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結婚はもう少し先で|晴れの国の清音姉妹

結婚について質問された真昼。

たしかに友達とかしはじめたけど。

夕食のテーブルで3姉妹がそろってご飯を食べている。

湯気の立つ味噌汁と揚げたてのコロッケ。

夕夏の手作りの夕飯から、美味しそうな香りが広がっていた。


花夜は早々とお代わりをしており、3杯目も悩んでいる。

特に誰もしっかりは見ていないつけっぱなしのテレビ。

夕方のニュースが終わり、クイズ番組が始まるまでのコマーシャル。

それに夕夏の箸の動きがピタリと止まった。


『三十代からの出会いを応援します!女性は完全無料!!』


婚活パーティーのCMが流れてき、軽快な声と幸せそうなカップルの映像が流れる。


「真昼ねえって結婚するの?」

「はあっ!?」


大きな声を上げたのは真昼ではなく花夜だった。


「……なにをいきなり」


少し遅れて真昼もコロッケを半分に割りながら、気のない声で返す。


「するかもしれないし、しないかもしれないでしょ」

「でも、全然想像できない。彼氏いないし」


夕夏は淡々とした調子で言った。


「う、うるさいな。夕夏だって彼氏いないでしょ」


その切り返しは予想してましたと、鼻で笑う妹。


「告白は年に二桁回数されるけどね」


妹がアホほどモテるのを忘れていた。


「え?でも夕夏は女子高だよ?」


純粋な妹の声に姉二人が視線を外す。

まあ、女子高ではそういうのはよくあるんだよ、いつかわかる。

姉はかっこいい系の先輩や、可愛い系の後輩にもてるんだ。

そう内心で告げた。


「でも僕は真昼おねえちゃんなら絶対できると思うな」


花夜が嬉しそうに言う。

目がキラキラと輝き、嬉しそうに姉を見てなにか頷いている。


「真昼おねえちゃんだよ!?しっかりしてて、こんな可愛んだよ??」


妹に手放しでほめられてまんざらではない真昼。

そして一通りほめて満足げな花夜。


「……うわぁ」


思わず夕夏が声に出してドンびいた。

自分の姉と妹ながらたまにキモイ。


「で、でもさ。結婚したら家から出ていくんだよ」


気を取り直して夕夏は花夜が気が付いていない事実を伝える。

そう、結婚すればおのずと真昼はいなくなるのだ。


「今みたいにご飯食べられないし、顔だって見られなくなる」


ご飯の三杯目をよそう花夜がフリーズした。

固まる清音家。

炊飯ジャーからコマ送りのようにゆっくりとこっちを向いた。


「ぼ、僕もおねえちゃんは結婚無理だと思う。彼氏いないし」

「花夜!?」

「……ブフォッ」


ツボったようで夕夏がテーブルに突っ伏して震えている。

相変わらずフリーズしている妹1と声を上げて笑っている妹2。


「それに夕夏と二人暮らしは本当に嫌」

「奇遇ね、私もよ」


見つめあう二人の妹。

うふふと不気味に笑い合う。

この話題は続けるべきではないと真昼が数度食卓を叩いた。


「花夜が独り立ちするまでは、私は見守るんだから今は考えてないの」


まったく、と少し怒り気味でコロッケを齧った。

ようやく呼吸が整った夕夏が落ち着くためにお茶を飲んだ。


「……独り立ちって大学卒業までだと、まだ10年はあるね」


23歳の10年後か。

ひょっとしたらさっきのCMにお世話になるかもしれない。

完全無料だし。

一瞬背中がヒヤッとした。


「ねえ真昼おねえちゃん」

「なに花夜?」


呼ばれて振り向くとすごく真面目な表情。


「大学卒業までいてくれるんだよね」

「ええ、そうよ」


その言葉に嬉しそうに花夜が問いかける。


「大学って何回なら留年しても卒業できるの?」

「その考え方は良くないよ!?」

「ンフフフフフ」


再び机に突っ伏す夕夏。

今度は我慢できず膝を何度も叩いている。

テレビのクイズ番組では、男性がコロンビアと高らかに正解を答えていた。


挿絵(By みてみん)

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