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妖精の原田さん  作者: 鈴木将太
原田さん1
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原田さんと再会

そんな変な奴(自称妖精)のことを忘れた頃、

大体、数日くらいだろうか。

学校の帰りであった。

少し先も見えないほどの大雨が降った。

傘を忘れて、早くお風呂に入りたい気持ち一心で走っていた。


なぜか、横から眩しい光が飛び込んで私を包み込んだ。眩しさのあまり思わず、目を閉じると体が跳んだ。地面に落ちると転がっていき、コンクリートのようなもので頭を殴られたような衝撃が響いた。


女性が悲鳴をあげて、周りの人間は私を見ていた。


ねえ……私に何があったの? 何が起きてるの?

雨が冷たい。寒いよ。早く風呂に入りたい。


「おい、お前俺の羽根飲んだろ」


目の前にはこの前、出会った妖精がいる。

ああ、これは夢なのか。


「お前は運がいいよ」


そう言うと、妖精は私の額に唇を乗っける。

急に眠気が襲ってきて、暖かい光に包まれた。



白い壁に暖かい光、ここは天国だろうか?

うっすらと見える人影、遠くにいるのか……小さく見える。


「あの、ここはどこですか?」


「病院だよ」


すると、顔に小さな体が乗っていた。

小さな体をつまみ上げると、自称妖精がいた。


「本当に運がいい。本来なら死ぬはずだから」


どうやら、こいつは頭がおかしいようだ。


「俺の羽根を食べたおかげで生きられるんだから」


「羽根?」


私は目を見開いて、思い出す。

不味いお菓子だと思ってた粉はあいつの羽根だったのか?


私は口の中に指を入れて、吐こうとするが、

何も出てこない。


「止めといた方がいいんじゃない?」



すると、病室のドアが開いて、走って飛び込んできたのは母だ。その後ろには医者がいた。


「千帆! 大丈夫?」


慌てて、妖精を鷲掴みにして、服の中に入れ、

小さく頷き、母は私の頭を撫でる。


「君は事故があったとは思えないほど、健康だよ。検査をして三日後には退院出来るよ」


「ありがとうございます」と母は何度も頭を下げる。私は軽く会釈をした。

母は私の頭を何度も撫でて「よかった」と泣きそうな声で話す。


それから数時間後、母は家に帰って、ようやく服の中から妖精を取り出す。


「貧乳だな。お前」


「お前をトイレに沈めてやろうか?」


「それはご勘弁」


妖精はお見舞いのマカオのマーチを開けて、食べ始めた。


「あなたって誰なの? 妖精?」


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