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真夏の蜃気楼  作者: HAL10
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プロローグ

初投稿となりますが、ごゆるりと。

俺は生きていくうちで後悔だけはしたくないと思って生きてきた。

そこそこの学校に通ってそこそこの会社に勤めてそこそこの生活を送っていたんだ。一昔前の洋楽なんかを聞くのが趣味でさ。


特別不満もなかった。でも、気がついたら俺は後悔ばかりする日々を送っていたんだ。

何がいけなかったのか、何が悪かったのか。

俺は何のためにあるのか。

そんなことばかり考えるようになって、次から次へと波のように来る不安と後悔に押しつぶされていったんだ。


いつしか会社にも行かなくなって家に篭った。

食べ物も通らないくらい酷い状態になった。

けれども酒とタバコはやめられず、むしろ吸ったり飲んだりする量は多くなっていった。

やがて金は底を尽き、ただ何もせずずっとぼうっとしていた。

あまりにも色々な事がありすぎて、いや、無さすぎて

周りの全てがゴミのように見えた。


知り合いに金をせびったおかげで、

やがて皆、愛想を尽かして俺から離れた。

自暴自棄になった俺はせびった金を散財して、

夜の街を酒を浴びるように飲みながら歩いた。


本当に最低だよな。


高架線の下でもたれかかっていると

何処からとも無く男がやってきて金を巻き上げようとしてきた。

酔っていた俺はそいつを勢いよく殴り飛ばし、

手に持っていたビンでそいつを殴ってやった。

そしたらよ、そいつ俺のことナイフみたいなので刺しやがってさ。

横腹からあふれる血とともに俺はその場に倒れ込んだ。


その時は「あ、俺、死ぬんだ。」って思っていた。

これでも24だったんだ。まだ死ぬとは思って無かったし、

なんというかあっという間の出来事だった。

ただ、何よりこんなつまらない人生ならいっそ死んでしまおうと思っていたからか、落ち着いていた。


七月の陽射しを受けたアスファルトはまだほんのり暖かかった。

まるでその熱に自分が溶けていくような感覚。

ビル郡と高架線の隙間から夜空が見えた。

消えそうなくらい星が輝いていてとてもキレイに思えた。

もう、しばらくの間星なんて見ていなかったな。なんて考えた。


意識が薄れていく。

俺が俺でなくなっていく。

暗い溝に落ちるように。

ただゆっくりと。




そして俺はあっけなく死んだ。




────はずだったんだ。

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