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ありふれない日常

朝。

眠いです。


まさか幽霊さんに起こされるとは思いもしなかった。

朝倉菫って言うんだっけ……?


「そうよ、菫でも菫ちゃんでもなんでも呼んでくれたらいいから」

「え、何で聞こえてるの!?」

「心で私に話しかければあやめの声がわかるのよ、所謂テレパシーみたいなやつかしら?」


な、なんだって。

ということは僕が何を考えているかも伝わっちゃうのかな。


「あの、あやめさん独り言ですか?」


いけない、今は姫野さんと一緒に登校している最中だった!

もうー、菫もこういう時にびっくりする事言わないでくれればいいのに。


「う、ううん、なんでもないよ!ほんとに!大丈夫だから!!」

「そうですか?昨日も夜中に大変だったみたいなので……」

「ごめんね、心配とかかけちゃった?」

「ちょっと心配しましたよー、あやめさんはこの学校に入学して初めてのお友達だから余計に……」


え。

姫野さん僕のことをそんな風に思ってくれてたんだ。

もちろん僕も入学したてで、入寮したてで、姫野さんが友達になってくれてよかったと思ってたけど。

なんか少し嬉しくなってしまう。


「ありがとう!姫野さん、これからもよろしくね♪」

「はい、こちらこそ!」


と、いい雰囲気になっている最中。


「あやめ~、ねえあやめってば!」

「もう何?静かにしてよー」


あ。


「……」


姫野さんーーー!

違うの違うのこれは僕がおかしいんじゃなくてこの幽霊が!!


…………。

……。

…。

こうして僕は学校へ向かうのだった……。





教室に着くと、すでに大勢の女生徒で賑わっていた。

といっても、まだ初日なのでソワソワしている感じだけど。


「あやめ、おはよう!」


あ、楓だ。

この際だし、姫野さんも紹介していいよね。


「楓おはようー、朝早いね」

「そんなことないよ、それよりその子は?」

「ええと……あの私は」


案の定、姫野さんは楓のテンションに困ってるみたい。

ここはちゃんと僕が紹介しないとね。


「姫野夏那さん、一緒の寮に入寮することになったの」

「へぇ~なずなちゃんね~ほぉー!」


ちょ、ちょっとなんて目で見てるの……。

僕も姫野さんの髪さらさらしたいとか思ったことあるけど、その目は駄目だって。


「あ、あの」

「なずなちゃん可愛いね~、今晩どう~?」

「え!ええと、あの、あやめさんっ!」


楓の悪い冗談で、姫野さんが僕の後ろに隠れる。

ちょっと可愛い……。


「もう、楓!姫野さんただでさえ初対面で困ってるんだからやめなってば」

「ごめんごめん、なずなちゃんごめんね?私初対面だと変に馬鹿やっちゃうタイプでさ~」


馬鹿やりすぎだと思うけど。

馬鹿というより、もはや冗談でなくなってるような気がするのは気のせい?


「……あやめさんっ」


僕の制服の裾をぎゅっと掴み続ける姫野さん。

かわいい


今ならなでなでとかさらさらとかできるかもしれない!

やるなら今しかないよね。


「ふーっ」

「ひゃうっ!?」


なになになに、何事ですか。

思わず男の子が絶対上げないような声を上げてしまったじゃないか。


って。

おい。


「ごめんあやめ、口が滑っちゃった♪」


何なのこの人。

人というか幽霊だけど、いや、一応人か。


もうーー、せっかくもう少しで姫野さんの髪をなでなでさらさらできたのに!!

絶対に許さない絶対にだ。

いつか仕返ししてやるーー。


「ちょ、あやめそんな怖い顔しないでよ」

「がるるるー!」


僕は一人誰もいない方向に向かって唸る。


「二人とも見てるけど、いいのかしら……?」


あ。

まずい。


…………。

……。

…。

何でこうなるんだろ。


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