原田さんと再会
そんな変な奴(自称妖精)のことを忘れた頃、
大体、数日くらいだろうか。
学校の帰りであった。
少し先も見えないほどの大雨が降った。
傘を忘れて、早くお風呂に入りたい気持ち一心で走っていた。
なぜか、横から眩しい光が飛び込んで私を包み込んだ。眩しさのあまり思わず、目を閉じると体が跳んだ。地面に落ちると転がっていき、コンクリートのようなもので頭を殴られたような衝撃が響いた。
女性が悲鳴をあげて、周りの人間は私を見ていた。
ねえ……私に何があったの? 何が起きてるの?
雨が冷たい。寒いよ。早く風呂に入りたい。
「おい、お前俺の羽根飲んだろ」
目の前にはこの前、出会った妖精がいる。
ああ、これは夢なのか。
「お前は運がいいよ」
そう言うと、妖精は私の額に唇を乗っける。
急に眠気が襲ってきて、暖かい光に包まれた。
白い壁に暖かい光、ここは天国だろうか?
うっすらと見える人影、遠くにいるのか……小さく見える。
「あの、ここはどこですか?」
「病院だよ」
すると、顔に小さな体が乗っていた。
小さな体をつまみ上げると、自称妖精がいた。
「本当に運がいい。本来なら死ぬはずだから」
どうやら、こいつは頭がおかしいようだ。
「俺の羽根を食べたおかげで生きられるんだから」
「羽根?」
私は目を見開いて、思い出す。
不味いお菓子だと思ってた粉はあいつの羽根だったのか?
私は口の中に指を入れて、吐こうとするが、
何も出てこない。
「止めといた方がいいんじゃない?」
すると、病室のドアが開いて、走って飛び込んできたのは母だ。その後ろには医者がいた。
「千帆! 大丈夫?」
慌てて、妖精を鷲掴みにして、服の中に入れ、
小さく頷き、母は私の頭を撫でる。
「君は事故があったとは思えないほど、健康だよ。検査をして三日後には退院出来るよ」
「ありがとうございます」と母は何度も頭を下げる。私は軽く会釈をした。
母は私の頭を何度も撫でて「よかった」と泣きそうな声で話す。
それから数時間後、母は家に帰って、ようやく服の中から妖精を取り出す。
「貧乳だな。お前」
「お前をトイレに沈めてやろうか?」
「それはご勘弁」
妖精はお見舞いのマカオのマーチを開けて、食べ始めた。
「あなたって誰なの? 妖精?」