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雪の降らない冬の日(タイトル募集中)  作者: もこたすぃ
第一章 消えない傷跡
4/9

『少女の名前』

少し長くなりました……よろしくお願いしまする!

アキラは自分の耳を再度疑った。

自分が犯人だと自白した少女はアキラをじっと見つめている。

アキラは黙って少女を睨みつけた。

無理もない。

だって目の前には自分を殺した犯人が立っているのだから。


「そう、だよね……恨まれるのも、覚悟の上」


少女は腰の後ろで腕を絡ませ考え込む表情を見せた。

恨まれる覚悟?

少女の発する言葉は、アキラにはどれ1つ理解できなかった。

血の登った頭は考えることを放棄し、怒りをそのままぶつけることしか出来ない。


「私は貴方に言わなければならないことがあるの」


「……なんだよ」


反発してしまうのも仕方ない。

今のアキラは、聞く耳より警戒心の方が働いている。

もう一度殺されるのではないかと、少女の手や足から視点を変えないようにする。

いつでも逃げられるようにルートまで考えてる。


「この世界で貴方がやることは、私がやった事と同じ……人を殺す仕事」


何を言ってるのか全く理解できない。

アキラは再び少女を睨みつけた。


「分からない、よね……貴方はこれから私たちと同じ『殺し屋』になるの……拒否権はないから」


アキラは少女の言葉を聞くとフラフラと立ち上がり、そのまま少女に近付き胸倉を掴んだ。


「て、てめぇ!ふざけんなよ!!」


殺し屋を自称、自分を殺したと自白。

この時点でこの少女は危険であると認識していながら、それでもアキラはその手を離さない。

少女とアキラの距離は0。

殺されるかもと分かっていても、警戒心より怒りの方が強くなり、自分でも制御不能だ。



「ーー私だって」



少女が何かを口にしようとした瞬間、アキラは地面に倒れ込んだ。

背中に感じる激痛。


___あぁ、この痛み……知ってるな。


刺殺された時の痛みによく似ている。

でも少し、痛みの感覚と傷跡は違う。

刺殺された場所は変わらないが、これは刺殺ではない。


「ゔ、ぐっ」


背中の肉を抉られている感覚。

アキラの予想は当たり、背中には大きな穴が開いている。


___ヤバイ、ヤバイ、ヤバイ!




「てめぇ、アイリスに何してんだ!!」


視界が暗くなっていく中、また違う少女の声がした。


ーーまた……死ぬのかよ。


諦めかけた時、背中の痛みは少しづつ無くなっていった。



「リリフ」


アキラを殺した少女がそう唱えた瞬間、背中の傷跡は綺麗に塞がれていった。


「ちょ、アイリス!何でこんなのの肩を持つんだよ」


アキラを襲撃した少女は怒るというより、呆れ顔でそう訴えた。

傷口は一瞬で塞がり、背中の傷は何もなかったかのように治った。

こんなことは魔法以外に考えられず、アキラは自分に掛けられたのは治癒魔法だと勘付いた。


「彼に非はないから」


アキラには全く状況が理解できなかった。

自分を殺した奴が、今度は自分に治癒魔法を使っている。

全然……意味が分からない。


「……アイリスに何かしたらタダじゃおかないからな」


アキラを襲撃した少女はそのまま何処かへ歩いて行った。

アキラはゆっくり体を起こし、背中を確認する。

やはり傷口は塞がっている。

さすがに服までは治ってはいないが、傷口は完璧に修復されている。

ここが異世界なら魔法も説明できる。


「痛いところとかない?」


少女は再びアキラに話し掛けてきた。


「あぁ……その、ありがとう」


自分の傷を癒してくれた人に恩知らずな真似は出来ない。

アキラは小さく少女に頭を下げた。


「気にしないで、メイルも悪気はなかったの……だから許してあげて」


少女は不安そうな表情を見せたまま立ち上がり、アキラに手を差し出した。

アキラは一瞬迷った。

自分を殺した相手で、自分の傷を癒してくれた相手。

この手を掴むことは、殺されたことは水に流すということ。

殺人、ましてや殺されたのは自分なのに、あっさり許してしまって良いのか。

何て考えたが、アキラの手は少女の手を掴んでいた。


「私はアイリス、アイリス・カーライル」


手を取り、引っ張られ立ち上がると、少女が名乗った。


「お、俺はアキラ」


つられてアキラも名乗ると、少女は笑って。


「アキラ」


と名前を呼んだ。

最後までありがとぉぉぉお!

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