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どうやら裸族の男に召喚されたようです  作者: 蔵前


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あの青い眼は私の敵だ

 私は英語で良い点を取った事もないので、とりあえず外国に行く事など何も考えてはいないし、人種や文化の垣根を超えた恋愛も考えていない。

 さらに、近所の青い眼の中年男性によって、私は青い眼の男性には嫌悪を抱かせられてしまっている。


 奴は自分の国の車なのか、自分の国のライバル会社の車なのか知らないが、あるいは単なるスノッブなだけなのか、とりあえず近隣住人には買えそうもない高級車を乗り回しているのだが、それが思いっきり下手糞な運転なのだ。

 何度か近隣住民に注意を受けているようだが、そのたびに習慣に合わせようと頑張っているけれど受け入れてもらえない可哀想な自分という風に騒ぎ、適当になると日本語がわからないと英語を連発して逆切れる。


 なんてうざったい迷惑者なんだろう。


 絶対にこの男はイギリスに渡ってもこんな運転はしないだろうし、イギリスでは警官に注意される前にタクシーを使うだろう差別主義者だと私は確信に近いくらいに思っている。


 どうしてイギリスかっていうと、あそこの国は日本と同じで、車は左側ルールだからである。


 さらに奴は、世界が右側ルールなのに左側ルールの日本が悪いと言い切った。


 近所のおばあさんを転ばせた時に。


 それについても、最初は彼女が勝手に転んだと言い張ったのである。


 確かにおばあさんと車の接触は無かったが、下手糞で大回りしすぎた右折で奴は回り切れなかったのだ。

 そんなスピードを殺し切れていない大きな外車が白いラインを引いてあるだけの歩道に車の鼻先を突っ込んでくれば、若かろうが年寄りだろうが、死にたくない奴は誰だって逃げようとして転ぶ。


 目撃者の私は通報してそのように証言をした。


 奴は自分の下手糞すぎる運転のためにおばあさんに治療費等を支払う事になり、私はおばあさんの家族に感謝されたが、私自身は証言なんかするんじゃなかったと後悔中だ。


 学校帰りの私は、私を恨んでいたらしいあの青い眼の男の車に自転車を引っ掛けられた。


 つまり、乗っていた自転車ごと土手を転がり落ちる羽目になったのである。


 覚えていろよ、あの野郎。

 絶対に絶対に、闇討ちして仕返ししてやる。

 絶対に闇討ちだ。

 昼間に竹刀で一般人を殴りつけたら、私は剣道連盟から破門されてしまうからして、闇討ちなのだ。


 お爺ちゃん子の私は、実を言うと剣道二段だ。

 棒を持ったら三倍強くなれる私なのだから、奴はきっと瞬殺だ。

 散々に頭の中で近所の馬鹿男を殺しまくると、私はぐっと歯を食いしばって身を起こした。

 死んだと思った私が生きているからと、止めを刺しに来られたら敵わない。


「あぁ、痛い。貰ったばかりの私の宝物がって、どこ?」


 従兄のお兄ちゃんがくれたロードバイクはどこに消えたの?


 体を起こした私が見た風景は、もさもさと下草が生えているだけの森の中という風景だった。

 土手を私と一緒に転がり落ちたはずの、がしゃんと壊れた大きな音を立てていたはずの、ロードバイクの影形などどこにも無い。

 私はハンドルを握ったまま転がり落ちていた。

 絶対に私と一緒に川辺に転がっているはずなのだ。


「川はどこに消えた?どこなの?ここ。あぁ、通報だ!お巡りさんを呼ばなきゃ!」


 私はスマートフォンを取り出すべく、背中にしょっていたランドセル風のリュックの鞄紐に手をかけた。


 そこで近所の高校の乗馬部を思い出す臭いと騒音が辺りをつんざいた。

6/12 ちょっと色々と読み辛い文章を修正加筆しました。

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