~第二話~侍、師の駆けた軌跡を知る
ねつ造し過ぎたwwwww
正史の陶謙はこんな良い人じゃないらしいですねww
まあ、とりあえず第二話をどうぞ!
とりあえず落ち着いた俺は、陶謙さん達に連れられ、城に向かっていた。
それにしても、まさか三国時代にタイムスリップするとは……我ながら稀有な体験だと思う。
まあ、依然として何故こうなったのかは皆目見当もつかない。加えて、陶謙さんはどうやら、じいちゃんの事を知っているようだ。
これまた何で知っているのか分からないけど、とりあえず、じいちゃんの知り合いに会えたってのは不幸中の幸いだと思うことにした。
まあ、そうじゃねぇとやってらんねぇってのが本音だ。
だけど実際、今俺はこの世界にいる。ぶつくさ文句を言っても、何かが変わるわけでもない。
それにじいちゃんなら、どんな場所にいても冷静なはずだ。
だから、一先ずしばらくは陶謙さんにお世話になろう。
俺は心にそう決めると、隣で馬を走らせる陶謙さんを見る。先程までは少々取り乱していたようだけど、今はただまっすぐ前を見て、眼前に迫る城を見つめている。
ちなみに、俺は今馬に乗っている。修行の一貫として、じいちゃんから馬術を習っていたから、当然俺は馬に乗れる。
車やバイクがあるこのご時世、馬なんて乗る機会はないだろうなんて思ってたけど、まさか今そのスキルがフルに活用されるとは………本当、じいちゃん様々である。
「北郷殿……っとお呼びして良いかな?」
隣にいる陶謙さんがそう言いながら俺を見ている。
「あっ……じいちゃ…じゃなかった。我が師の知り合いのお方であるならば、私のことは一刀とお呼びください」
そう、この人がじいちゃんの知り合いであるならば、失礼などあってはならない。
それはじいちゃんの顔に泥を塗る行為だ。
そんなこと、俺自身許せるわけがない。
「そうか……ならば一刀、もうすぐ城に着く。着いたら君と話がしたいのだが、良いかな?」
「はい、私としましても、刺史様に色々とお伺いしたいことがあります故、その提案をお受け致します」
「うむ、では着いたら私の侍女を君の下に向かわせる。君は彼女の案内に従ってくれ」
「承知しました」
俺がそう答えると、陶謙さん……いや、もう刺史様と言った方が良いか。
とにかく、陶謙様は満足げに頷いて再び前を向く。そして、城門が開くと、軍団は城内に入っていった。
さて、どうなることやら……。
城内に着き、侍女に一刀の下へ向かうよう指示を出し、私は自室である執務室に足を運んだ。私の後ろには権陽も控え、いつでも話が出来る程には落ち着いているようだった。
執務室に着き、会議用の円卓に座る。隣に座る権陽に、私は声をかけた。
「権陽、貴公は一刀を見てどう思った?」
権陽は少し考えるそぶりを見せ、そして口を開く。
「……私が若かりし頃に見た一心様にそっくりです。そして、本人も一心様をじいちゃんと呼んでいる事から、一心様の親族と見て間違いないでしょうな」
「ふむ……やはり貴公もそう思うか」
「はい。それに、彼の腰に下がっていた刀剣、あれは一心様が持っていた千代桜です」
「ふむ……」
やはり権陽とは同じ結論に至ったようだな。まあ、何にせよ聞いてみなければわからんか……。
その時、扉の外から侍女の声が響いた。
「刺史様、北郷殿をお連れしました」
「うむ、通せ」
扉が開き一刀が入ってくる。こちらに向かって歩く姿には隙がなく、かつての親友の姿を思い出す。
なるほど……流石は一心の弟子といった所か。
「ご苦労だったな。とりあえず、座りたまえ」
「はい、失礼します」
そう言って、一刀は腰に下げた千代桜を円卓に立て掛け、一礼すると静かに座る。
ふむ……まあ、一心が弟子に礼儀を教えていないわけがないか。
さて、どんな話が聞けるのやら……。
「はい、失礼します」
そう言って彼は一礼すると静かに座る。その動作に無駄はなく、礼儀作法も抜かりはない。
流石は一心様の弟子。
どこかの馬鹿息子に垢を煎じて飲ませてやりたい所だが、恐らく無駄であろう……。まったく……私はどこで教育を間違えた?
まあ、良い。
今はそんなことより彼だ。
雰囲気はどこと無く一心様に似ているが、まだ幼さの残る顔立ちで、未熟さが隠しきれていない。しかし、その眼光は鋭く、彼が一心様の弟子であることは良くわかる。
「まずは刺史様、この度は私のような者を城に招いて頂き、厚く御礼申し上げます」
そう言って彼は義遠様に頭を下げた。
本当に礼儀の良く出来た子だ……。隣にいる義遠様も感心している。
まあ、一心様が鍛えた子ならば、当然と言えば当然だが……。
「うむ、気にせんでよい。して、一刀よ。話をする前にいくつか確認するが良いかな?」
「はい、構いません」
義遠様の問いかけに彼は真っすぐ目を見て答える。
「まずは、我等が知っている北郷 一心は、北郷御影流剣術継承者かつ師範代であったと記憶しているが、相違ないか?」
「はい、間違いありません」
「では、彼が持っていた刀剣は、君が持っている刀剣に良く似ていたが、その刀剣の名は何と言う?」
義遠様が彼の剣に目を向ける。
「これですか?」
彼は脇に立て掛けた刀剣を手に取る。
「……これは我が北郷家に代々伝わるもので、北郷御影流剣術継承者しか持つことの許されない刀です。名は千代桜。私はこれを、北郷御影流免許皆伝の証として、師から譲り受けました」
愛おしそうに千代桜を見る彼の姿からは、本当に大切な物なのだという感情が伝わってくる。
「権陽……これはもう間違いないと見て良いだろうか?」
義遠様は私を見てそう言う。
「はい、よろしいかと。彼の説明を聞く限りでは、我等の知っている千代桜の話と相違点は見られません」
間違いない。彼は本当にあの一心様の弟子なのだ。
私は胸が熱くなるのを感じる。
「ふむ………一刀よ。どうやら我等の知る一心と、君の知る一心は同一人物のようだな。まったく以って………感慨深い物だ」
義遠様はそう言って顔を伏せた。
恐らく、一心様を思い出しておられるのだろう…。
「あの……刺史様? とりあえず、お隣の方は何とお呼びしたら……?」
彼は困った表情で義遠様にそう言う。
しまった。私としたことが……そういえばまだ名乗っていなかったな。
「失礼した。我が名は陳珪、字は漢瑜。今は義遠様の将として仕えている」
「ありがとうございます。すでに知っておられるでしょうけど、私の名は北郷 一刀です。字はありません」
そう言って、彼、一刀は私に頭を下げる。
本当に良く出来た子である。あのくらいの歳でここまで出来る者は中々いない。それを平然とやってしまう辺り、一心様と良く似ている。
「ところで、お二方は私の師とどういったご関係で?」
不思議そうな表情で一刀が問いかける。
「まあ、至極当然の疑問だな」
義遠様は納得したような表情でそう言われた。
「さて……何から話したら良いものか……」
そう呟く義遠様はとても穏やかな顔だった。
刺史様が話された内容は、俺にとって驚愕に値するものだった。
話を要約するとこうだ。
30年前、俺と同じように―まあ、俺自身自覚はないが―流星に乗って現れたのがじいちゃんだった。刺史様は突然のことに慌てたが、じいちゃんと話す内に意気投合。
じいちゃんは刺史様と行動を共にし始め、ちょうどその頃に陳将軍とも知り合ったらしい。
当時、刺史様はこの幽州で治安維持のため、軍を率いて賊討伐を行っていた。そこに協力したのがじいちゃんだった。
話を聞く限りでは、じいちゃんの実力は当時からかなりのモノだったらしく、その活躍は一騎当千だったそうだ。
そして、じいちゃんが刺史様と行動を共にしてちょうど一年がたった頃、後漢皇室から直々に刺史様へ指令が下る。
その内容は、韓遂という者が起こした後漢皇室への反乱を鎮圧せよとのことだった。
刺史様達は直ちに軍を編成し、韓遂の反乱軍がいる涼州へ出陣した。出陣した当初、まだ反乱軍の勢いは凄まじく、刺史様達も負けが続いた。
しかし、刺史様達はそれでも一年あまり戦い続け、徐々に反乱軍の勢力を削っていった。流石に反乱軍も、一年にも及ぶ戦いによって受けた損失は甚大であり、士気もかなり下がっていた。
そこにトドメを刺したのがじいちゃんだった。
この時じいちゃんは将軍として陶謙軍に参加。北郷隊と名付けた隊を率いて反乱軍と衝突し、見事に韓遂を討ち取った。
こうして一年にも及ぶ反乱軍との戦も終わりを迎え、刺史様はこの功績として幽州刺史を務めることになった。
刺史様はじいちゃんに何か役職を与えようとしたが、じいちゃんはそれを全て辞退。
そして、じいちゃんは元いた世界でやらねばならぬことがあると言い残し、じいちゃんを迎えにきたと言う妖術師と共に、光の中に消えていった。
これが刺史様の話した全容だ。
「その後、私の師とは……?」
「一度も会っていない。私も権陽もな……」
陶謙様がそう言うと、目の前の二人はとても寂しそうに笑う。二人にとって、じいちゃんがどんな存在なのかはよくわかった。
そういえば、以前じいちゃんから、私には、今は離ればなれになっているが、心の底から信用できた者達がいる、という話を聞いたことがある。
それって、刺史様達のことだったのかな……。
「して、今は一心はどうしているのだ?」
刺史様の問いかけにドキリとした。
でも……こればっかりは言わなきゃダメだよな。
「師は……一週間前に亡くなりました……」
俺は覚悟を決め、二人にそう伝える。
「なんと……!」
「一心様が!?」
二人は目を見開き驚いたようだが、やがてすぐに沈痛な面持ちになった。
「そうか……アイツは逝ってしまったか………」
刺史様は落胆した様子でそう呟く。
隣の陳将軍はア然として言葉も出ないようだ。
俺は二人の様子に、不謹慎ながら嬉しくなった。向こうの世界では、近所の方々以外、じいちゃんは時代遅れの変人として親戚達や様々な人たちにうとまれていた。
だけどこっちの世界は、じいちゃんの実力を正しく理解し、素直に認めてくれる人がいる。
それだけで、俺は胸が熱くなって涙が出た。
「っ!?……すまぬ。君にとっても辛い話だったな」
刺史様は俺の顔を見て申し訳なさそうにそう言う。
「いえ……そうではないのです。ただ、この世界ではちゃんと師が評価されていることが嬉しくて……」
俺が涙を拭いながらそう言うと、二人は驚いた表情を浮かべる。
「なんと……天の世界では、あれ程の男が評価されないのか!?」
「馬鹿な……一心様が評価されないとは……。天の世界はどうなっているのだ?」
二人は信じられないとでも言いたげな表情で俺を見る。
まあ、この世界の住人ならそういう反応になるだろうな。
なんせ俺達の世界とは常識も違う。
……話してみるか。
俺達の世界のこと、親戚達のこと、今までのこと。
俺はそう決めて、二人に語り始めた。
一刀の話により、天の世界のことはだいたいわかった。確かに、そこまで平和ならば、武を学ぶ必要はないのかもしれない。
だが、それと一心様が評価されないことは別問題だろう。
しかもそれが親族達なのだから、なんと愚かなことだろう。
しかし、私はそれよりも衝撃を受けたことがある。
一刀のことだ。
同じ子を持つ親として、私は親族達に怒りを覚えた。例え親がどんな者であっても、子供に罪はない。
にも拘わらず、一刀を放って置いた親族達は、人として間違っている。そして、その時一刀に手を差し伸べた一心様は流石である。
だが、その一心様も亡くなり、とうとう一刀は一人ぼっちだ。
親戚からは愛してもらえず、唯一愛情を注いでくれた一心様はもうこの世にはいない。
あまりにも可哀想ではないか。
我が恩人たる一心様が大事になされた一刀が、こんな哀れなことになっている。
私に何か出来ることはないのか?
その時、私は心の中である思いが生まれた。
「一刀、君はこれからどうするのだ?」
私の問いに一刀は考えるそぶりを見せる。
「……突然だったので、特に考えがあるわけではないですね」
「なるほど………。ならば、私の家に来ないか?」
そう言うと、一刀は驚いたように目を見開いた。
「良いのですか?ご迷惑になるのでは?」
まったく……気配りが出来るのは良いが、少し自分を蔑にし過ぎなのではないか? そういう所も含めて色々教えてやらねばならぬと思う。
それに、一心様への恩返しの意味合いもある。一心様は様々な面で私を育ててくれた。
今度は私が一刀を育てる番だ。
「構わぬよ。私の家にも君と同い年の子がいてな。陳登 元龍というのだが、仲良くしてくれると嬉しい。義遠さまも、そういうことでよろしいですか?」
私は隣で静かに様子を見ていた義遠様に目を向けた。
「良いのではないか?私は貴公の判断に任せるさ」
義遠様は納得した表情でそう言う。
「では……よろしくお願い致します」
そう言って、一刀は私を見ながら頭を下げた。
流星の件があった日から一週間がたった。
当初の予定通り、義遠様が天の御遣いを保護したんだが……
「士陽、これはここで良いのか?」
何故かその天の御遣いは俺の家にいる。
「お前……よく働くな………」
「そりゃあそうさ!タダで住まわせてもらってるんだ。このくらいやらないと罰が当たっちまう!」
ニッ、と笑いながら、一刀は酒の入った木箱を蔵に置く。
最初、親父から俺達の家に一刀が住むと聞いた時はかなり驚いた。普通ならば、保護対象者は城の客室に住まうはずである。
にも拘らず、何故か俺の家に居候することになったらしい。
初めは真面目で固い奴なのかと思ったが、意外と気さくで面白い奴だった。俺はすぐに一刀を気に入り、真名を教えたが、真名を知らないと言われた時は流石に焦った。
そんな奴いるのかと思ったが、天の国では真名なんてものはないらしい。真名の意味を教えた時は、かなり驚いていた。
どうやら、義遠様の真名を言おうと思っていたらしく、言ってもいないのに焦っていた一刀の姿は笑えた。
そんなこんなで今に至るが、親父から一刀の事情を聞いた時、大事にしてやろうと思った。
だってそうだろう?
頼れる家族がいないなんて、悲しすぎる。俺はよく親父と喧嘩のような言い争いをするが、一刀はそんな相手すらいないのだ。
ならば俺がそんな相手になれば良い。
嬉しい時に共に笑い、悲しい時に共に泣き、悔しい時に共に怒る。
これから先、どう転がっていくかわからねぇが、俺は一度“友”と決めた者を見捨てたりしねぇ。
だから、これからも仲良くしていこうぜ、一刀。
士陽君に親友フラグが立ちました。
まあ、ウチの陶謙さん達はこんな感じです。
外史ってことで勘弁してくださいwww




