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雪の降らない冬の日(タイトル募集中)  作者: もこたすぃ
第一章 消えない傷跡
3/9

『再開の少女』

最後まで読むと神が……嘘です。今回もよろしくお願いします!

「くそっ!」


アキラは携帯を勢いよく壁に投げつけた。

携帯は原型を留めず損壊している。

もう必要ない。

電池が切れ、携帯として機能しない物はただのガラクタでしかない。

そんなものを所持していた所で何のメリットもない。

アキラは路地裏で独り泣いた。

自分でも分かっていた。


ーー俺は泣き虫だ。


独りじゃ何も出来ない。

考えることすら出来ない。

誰かの力を借りなきゃ、誰かがいないと。

何も出来ない。


弱い、弱い男だ。




「ーーやっと見つけた」


突如した誰かの声をアキラは知っている。

アキラは蹲ったまま身震いした。


『向こうで会おうね』


それはアキラを殺したであろう人物の声。

今聞こえた声と同じ声。

その声は明らかに少女の声で、アキラは己が耳を疑った。


「探したんだよ」


殺された時の恐怖が蘇り、声が出ない。

また……殺されるのか。

聞こえる足音。

アキラに近付いてくる何者かの足音。

その足音はアキラを殺した犯人の足音。

恐怖はゆっくり、ゆっくりと。

でも確実に近付いて来る。


ーー来るな、来るな。


アキラは顔を伏せたまま逃げようとするが、後ろは壁で逃げられない。

誰か助けてくれ。

必死に助けを求めるが、自分から人気のない路地裏に入ったため誰もいない。

冷たい壁が『お前は終わりだ』と言っているようだった。



ーー死にたくない。


アキラは声が出ない代わりに目で訴えようと、顔を上げた。

そして、視界に入ってきた人物を見たアキラは、ある人物の名前を発した。




「ーーユウキ」


最愛の妹の姿が、そこにあった。

目の色、髪の色、顔つき、身長。

全てユウキと一致していた。


「ど、どうして」


目の前の光景が信じられず、否定することしか出来ない。

アキラは少女から視点を下げ、地面を見つめる。

自分の状況を合わせば、ユウキは元の世界で死んだの…か?

アキラの混乱した頭では、そんな答えしか導けない。

先ほど言葉を交わしたばかりの妹が今、アキラの目の前にいる。

それが本当なら、嬉しい……訳がない。

背中を刺された時の激痛。

あの痛みは、ユウキに知って欲しくない。

ユウキには……死んで欲しくなかった。


「大丈夫」


少女の声に、アキラは再び少女に視線を向けた。


「私は貴方の妹じゃないから」


少女はアキラに1つの答えをくれた。

少女の容姿が余りにもユウキと似ていたが、この少女はアキラの妹ではない。

ただ似ているだけだった。



「私が貴方を殺したの」


少女の口から告げられた言葉は、罪の告白だった。



ありがとうございました!貴方の元に神が……嘘です。

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