第一話
第一話
最近俺には車椅子に乗ったおじいさんの霊が見える。
俺のことを付きまとっているだけだからそこまで気にしてはいないが、それ以上に俺には悩みがある。
それはクラスメイトにいじめられていることだ。
安易に霊が見えるなどと言ったのが悪かった。
目の前で潰した虫を無理やり口に入れられ
「この虫はなんて言ってんだ? 分かんだろ」
見えるからと言って聞こえるとは限らないことぐらい分かるだろ。
俺はリサイクルショップで見つけた呪具を使って奴らを呪い自殺をしようと決意した。
これであとは飛び降りるだけだ。
下にはいつも通り車椅子のおじいさんがいる。
そして俺は飛び降りた。
飛び降りている最中走馬灯が見えた。
嫌な記憶など一つも見えなかったため良い気持ちのまま逝かせてくれるのかと感謝さえした。
だがそれと同時に死にたくないとさえ思ってしまった。
今更遅いことは分かっているだけど俺は、俺は
────死にたくない!!
俺がそう思った瞬間車椅子のおじいさんが俺の方を見た。
おじいさんの懐にはナイフのようなものが見えたが、俺はおじいさんを踏み台として蹴った!!
「貴様年寄りは丁寧に扱わんか!!」
おじいさんはそう言って切りつけてきたが俺は二本のナイフを蹴り飛ばした。
「なっ!? それならこれで貴様を殺す」
そう言ったおじいさんはぬいぐるみと刀を取り出した。
一目見た瞬間あれはやばいとわかるほどの代物だった。
「さあ来い妖魔コトングよ、あの男を滅するのだ」
おじいさんがぬいぐるみを刀で刺した瞬間怪物が姿を見せた。
怪物の背後にはおじいさんだけでなく若い男が増えていた。
『師匠俺にやらせてください』か、口元が分からないように喋れよ俺に聞いてくれって言ってるようなものだぞ。
男とおじいさんが師弟関係なのは分かったが、問題はこの怪物をどうするかだ。
「よくも師匠の頭を蹴ってくれたな……師匠の仇俺が取る!!」
「ワシは死んでないぞ!!」
「覚悟!!」
男が持っていた刀はおじいさんが持っていた刀と同じ物だ。
ならばやることは一つ……男から刀を奪って怪物を殺して逃げる。
俺が男から刀を奪うなり男はニヤニヤと笑い俺をバカにした。
「この刀でどうするつもりだよ。人間である俺のことは切れてもこの怪物コトングは怖くて切れねえだろ」
そう言ってきたので……まあやることは一つ、怪物も男も切った。
怪物は爆散したが男はおじいさんに守られて傷をつけられなかった。
「一旦態勢を立て直す。分かったな」
おじいさんはそう言って男を連れて何処かに消えた。
それと同時に奪った刀も消えた。
俺はこの出来事から勇気を貰い俺をいじめた連中を皆殺しにした。
場面は変わり襲ってきたおじいさんと男
「なんで逃げるんですか!!」
「お前には見えなかったのか奴がコトングを切ったあと爆散させたのを」
「いや見えましたけど、それが何かあるんですか?」
「だったら見せた方が早いか」
ゴォォォォォ
「妖魔を呼んで何をするんですか」
「いいから見とけ」
スパン
「さすが師匠一太刀で祓っちゃうなんて尊敬します!!」
「大事なのはそこじゃない。ワシが切ったのはあの男と同じ強さの妖魔だ。ワシの切った妖魔は爆散したか?」
「いえ、してないですけど……」
「そこだ。妖魔が爆散するのは己より圧倒的に格上に祓われた時だけだ、その意味分かるな」
「…………師匠より強いってことですよね。でっ、でもあんなガキがそんなわけ……」
「アイツ力を隠しておった。というより本人も気づいておらんという感じだった。アイツ、ワシより強いぞ」
「でっ、でも師匠は国で一番強いですからそんなことないですよ、たまたまですって」
「妖魔にたまたまなんて存在しない。妖魔は魂で感じ取るものだと教えただろ。妖魔の魂がワシよりアイツが格上だと判断したということだ。一体何者なんだあの男は」
「さあ?」
「さあ? ではない!! あの男次第で魔界をどうにでも出来るということだぞ。例えば魔界の妖魔を従える魔王様のようなことだってあの男には出来るということだ!! 今すぐに報告に向かうぞ」
「はっ、はい!!」
場面は戻る
「続いてのニュースです。奥田町第一中学にて殺人事件発生、容疑者は第一中学に在籍している少年です。…………」
プツン
「つまんなかったな。あの怪物の時みたいなドキドキがほしい。確かあのおじいさんはこんな感じで…………」
ヴォン
「出来た。これであのおじいさんに会える」
ビビッ
なんだこの音は?
「おいそこの侵入者、魔界に何の用だ」
「車椅子のおじいさんに会いにきた」
「ベルド様は貴様が会える方ではない。今すぐ帰れ」
「それならアンタが俺の相手をしてくれよ」
「……はぁ、こいつ追い返さないといけない系の奴かよ、めんどくせぇな」
槍を構えたこいつを見て俺は正直こいつは俺を楽しませてくれないと理解した。
「お前じゃ俺を楽しませられない」
「俺がお前を楽しませられないだと、ふざけるなよ人間!!」
「ふざけてるのどっちか分からせてやる」
俺はこいつの槍を奪い首を刎ねた。
「ほらな……つまらない」
人生何も良いことがないし、つまらない。
だけどあのおじいさんとの戦いは唯一楽しいと思えた。
ようやく分かったんだよ、俺には……死合いこそが必要なんだって!!
見つけて読んでいただきありがとうございます!
勇者の話を考えていたら降ってきました




