休日のひと騒ぎ
桜ノ宮女学院に入学してはや一ヶ月。
なんだか大変だけどあっという間に過ぎてしまった。
でも、何とかやっていけてるからいいのかな?
寮の規則は結構厳しいので平日は勉強するかご飯食べるか寝るか、くらいなんだけど……
休日は割りと自由に過ごせるのだ。
「あやめさん、このクレープ屋さんおいしいんですよ♪」
「ここってこの前出来たところなんだよね?」
「はい!雑誌で紹介されてたので!」
とまあ、僕は姫野さんとデートの最中。
「あやめー、私暇なのだけど遊んでよー」
まあうるさいのが一人?一体?付いて着てるけど。
「なずなちゃんクレープとか好きなんてやっぱり女子って感じだなぁー」
「そうですか?おいしいので楓さんも食べましょう!」
「う、あやめが食べるなら私も食べようかな」
もう一人いた。
まあこれはこれで楽しいからいいんだけどね。
「私はもちろん食べるよ、楓も食べよう?」
「あ、じゃあ私三人分買ってきますね、ちょっと時間かかると思いますけどここで待っててください」
「ありがとう、じゃあ私たちはここら辺で待ってるね」
そういって近くのカフェテラスを指差す。
姫野さんがクレープ屋さんに向かうのを見送りながら僕たちは指差した近くのテラスに座る。
「ごめんあやめ、私ちょっとトイレ行って来るね!」
「え!ちょっと」
「なずなちゃんすぐ戻ってくると思うからそこで席とっておいて!」
そういうと楓はトイレがある方に駆け出していってしまった。
僕だけ一人残していくなんて……。
と、その時だった。
「ねえ君、今一人?良かったらちょっと俺らと遊ぼうよ」
「え?あの……」
ちょ、なんなのこの人たち。
え?ナンパ?
ナンパなんて実在するものなの?というか僕男なんだけど。
「今からカラオケ行くからさ、君可愛いしちょっと来てよ」
「えっと、でも今友達を待ってて」
「まあちょっとくらいいいじゃん、来てよ!」
困った。
腕引っ張られてるしなんかまずい気がするんだけど。
「あやめ、人気者ねー」
(ちょっと、困ってるんだから助けてよ!)
心の中で菫と会話する。
なぜか通じるのが嬉しいんだけど、あんまり役にたたなそうだ。
「夏那ちゃん戻ってくるみたいだけれど?何とかなるんじゃない?」
(あ、ほんとだ!これで何とかなるかも)
「あやめさん?その人たちは?」
「あ、えっとこれはね!」
と、僕が事情を話そうとしたとき。
「あー俺らの友達でさ、これからちょっと遊ぶ約束になってるんだよー、君も行こうよ」
「え、えっと、あの、私は……」
「はいはい、じゃあいこうねー。お前らも早く行こうぜ」
仲間たちに声をかけて僕と姫野さんの腕を引っ張る。
どうしよう、カラオケとか歌えないよー。
「ちょっと、あんた達何やってるのかしら?」
「あい?」
「うちのなずなちゃんとあやめに手を出すとはいい度胸してるじゃない」
あ、楓だ。
なんか少し様子がおかしいような……。
というか「うちの」って楓のうちのものになった覚えはないけどね。
「なんだお前、この子たちは今から俺らと遊ぶんだよ、なんか文句あるか?」
「大ありね、この子たちは今から私たちと遊ぶの。まあ正確に言うと若干語弊があるんだけど」
「なんだかよく分からないが、どいてろよ!」
そういって楓を男たちは突き飛ばす。
だけど突き飛ばされたのは、その男だった。
「口ほどにもないじゃない、男なのにだっさいわねー」
「くっ、覚えてろよ、次はないからな!」
ありきたりな捨て台詞を残して去ってく悪者集団。
なんかちょっと弱すぎて拍子抜けだったなぁ、楓がすごいだけだったのかもしれないけど。
って、あれ。
そういえば菫がいない。
「楓さんっ!怖かったです!」
「はへ?」
「楓、助けてくれてありがとう」
「え、なんのこと?」
どういうことだろう、何も覚えていない様子だ。
確かにさっきの楓はいつもの楓とは少し違う感じだったけど。
「私がやったのよ、楓の中に入り込んでね」
(まさか菫、それで楓を操ったってこと?)
「まあそうね、ただ入り込むとすごい力を使うのよねー」
そんなことが出来たんだ。
ってことは本当の意味で取り憑くっていうことじゃ……。
「そんな心配しなくても大丈夫よ、もともと霊体で過ごしてるわけだからいきなり肉体の中に入っても重たくて長くいら
れないから」
(よく分からないけど無重力の月にいた人が重力のある地球にきたら体が動かなくなるのと同じなのかな?)
「その例えもよくわからないけど、そんな感じかもね」
「あの、あやめさん?どうかしてたんですか?」
「ええと、なんでもないよ!ちょっと楓が凄かったなーって思って」
「確かに凄かったですよね、楓さんの事見直しちゃいました♪」
「なずなちゃんーそれって告白って事でいいのかなー?」
「違います!そうじゃなくて友達としてで、あの!」
何やってるんだか……。
楓もあそこで変に悪ノリしなければいいのに。
と、折角の休日がドタバタになってしまったけど菫のちょっとした秘密も知れて楽しい一日だった。




