覚醒
「はぁはぁ、まずいね…」
隣にいるエールさんは相当な魔力切れを起こしている、それもそうだろう、上級魔法を何回も撃っているのだから、逆によくここまで持った方だろう、
しかし、相手であるケルベロスも多大なるダメージを負っているようで動きは鈍くなっている
それでも、ボスの意地があるのか、ケルベロスは突っ込んでくる、
エールさんも負けじと詠唱を詠んでいく
「護の神、ウルよ、汝………」
そこで彼女は魔力切れで倒れてしまった、きっとこのままだと轢き殺されてしまうだろう。
きっと……?
死ぬ…?殺される? 一体何故死を怖れる、痛み?悲しみ?それとも………まるであの時のようだ、中ボスに立ち向かい、一人になってしまったあの時、しかし、あの時もこんなにも怖いと思っただろうか、そんなことはなかった、ただ、原始的な恐怖のみだった。
ならば、何故今はこんなにも怖いのだろう、きっと倒れたとしても蘇生できる、今回は荷物が全部なくなるだけ、ただ、それだけのことなのに何故、こんなにも恐れなければならないのだろう。
何故、どうして、理由がほしい、何故?
死にたくない、殺されたくない、どうすればいい、どうすれば、こんなときあの人なら。最強と謳われたあの人ならどうしたのだろう、
その間にもケルベロスは距離を詰めてくる、
「そうだ、あの人なら楽しむはずだ、この危機的状況を!」
ケルベロスとエールさんの間に入るとしっかり剣を構えた、
「大切なことはイメージ…」
すると構えた剣に火を纏うようになった、そしてその力はどんどん増していく、腕に付いた腕輪が邪魔に感じる、外せ、そうだ、外せ!
腕輪を外すと更に魔力が上がった気がした、
「もっとだ、もっと…」
するとそれに呼応するかのように纏う火は強くなっていく、そして、青白かった剣が火の魔力によって赤みを帯びていく、
迫り来る三頭犬を視界に入れる、そして縦に振り下ろす、こんな単純な作業にも関わらず、長い時間だった。
そして、三頭犬は剣に纏っていた火に囲まれ、二つに分断されていた
「やるじゃん……かっこいいね……」
倒れていた店主の声を最後にその後の記憶はなかった
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