エールの気持ち
「ちょっと、周り見てくるね」
私はそう言うと歩いて彼から少し離れようとした、
ちょうど最深部の広い敷地から狭い通路に差し掛かったあたりに人が一人入れる程度の窪みがあった。
その窪みに入ると孤独感と安心感に包まれた気持ちになれた。
「…ニールめ……愛されてるじゃん……」
そう呟くと小さな水滴が溢れ落ちていたのに気付いたが、それが自分の涙だと気付くのには時間がかかった
泣いていることに気付いてからはそれを押し殺すことで精一杯だった、ただただ溢れてくる涙を抑え、声を出すのを我慢することしか出来なかった。
きっとここで声を出して泣いてしまったら負けてしまうような気がして……
あの日もそうだった気がする。姉が帰って来なかった日、あの日も結局ニールが帰ってあと声を押し殺して泣いた。
でも、今ならわかる、あの時と今は違う。きっと今なら正面から向き合えると、
「ふふっ、これが成長なのかもしれないな…」
そう呟いたとき何かが吹っ切れて、目の前の闇が切り裂かれた気分になれた。
「姉さん、私、少しは成長できてるよ!」
泣くのを押し殺す代わりにそう呟いてみせた、
いつの間にか小さな水滴は溢れ出るのをやめていた。
「エールさん、大丈夫ですか?」
フォレンの下へと戻るとと悲しそうそうな顔で心配された
「うん、大丈夫、それよりも!私のことはエールって呼んでって言ったでしょ!さん付け禁止!」
もう今日はこれで満足だ。
帰り道は特に何もなかったが、隣にフォレンがいるだけでどこか嬉しく思えた。
きっとこれは初恋ってやつかもしれないな…
「フォレン、帰ったらお前にネックレスでも作ってやるよ!」
「本当ですか?」
その時のフォレンの顔は忘れることが無いだろう。
そして、私の思いの塊であるネックレスは今も彼の首に掛けられている。
エールさんとの旅はこれで一区切りです
次回はニールさんが出てくるかも
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