア共和国で見かける一般的な装いとは、布地の質感も、衣服の形や仕立てもまるで異なっていた。


その中に、シルがいま身に着けているものとよく似た上着とズボンを纏った一対の模型があった。

片方は男性の体躯を、もう片方は女性の体躯を模している。


どちらもよく似た形の衣服だったが、シルはある違いに気づいた。

前を留めるボタンの合わせ方が、左右逆になっているのだ。


シルは、仕立ててもらったばかりの自身の上着へと視線を落とした。


(……あの人が妙な顔をして目を逸らしたのは、これのせいかしら)


地球へ行くために用意した衣服だったが、同じような形の上着でも、男女で前合わせが異なるとは思わなかった。

シルは自分の上着をもう一度見下ろし、思わず苦笑する。


改めて、模型の服を見てみる。エルディア共和国と同じような仕立てのスカートもある。

布地には美しい光沢があり、細部まで丁寧に作られているように見えた。


(ロザリーやエヴァに似合いそうね。お土産に買って帰れたらいいのだけれど)


シルはしばらく迷ったものの、店先を離れて再び歩き始めた。

衣服も面白い。けれど、先ほどから漂ってくるパンに似た香りの方が、どうにも気になっていた。


「……いい匂い」


甘いバターの焦げるような香りのする方へ歩いていくと、ガラス越しにいくつものパンが並ぶ店が見えてきた。

丸いもの、細長いもの、粉砂糖を白くまとったもの。

中には頰がふっくらと膨らんだ人の顔をかたどった品まである。


共和国でもパンは日常的に食べられているが、ここに並ぶものは種類が豊富だった。

特に、薄い生地を何層にも重ねたような菓子が気になる。


(あれ、どうやってあんなにきれいな層を作っているのかしら)


シルは窓越しに店内の様子を眺めた。

一人の女性が、金属製の道具を器用に使って、選んだパンをトレイに載せていく。

ほかの客たちも同じように道具とトレイを手に取り、棚の間を巡っていた。


(自分で選んで、持っていくのね)


ふと、ショーウィンドウのガラスに映る人影が目に留まった。

少し離れたところに、先ほどの若い男が立っている。

片手に持った薄い機器は、相変わらずシルの方へ向けられていた。


(……まだいるのね)


シルはガラス越しに男の位置を確かめると、再び店内へ視線を戻した。

ふと足を止めたことで、街を歩き回るうちに足の裏へじんわりと疲れがたまっていたことに気づく。


それでも、今は漂ってくる甘い香りの方が気になった。

先ほどからの空腹も手伝ってか、シルのお腹が小さく鳴る。

シルは軽くお腹に手を当てた。


ちょうど店から出てきた女性と入れ違いに、店内へ足を踏み入れる。

先ほどの客に倣い、積まれているトレイを一枚取り、金属製の道具を手にした。


並べられた品々を一つずつ眺めながら奥へと進み、先ほどから気になっていたあの焼き菓子の前で足を止めた。

こんがりと黄金色に焼き上がった層の端からは、ふわりと柔らかそうな内側が覗いている。


共和国の加熱魔導具でも、温度の調節を工夫すれば似たものが作れるだろうか。

そんなことを考えながら、シルはその菓子を道具で挟み、トレイに載せた。


シルは顔を上げ、周囲へ視線を巡らせる。

品物を選ぶところまでは理解できた。だが、このあと、どこへ持っていけばよいのだろう。


『お客………会計……ですか?』


不意に背後から声をかけられ、シルは振り返った。

清潔な前掛けを着けた若い女性が立っている。店内には同じ身なりをした者が何人かいた。

どうやらこの店の店員らしい。


まだ単語らしい音のまとまりは拾えるようになってきたが、それぞれの意味までは分からない。


「……ごめんなさい。何と言っているのか分からないわ」


シルが答えると、女性は目を瞬かせた。

それから店の奥にあるカウンターを指し示し、何かを説明し始めた。


そこには見慣れない四角い機械が置かれ、別の店員が手際よく機械を操作している。

手前には客たちが静かに列を作っていた。

ちょうど一人の客が、選んだ品物を差し出し、小さな入れ物から薄い紙を取り出して店員へ渡すところだった。


(……あれは?)


客が差し出した紙の色合いと模様には、どこか見覚えがあった。


ジャケットの内側から革袋を取り出し、二つ折りにして収めていた紙の束をそっと広げる。

エルディア共和国の古物店で手に入れた、透かし入りの紙だ。


シルはその中から、先ほど客が差し出していた紙と色合いや模様の似た一枚を抜き出した。


(似ているわね)


シルはその紙を目の前の店員へ差し出した。

店員は紙を受け取り、描かれた模様を確かめると、シルの顔を見上げた。


そして困ったように首を横に振り、紙を差し戻す。


『……Sorry……can't……』


こちらに言葉が通じないと察したのか、店員は先ほどとは異なる響きの言葉で話しかけてきた。

何を言っているのかは分からない。

それでもシルは、店員の反応から、差し出した紙では支払いができそうにないことを察した。


(ちょっと食べてみたかったのだけれど……仕方ないわね)


トレイに乗っている菓子を名残惜しげに見つめ、小さく息をつきながら、手元の紙を革袋へ戻した。


(もう少し言葉が分かるようになってからにしましょう)


シルはトレイを店員へ差し出した。

店員は少し戸惑ったものの、シルが軽く頭を下げると、事情を察したようにトレイを受け取った。


シルも会釈を返し、店を後にした。


店を出ると、出入口から少し離れた歩道に、先ほどの若い男が待ち構えるように立っていた。

男は手にしたスマートフォンを真っ直ぐシルの方へ向け、画面をちらちらと確かめながら、独り言のように早口で喋り続けている。


『街で……エルフ……突撃……してみた』


胸元の銀細工が拾い上げる声は、やはり細切れのままだ。

なぜ自分を撮影しながら話しかけてくるのか、その意図までは分からない。


こちらへ向けられる無遠慮な視線と、人を小馬鹿にしたような振る舞いから、少なくとも友好的な相手ではないことは察せられた。


(……あまり関わらない方がよさそうね)


シルは相手にせず、その場を離れようと歩調を速めた。

だが、男はシルの動きを先回りするように素早く横へ回り込み、その行く手を塞いだ。


『エルフのお姉……!』


男は構えた端末をシルの顔の前に突き出し、周囲の目を引くような少し甲高い声で話しかけてくる。

続けて、機器のレンズをシルの足元へと向け、つま先から脚のラインをなめるようにして、再び顔の高さまでゆっくりと持ち上げた。


『エルフ……格好……それ……設定?』


男はさらに距離を詰め、スマートフォンをシルの鼻先に迫るほど近づけてきた。

シルは半歩身を引き、機器との距離を取る。


『…耳…本物…?』


言葉の意味は分からないが、男の嫌らしい視線が自分の耳に向けられていることは分かった。


『日本語…通じて……外国人…?』


男は一方的に何かを尋ね続けながら、空いた方の指先で、自らの耳を不躾に指し示してみせた。


『本物?……外…?』


(……耳が気になるのかしら)


街を歩いている間にも、何度か耳を見られていた。

シルは自分の細長い耳を撫でた。


「ごめんなさいね。あなたの言葉が分からないの」

『……語!?……エルフ!?……リアル……キモ』


男は思わず一歩後ずさった。

その隙に、シルは男の脇を通り抜け、歩調を速めてその場を離れた。


しかし、男は一度足を止めたものの、すぐに後を追い、スマートフォンを向けたままシルに歩調を合わせてきた。

質問らしい声が絶えず聞こえてくる。

言葉の意味は理解できなくても、男が執拗に話しかけてきていることだけは分かった。


(……放っておけば、そのうち諦めるでしょう)


シルは相手にしないことにして、そのまま歩き続けた。

それでも男は離れようとせず、スマートフォンを向けたまま何かを話し続けている。


やがて、背後から聞こえる男の声に、苛立ちが混じり始めた。


『……反応……しろって……』


男はシルの横へ並び、顔を覗き込むように身を乗り出した。

先ほどまで浮かべていた薄笑いは徐々に消え、今ではすっかり真顔になっている。


『…さっき……無視……してんの!?』


先ほどまでのふざけた調子とは違い、押し殺すような低い声が聞こえてきた。


「どうしたの?」


男の態度が急に変わったことを不思議に思い、シルは思わず問いかけた。

しかし、男の表情はますます険しくなり、声も一段と大きくなった。


『……いつまで……設定……!?』


近くを歩いていた人々が次々と振り返った。

何事かと足を止め、様子をうかがう者もいる。


シルは周囲を見渡した。


(……何か気に障ることをしたのかしら)


会話が成立していないことは確かだ。しかし、それだけで声を荒らげる理由が分からない。

未知の言語に遭遇すること自体は珍しくない。長年の冒険でも、意思疎通のできない相手と接する機会はあった。


だが、今回は少し勝手が違う。


男は武器をちらつかせるでもなく、直接手を出してくる様子もない。

それなのに、なぜか声を荒らげている。


『なんか………反応……!?』


その間にも足を止める人々は増え、いつの間にか二人の周囲には小さな人垣ができていた。


人垣の中にいた若い女性が、連れの腕を軽く叩き、シルを指さして何かを囁いた。

別の男性は、通りの端から黒い板状の機器を向けている。


『え、耳……?』

『コスプレ?』

『モデル?』


途切れ途切れの言葉が、周囲のあちこちから聞こえてきた。

シルのジャケットとスラックスに目を留め、顔を見合わせる者もいた。


なかでも、シルの長く尖った耳に視線を向ける者が目立った。

シルは思わず、自分の長い耳にそっと手を添える。


(……エルフの耳がそんなに珍しいのかしら)


そのとき、若者の背後にできた人垣をかき分け、白髪交じりの男性が進み出た。


「おい、ちょっと君、さっきから何してるんだ。嫌がってるだろ」

「いや、ちょっと話を聞いてるだけっすけど」

「それ、撮影してるんじゃないのか?」

「別にいいじゃないですか。街中なんだし」

「勝手に人を撮っていいわけじゃないだろう」


そのやり取りを聞いていた近くの男性も、口を挟んだ。


「ちょっと、通行の邪魔になってますよ」


続いて、別の通行人からも声が上がる。


「そうだよ。さっきから声が大きいんだよ」

「言葉が分からないんじゃないのか?」


若者は不満そうに口を歪めながらも、スマートフォンを地面へ向けた。


「いや、この人が無視するから――」


白髪交じりの男性は、なおも何かを言い返そうとする若者とシルの間に立った。


シルは彼らの顔を順に見た。どうやら、今度は男性同士で言い争いが始まったらしい。

撮影していた若者は、スマートフォンを片手に持ったまま、早口で何かを説明している。

それに対し、周囲の男性たちは強い口調で言葉を返していた。


会話の内容は分からない。

ただ、白髪交じりの男性が自分と若者の間に立ち、撮影していた機器がこちらへ向けられなくなったことには気づいた。


不意に、横合いから柔らかな声が届いた。


『…大丈夫…?』


シルが顔を向けると、そこには見知らぬ若い女性が立っていた。

女性はシルと、言い争う男たちを交互に見比べ、どこか切迫した様子で眉を寄せていた。


『……ここ……離れた……方が……』


声は穏やかだったが、急いで何かを伝えようとしている様子だった。

シルが答えずにいると、女性はシルのジャケットの袖を軽く引き、もう片方の手で通りの先を指さした。


(……あちらへ連れていきたいのかしら)


『……こっち……行き……』


シルは一度、背後を見た。

撮影していた若者は、まだ何かを言い返している。


シルは改めて女性の顔を見た。言葉は分からない。

それでも、袖を引く仕草と指さした方向から、ここを離れようとしていることは理解できた。


(……そうね。ここにいても、話は通じそうにないし)


騒ぎから離れるには、ちょうどよさそうだった。


「ええ、行きましょうか」


シルが自分から一歩踏み出すと、女性は袖をつかんでいた手を離し、今度はシルの手をそっと取った。

シルはそのまま女性の歩調に合わせて歩き始める。


女性は一度振り返り、シルがついてきているのを確かめた。

そのまま二人は並んで歩き、人通りの多い大通りから離れていった。

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