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真・恋姫†無双〜冷静と情熱の狭間〜  作者: §K&N§
第一章 終わりの始まり
2/14

〜第一話〜侍、荒野に立つ

一人称ムズイ(ーωー;)


とりあえず出来ました。


どうぞ!

「……うっ……」


 一体どれだけの時間気を失っていたのだろうか。目を覚ました俺は、先程のまばゆい光のことを思い出す。


 刀から光が溢れ出るとか、何てファンタジー?


 何故千代桜から光が出たのか……考えてもわからないので、とりあえず自分の体に異変がないか確認することにした。


 着ている服はさっきと変わらず、白い鍛練用の胴着に黒い袴。


 どういう訳か足袋(たび)と草履を履いていたが、見た目的に怪我もなく至って健康体である。


「ふぅ……」


 自身の体に何の問題もなく、一先ずは安心した。


 まあ、安心はしたのだが……一つだけ、困ったことがある。


 とは言え、その一つが今のところ一番の問題だ。


 俺は一体誰に説明しているのかはわからないが、とりあえず言わせてくれ。


「ここ何処だぁぁぁ!!!」


 俺の魂の叫びが虚しく荒野に響いた。





 数時間後、とりあえず落ち着いた俺は、腰に下げた刀、千代桜を揺らしながら宛てもなく荒野を歩いていた。ちなみに、千代桜はどういう訳か、鞘に納まって俺の足元に転がっていた。


 何で……いや、もう深く考えるのはやめよう。さっきから何度も考えてるけど、どうせ分からん。


 俺の目の前には、見渡す限り荒野が広がり、遥か先には岩で出来た柱なのか山なのかよくわからないものが鎮座しているのみである。


「はぁ……一体どうなってんだよ?」


 今日何度目かわからない溜息と呟きが漏れる。


 その時、俺は遠くからこちらへ走り寄ってくる3人組を見つけた。


 やっと人がいた!


 第一村人発見!


 宛てもなく歩くことにも飽きていた所だったので、俺は嬉しくなって叫んだ。


「おーい!こっちだこっち!」


 近付くにつれ3人の容姿がハッキリしてきた。


 一人はガッシリとした体つきの中年の男で、その両隣には身長が小さくギョロ目の男と関取のように太った男という何とも凸凹した3人である。


 そして、極めつけはその格好。


 3人とも、黄色い頭巾をかぶり、簡易的な鎧のようなものをまとい、腰には中華風の剣を下げている。


 ……コスプレだろうか?


 まあ、格好に関しては現在の自分も人のことを言えないので黙っておこう。


 それより、これでこの荒野から抜け出せる!


「良かった!実はこの辺りで迷っ」


「おう、兄ちゃん!金目の物があるなら大人しく出しな」


 ん?


 この人達はそういうキャラのコスプレなのか?


 なら!


「ふっ……俺を誰だと思っている?天下の剣豪、北郷一刀様だぞ!」


 ドヤ顔でポージングを取りながら、俺はそう叫んだ。


 こういうの一度やってみたかったんだよな!


 だけど、目の前の3人は目を点にしてア然としている。


「………………」


 やべぇ……俺は何処で間違えた?


 もしかして、この人達は大人し目の人なのか?


「てめぇが誰だか知らねぇが、ふざけてるなら殺すぞ?」


 中年の男が腰の剣を抜き、それに従い後ろの二人も剣を抜く。


「っ!」


 待て待て待て!


 それ明らかに本物じゃねぇか!


「ちょっ、コスプレじゃなかったの!?」


「こすぷれ? 兄貴、コイツ何言ってんすかね?」


「ハッ、んなの知るか。おいガキ、良いから金目の物を出せ!」


 ギョロ目の男が中年の男にそう言うが、中年の男はそれを鼻で笑いながら俺に剣の切っ先を向ける。


「……あれ? もしかして、アンタ真面目に言ってる?」


 そんな……まさか……。


「当たり前だ!良いから早く出せ!」


「出せ!なんだな……」


 中年の男と太った男がまくし立てる。


 …………オーケー。


 少しクールになれ俺。


 状況を整理しよう。


 荒野で人発見→金目の物よこせと言われる→俺がふざける→相手は激怒して剣を抜く→剣は本物→真面目かどうか聞いて当たり前と言われる。


 あぁ…………なるほど。


「本物の強盗!?」


 マジかよ!?


 これ洒落にならない状況なんじゃ……。


 とにかく、警察に……ああ、駄目だ!


 俺も千代桜持ってるから銃刀法違反で捕まっちまう!


「いやいやいや!見ればわかるでしょ!金目の物なんてないよ!」


 携帯や財布とかは俺の部屋だし、だいたい金目の物なんて胴着に着替えた時に全部置いてきたよ!


「あぁ?あるじゃねぇか。てめぇの腰にある剣は何だ?」


 腰にある剣?


 ……まさか、千代桜のことか?


「それは……それだけは出来ない」


「……何?」


 中年の男は怪訝な表情している。


 まさかこの状況でそんなことを言われるとは思ってなかったんだろうな。


 だけど、


「これはじいちゃんから授かった大切な刀だ。他の物だったらまだ考えたけど、これだけはダメだ。どうしてもって言うなら……」


 俺は千代桜の柄に手をかける。


 そう、これだけは譲れない。


 これは北郷御影流を継承した証だから。


 それを奪おうと言うのなら……痛い目に合って貰うまでだ!


 俺は勢いよく千代桜を抜いた。


 太陽の光に反射してキラキラと輝く刃を、俺は3人に向け正眼に構える。


 俺の気配が変わったのを前の3人も気付いたのだろう。


 それぞれ己の剣を構え直す。


 だが、3人とも俺の気迫に負けて腰が退けている。


「なっ、抜きやがった!? おい! お前ら、行け!」


「「へぃっ!」」


 中年の男に激を飛ばされ、後ろの二人が突っ込んできた。


 ……遅い。


「ぎゃっ!」


「へぶっ!?」


 ギョロ目男が剣を振りかぶった瞬間、俺は開いた胴に横薙ぎの一閃をみまう。


 そして、そのまま勢いを殺さず、遅れてきた太った男の胴を通り抜けざまに斬り捨てた。


 ドサリと二人が倒れる音が聞こえる。


 俺の眼前にいる中年の男は、目の前の光景に目を見開き、完全に戦意が喪失しているようだ。


「おい」


「ひぃっ!?」


 俺が声をかけると、中年の男は引き攣った顔を向ける。


「そこの二人を連れてどっかに行きな。峰打ちだから死んではいないからね」


 俺はそう言いながら、倒れてる二人に目を向ける。


 二人は痛がって悶絶はしているものの、やはり死んではいない。


「どうする? まだやるってんなら……」


 刀を握り直してそう聞くと、中年の男は慌てた様子で倒れた二人を起こして走り去って行った。


「はぁ……」


 溜息をつきながら、静かに納刀する。


 まさか本物の強盗に襲われるとは……。


 生まれて初めて強盗に襲われたけど、本当に千代桜持ってて良かった。


 でも何か忘れてるような気がするんだよな……。


「…………っ!? 俺、アイツらにここが何処か聞いてねぇ!」


 おもわず叫び声を上げ、頭を抱えた。


 また振り出しかよっ!?


「ぐぬぬぬ……」


 唸りながら己の馬鹿さ加減に自己嫌悪していると、ふと遠くから聞き慣れない音が聞こえた。


「これは………」


 音の聞こえる方に目を向けると、遠くの方で砂煙が見える。それにこの音は……馬の蹄の音だ。


 音と砂煙はどんどん近付いてくる。目を凝らしながら砂煙を凝視すると、何人もの人が乗っているのがわかる。


 またさっきみたいに強盗紛いな奴じゃないだろうな?


 でも、このままじゃどうしようもないしなぁ……。


 仕方ない。


 また声をかけるしかないか……。


「おーい!」


 俺は馬に乗った軍団に向け、大声で呼び掛けた
















「天の御遣い?」


 私は部下の言葉に眉をひそめた。


「ここ最近、民達の間ではこの話題で持ち切りです。ここまで噂になっていると、あながちその噂も嘘ではないのではないか、と私は考えています」


 我が部下、莉昂りこうは報告書を見ながら私にそう語りかける。


「ふむ……話は分かったが、貴公は私にどうして欲しいのだ?」


 イマイチ意図が見えん。


 こ奴のとだ。


 意味もなくこのような話をする奴ではない。


 だが一体何が……?


「私の意見としましては、“天の御遣い”を見付け次第保護するべきかと」


 真剣な表情で莉昂は言った。


「何故だ? まさか、その“天の御遣い”の威光を使い、我ら陶家による天下統一……なんて言わないだろうな?」


 私は怪訝な表情を浮かべながら莉昂に問う。


 そう、私に天下統一などという野望はない。今、任されている幽州の統治ですらままならないのが現状なのだ。


 故に、私にはこの大陸を統一するに値する器量はない。それは私自身が一番よくわかっていることだ。


 だからこそ、わざわざ“天の御遣い”を保護する理由がわからない。


「そうではありません。むしろ、幽州の周辺にいる諸侯に、“天の御遣い”の威光を使わせないために先手を打つのです。もし、義遠ぎえん様が“天の御遣い”を保護した場合、周辺の民達に“我等は天の威光と共にこの地を統治する”とでも言っておけば、諸侯達も迂闊に我等へ出兵出来ないでしょう。昨今の荒れた状況の中、民達の反感は買いたくないでしょうから」


 莉昂は私の目を真っすぐ見つめてそう言った。


「なるほど……筋は通っているな。ところで、この話は他に誰が知っている?」


「今のところ、私と義遠様、そして権陽けんよう様だけです」


 権陽か……。


「その権陽はどう言っておった?」


「権陽様ですか? 権陽様は、義遠様の判断に従うとのことでした」


「そうか……」


 奴も反対しないということは、恐らくそれなりに効果があるということなのだろう。


「良かろう。貴公に一任する!」


「御意」


 莉昂はそう言って一礼すると、私の執務室から出ていった。


 それにしても、天……か。


 思い出すのはあの男。


 たった2年だが、共に戦場を駆け抜けた戦友であり、流星と共に現れ、光の中に消えていった、誇り高き剣士。


 30年程経った今でも、あの男の姿は忘れられない……。


 ……いかんな。


 まだ政務が残っているというのに、感傷に浸ってなどおれぬ。


 そう思いながら、私は机に乗る書簡に手を伸ばした。




















 先程、莉昂から義遠様が“天の御遣い”を保護することに決められたという報告を受け、私はある思いを抱いていた。恐らく、義遠様も同じことを考えていらっしゃるだろう。


 私と義遠様にとって、“天”という言葉は特別だ。


 まだ私が10代半ばの、義遠様に仕えて間もないあの頃、ちょうどその時期に出会ったのが、彼だった。


 たった一降りの剣のみで、現在の我等の未来を切り開いた恩人とも言えるお方。流星と共に現れ、光の中に消えた彼は、まさしく天から遣わされたと言わざるを得ないほど気高かった。


 たった2年の月日だったが、彼の思想は今の私の根本とも言える程、影響を及ぼしてしている。


 あれから30年、愛する妻と息子が出来るなど……あの時の私からすると想像も出来ないだろうな。


 そう思いながら、私は一人苦笑していると、


「親父! 入るぜ!」


 乱暴に扉を開けて、我が息子が入ってきた。


士陽しよう……お前は礼儀というものを知らんのか? 人の部屋に入る時は、一言声をかけろといつも言っているだろう」


 あまりにも礼儀知らずな入り方をする息子に呆れながら、私は息子を睨みつける。


「何怒ってんだよ。それに、ちゃんと声はかけたぜ。入るってな」


 我が愛する妻から受け継いだ赤髪を揺らしながら、何故か威張ってそう言う息子の姿に頭が痛くなる。


「……まあ、良い。して、用件は何だ?」


「“天の御遣い”の話だ。何でそんな胡散臭い奴を保護するために、俺がソイツを探さなきゃならねぇんだよ! 莉昂の兄貴から、親父が俺をその役に推薦したって聞いたぞ!」


 なるほど、そういうことか。


「それはお前が適任だからだ。賊風情には遅れを取らぬ実力を持ち、かつ我が軍で単独で動き回れるのはお前だけだ。だからお前を推薦したのだ」


 私がそう言うと、士陽はいかにも不服そうな顔をする。


「おいおい、何で俺が単独で動けるんだよ。俺の部隊はどうすんだ?」


 確かに最もらしい言い方だが、私は知っている。


「ほぅ? お前、私が知らぬとでも思っているのか? お前の部隊はほぼ莉昂が調練しているそうじゃないか?」


「うっ!?」


 気まずそうな顔をする士陽。


 士陽が調練を怠けている話はすでに所々から聞いている。


 まったく……その話を聞かされる私の身にもなれ、馬鹿者が!


「いや、あのな親父? あれは莉昂の兄貴が……」


「言い訳はいいから、とっとと準備をせぬか!この馬鹿者め!」


「りょっ、了解!」


 慌てて私の部屋を部屋を出る息子の姿に、おもわず溜息を漏らす。


 その時、扉の外に人の気配を感じた。


漢瑜かんゆ様、入ってもよろしいでしょうか?」


「構わん、入れ」


 そう命じると、部下が部屋に入ってくる。


「あの……ここに来る前に、若が半泣きで走り去って行きましたが……大丈夫なのですか?」


「……構わん、放って置け」


 息子の情けなさに再び頭痛を感じるが、無視して部下からの報告に私は耳を傾けた。



















 親父からの指示―という名の命令―で、俺はここ数日、幽州内のあらゆる場所で、“天の御遣い”に関する情報を探した。莉昂の兄貴からは、もし本人を発見したら、至急城に連れて来いって言われた。


 だが、得る情報はいつも一緒で、有名な占い師がそう言ったから、だそうだ。


 ……兄貴よ、いくらなんでも無謀過ぎねぇか?


 つか、占い師マジでふざけんな! てめぇが適当なこと抜かすから、俺がこんなことする羽目になっただろうが!


 だいたい、容姿なり持ってる物なり、何かしらの情報がねぇと探しようがねぇよ!


 まあ、何の情報もないからこそ、誰かが集めなきゃいけないんだろうけど……何もそれが俺じゃなくても良いだろうが!


 しかも兄貴も情報を集めてるなら、俺の意味なくねぇか!?


 心の中で一人ぶつくさと文句を言いながら、俺は馬の上で顔をしかめる。


「これだけ探していねぇんだ。帰っても文句は言われねぇはずだ」


 そう独りごちて、俺は眼前にある義遠様の城から視線を下げる。乗っている馬も疲れの色が見えた。


「ありがとな。もうすぐ城に着くから、着いたらゆっくり休みな」


 俺はそう言って馬の首をさすってやる。


 その時、東の空からまばゆい光が辺りを包んだ。


「っ!? 何だ!?」


 太陽ではない。太陽の光はこんなに白く、まばゆくはないから。


 俺は東の空を見上げると、空から光の筋が降っている。


「あれは……流星!?」


 おもわずそう叫んだ俺は、そのまま流星を見ていると、城から3里ほど離れた場所に落ちたのを確認した。


 あそこは確か、荒野が広がる場所だったな……。


 まあ、何でも良い。


 今は親父達に知らせる方が先だ!


「悪いな、もう少し頑張ってくれ!」


 俺はそう言って馬の腹を軽く蹴って、急いで城に戻った。




















 またもや突然乱暴に扉を開けて入ってきた息子に、今度こそゲンコツの一発でもくれてやろうとしたが、息子の話を聞いて、私は義遠様の下へ急いでいた。


 “天の御遣い”の話、そして動乱の予感漂うこの時代、そして先程息子から聞いた流星の話。


 いくらなんでも話が出来過ぎている。


 これではまるで、30年前の状況と同じではないか!


 まさか……あの流星は彼だというのか!?


 はやる気持ちを抑え、義遠様の部屋へ飛び込む。


「義遠様!」


「おぉ!権陽か!」


 義遠様はもうすでに出陣の準備を終えているようだ。横には、莉昂も控えている。


「義遠様、士陽の話はもうお聞きになられましたか?」


「うむ……権陽、貴公はどう思う?」


 複雑な心境なのだろう。


 義遠様は顔を歪めながら私に聞いてくる。


「……正直、私も複雑です。あまりにも30年前と状況が似過ぎています。それに、流星の話が本当なら……“彼”の可能性も否定できません」


 私がそう言うと、義遠様は頷きながら私の意見に賛同する。


「やはり貴公もそう考えるか……。何はともあれ、実際に行ってみなければわからん。莉昂、城のことは貴公に任せる! 義遠、貴公は私と共に、流星が落ちた場所に急ぐぞ!」


「「御意!」」





















 あれから急いで出陣した我々は、士陽の言っていた城から3里ほど離れた荒野に来ていた。


「士陽、本当にこの辺りに流星が落ちたのか?」


 隣で馬に乗る権陽が、士陽に確認している。


「間違いねぇよ。あんな異常な物が空から降ってきたんだ。忘れる訳がねぇ」


 そう言って、士陽も辺りを見渡す。


 こ奴は弓の名手でもある。


 故に、その目の良さは信用に値する。


 その時、


「っ!? 親父、北東の方向に誰かいるぞ!」


「何っ!? 義遠様!」


 私は士陽が言った方向に目を凝らす。


 ……確かに、人影のようなものが見える。


「全軍、進路を北東に向け前進!」


 まさか……本当に奴が帰ってきたというのか。







 しばらく馬を走らせると、徐々に人影の姿が私の目にも見える程ハッキリとしてきた。


 どうやら男のようだ。向こうもこちらを呼んでいるのが分かる。


 そして、男のすぐ側まで寄り馬を止め、あらためて男を凝視して、胸が締め付けられるのを感じた。


 私の記憶が正しければ、男が着ているのは胴着、袴と呼ばれる服であり、その腰に下げているのは…………千代桜という名の刀剣であったはず。


 隣をちらりと見ると、権陽も目を見開いて驚愕している。


 まあ、そうであろうな。私もかなり驚いている。


 何せあの刀剣………あれの所有者は、私の知っている中ではただ一人。


 30年前、光の中に消えた我が親友、“北郷 一心”が持っていた物なのだから……。




















 俺の前で馬を止めた人達は、今だ何も言わずただ俺を見ている。まあ、ぱっと見た感じ、さっきの奴らよりは気品を感じるし、強盗の類いではないだろう。


 でも、何でさっきから何も言わずこっちを見るだけなんだろう?


 特に真ん中にいる二人はすごく驚いた顔をしているのが、傍から見てもわかる。


 うーん……気まずい。


 とりあえず、声だけかけてみるか。


「あの……実は道に迷ってしまいまして、助けて頂けないでしょうか?」

 

 俺の声を聞いて、真ん中の二人はビクリと体を震わせた。


 その二人の内、じいちゃんと同じくらいの歳の、髭を伸ばした老人が馬を降り俺に近付いて、一言呟いた。


「………………一心」


 その一言に、俺も驚愕する。


「じいちゃんを知ってるの?」


「じっ、じいちゃん?」


 目の前の老人がまた驚いた顔をする。この人、じいちゃんの知り合いなのかな?


 良かった!


 こんな訳の分かんない場所で、じいちゃんの知り合いに会えるなんてラッキーだ!


「あっ……まだ俺の名前を言ってませんでしたね」


 名を名乗る前からこんなに馴れ馴れしくしたら失礼だ。


 じいちゃんがくれた誇り高い名を、ちゃんと名乗らなきゃな。


「北郷御影流剣術継承者、北郷 一刀です!」


 向こうに控える方々にも聞こえるよう、俺は大きな声でそう言った。


「北郷 一刀……? それが貴公の名か?」


 目の前の老人は依然として目を丸くしながらそう問いかけてきた。


「はい。それで……貴方は?」


「っ!? これは失礼した。私は陶謙、字は恭祖きょうそ。今はこの幽州で刺史ししを務めさせてもらっている」


 ……ちょっと待て。今このご老人は何て言った?


 俺の記憶が正しければ、陶謙って三国志にいたよな?


 ってことはアレか?


 さっきの黄色い頭巾の奴らは黄巾賊か?


 なるほど、だから本物の剣なんて持ってたのか。ハハッ……つまり、俺はタイムスリップした訳だ。


「どこまでファンタジーなんだコンチクショォォォォォォォ!!!!」


 目の前の陶謙さん達は、どうしていいかわからず目を白黒させるのみだった。







オリ設定満載ワロタなんですけど、大丈夫ですかね?


うーん、不安だ(-"-)

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