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リーズレット=アーダルベルト

124歳


HP 500

MP 350


称号

鉱山の主

酒の女王

湯goodラニアの宴会長(予定)

温泉神(見習い)の盟友


スキル

鉱物錬成 レベル5



「勝った……!!」

「何よこれ?!」


リーズレットさんの鑑定を行ってみた。


そしてリーズレットさんはガッツポーズをして喜び、エレンダールさんは悔しがって声を上げた。


うん。

私としてはその他にツッコミたいところがたくさんあるよ。


リーズレットさん、まさかの100歳超えだった……!

見た目、少女なのに……!


そして酒の女王。

まあ、これはわかる気がする。


なんなんだ。

湯goodラニアの宴会長って!!

それはわざわざ称号にするほどすごい事なのか?!


私はこめかみを抑えた。


「ちょっと!!なんで私がじいやでリーズレットが盟友なのよ?!おかしいじゃない!!」

「まあまあ、落ち着くのじゃ、じい。」

「リーズレットぉぉぉ!!!」


私の横でケンカを始める2人。

いいお年なのに、大人気ない。


「それにしても、エレンダールさんとリーズレットさんの称号に温泉神やら、ゆ…ゆ…湯、good、ラニアやらに関係する事があるって事は、他にもそういう人がいるのか?」

侑李が疑問を投げかけた。


ちなみに『湯goodラニア』は口にするのも恥ずかしい単語らしい。

私もそうだ。


「そうね、可能性はあると思うわ。ただ、見習いにしてもトキコちゃんがいつ温泉神の称号を得たかにもよると思うわ。もしかしたら、称号を得る以前に湧いた温泉についても加護がある事は否定出来ないけど。」

エレンダールさんが答える。


すると、オルガスタの温泉とか、ニフラの温泉については未知数ということになる。


まあ、オルガスタの温泉については私たちがこの世界に転移してくる時に一緒に転移してきたものだし、期待薄だと思う。


「出来れば検証したいところじゃな。もし、ユグドラニアにある温泉のすべてに温泉神の加護があるとすれば、この世界はもはやユグドラニアではなく、湯goodラニアということになるのかの。」


「それは…‥ちょっと……」

思わず苦笑いになってしまう。


だけど、万が一そうだった場合、どうなるのだろう?


『ユグドラニア』


名前からわかる通り、世界樹が中心の世界だ。

要するに、ユージルがこの世界の中心という事になる。


『湯goodラニア』


……………。

な……名前からわかる通り、良い温泉が中心の世界だね……。

要するに、温泉神らしい私が中心の世界。


これは、私とユージルの立場が変わってしまうという事?


そうなった場合、世界樹はどうなるんだろう?


私は別に、この世界から世界樹そのものをどうにかしたいわけじゃない。


むしろ、世界樹が中心の世界で全然OKだ。


ただ花になるとか、植物化したくなかっただけで。


「仮に、ですけど、もしこの世界が湯goodラニア化してるとして、仮に!ですけど、私が温泉神になるとして、そうなったら私ってどうなるんでしょう?仮に!ですけどね?仮に!」


「やけに『仮に』を強調しとるのぅ。」

私の質問にリーズレットさんがツッコミを入れる。


いや、だって、簡単に認められるわけがないからね!


エレンダールさんは顎に手を当てて、考え込む。


「そうね……どうなるのか、正直なところはわからないわね。それこそ、神様にでも聞かないと。」

申し訳なさそうに答えるエレンダールさん。


神様に聞く、なんて出来るわけがない。

今のところ、私にとって神様は鬼門だ。


「神様か……。聞けたらいいけど、ねーちゃん、何か当てはあるか?」


侑李も困ったように考え込んで聞いてくるけど、私はブンブンと首を振った。


「そうじゃな。たしかに今の状況だと少し厳しいかもしれぬ。……ならばトキコよ。少し危ない橋を渡る事になるが、ここはニフラの方を確かめてみてはどうじゃ?」

リーズレットさんが提案する。


ニフラか……。


たしかに土神がいるというニフラの事を確めるのは危険だろう。


だけど、それがいいのかも。

正直、ニフラに湧いた温泉がどういう立ち位置なのかは気になるところだ。


「どうやって確かめましょうか?何か考えはある?」


エレンダールさんに聞かれて、私は思わずミカドちゃんの方を見てしまう。


…‥ダメだダメだ!


これ以上、お子様に頼るなんて、そんなの大人として出来ない。


いくら、ミカドちゃんたち《栄光の竜達(グロリアスドラゴンズ)》が優秀だとしても!


「俺、行くぜ?姐御。」


まるで私の心を読んだかのようにミカドちゃんが言う。


その顔は自信に溢れている。


いやいやいや!

ダメだ!ダメだぞ!私!


「ニフラの温泉を見てくればいいのか?それなら容易いことだぜ!」

そう続けるミカドちゃんだったが、エレンダールさんが首を振った。


「それだけじゃ確認出来ないわ。ミカドちゃんが温泉を見ても何もわからないでしょう?トキコちゃんのその魔道具で鑑定でもすればいいのかもしれないけど、それはトキコちゃんがいないと使えないし。」


エレンダールさんに言われてミカドちゃんは残念そうに肩を落とす。


「ミカドちゃん!そんなにガッカリしないで!ミカドちゃんはすごい働きをしてくれてるんだから!」

私は慌てて慰める。


ちなみに本心だ。


「ふむ。鑑定か……そういえば、ユウリも同じ魔道具を持っていなかったか?そちらでは鑑定は出来ぬのか?」


リーズレットさんに聞かれて侑李が頷いてこたえた。


「俺のも出来ます。そうか、ねーちゃん、俺が行ってくるよ!俺の方が安全だと思うし、何より、い…犬化すれば、そこそこ強いし!」

侑李に言われて考える。


たしかに、そうだけど。


でも、いいのだろうか?


なんだか、私のことなのに周りに任せてばかりで心苦しい気がする。


私はしばらく考えて、こたえた。


「……いいよ。やっぱり、自分で行ってみる。私の問題なんだし、みんなに頼ってばかりはいられないよ。」


私が言うと、みんなは顔を見合わせた。


「トキコちゃんの気持ちはわかるけど、私はおすすめしないわ。私たちも出来ることはするから、周りを頼ったらどうかしら?」

「エレンダールさん、ありがとうございます。たしかに私だけっていうのは不安なので、一緒には来ていただけると心強いです。」

私はエレンダールさんの申し出にお礼を言う。


エレンダールさんは少し困ったような顔になったけど、「わかったわ」と頷いてくれた。


「もちろん妾も同行するぞ!ラウム!」

「もちろんでさぁ!お館様!嬢ちゃんだけ危ない目に合わせることなんぞ、出来ねぇ!」


リーズレットさんとラウムさんも大きく頷く。


本当に、心強い事だ。


しかし、続けられたエレンダールさんの言葉に私は目が点になる。


「そうと決まれば、まずは軍の結成ね!」


……………んん?


「そうじゃな。指揮系統など、整える必要があるの。」


リーズレットさんも同意して、私はますます思考が止まってしまった。


……………んんんん?


「面白くなってきたぜ!!我が《栄光の竜達(グロリアスドラゴンズ)》の腕の見せ所だな!!」


ミカドちゃんまで拳を合わせながら好戦的な顔になる。


「ちょちょちょちょ!!ちょっと待ってください!!なんでそうなるんです?!」


たまらず声をかければ、3人はキョトンとした顔になった。


いやいや!こっちがキョトンだからね!

なんなんだ!軍って!!


そんな物騒なものをなんで結成しなきゃならないんだ!


「それは、敵陣になるかもしれぬ場所へ赴くのじゃ。当然であろう?」

「そうね。万が一、戦闘になった時のために、準備は必要よ。」


何を当たり前のことを、とでも言いたげにエレンダールさんとリーズレットさんに言われてしまう。


「いや、でも!軍なんて……」


あまりにも自分の人生に縁遠い事態にただオロオロするばかりだ。


「総大将は嬢ちゃんだとして、司令官はどうする?」


私が狼狽えているのに構いもせず、ラウムさんが続ける。


「副将はユウリちゃんがいいと思うわ。ユウリちゃんにはトキコちゃんのそばでトキコちゃんの守備役をしてもらう、でどうかしら?」


エレンダールさんもそんなことを言い出して、侑李も目を丸くした。


「大切な事を決めておらぬぞ。我が軍の名はどうするのじゃ?」


リーズレットさんがそう言うと、周囲は息をのんだ。


「そうだったわ……!」

「大失態をするところだったぜ!」

「まずはそこから決めようぜ!!」


エレンダールさん、ラウムさん、ミカドちゃんは口々にそう言って。



ちょっと!!

どんどん勝手に話が進んでるんだけど!!


私、軍を作るなんて認めてないからね?!






お読みくださりありがとうございます。

更新がなかなか進まず、申し訳ありません。


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