一章 9 『計画始動』
その日の日課を終えた進藤。夕食を終えて自分の部屋に戻った。そしてみんな寝静まったのを見計らって夜中に外に出かけた。今夜は満点の星空、ライトが無くても視界が保てるほどの明るさだった。
まあ頭には昨日作り出したヘッドライトはしっかり装備してるんですが。
ある程度アイリス家から離れた場所、ヘッドライトを点けて茂みの中をかき分けて入って行く。行き着いた先には開けた場所があった。ここなら周りから見えることもないだろう。
「よし・・・ここなら大丈夫だろう」
わざわざ夜中に家をこっそり抜け出したのには理由があった。進藤には試したいことがあったのだ。
「さてと、じゃあやってみますか・・・!」
進藤は頭の中で思い描く。出来るだけ正確で的確に精密且つ精巧に・・・
「さあ!出てこい!」
力を強く叫ぶ進藤。
目の前に巨大なシルエットが現れた。それを見て進藤はガッツポーズをする、成功の証だった。
進藤が作り出したのは巨大なショベルカーだった。
ショベルとはキャタピラで移動して長く伸びた腕の部分で地面を掘り起こしたりする作業に使う大型機械である。大抵の工事現場にはその姿があるだろう。まさに土木作業の必需品と言える機械である。
操縦席に乗り込む進藤。ショベルカーのエンジンを始動する。
ブロロォォオオオオン!!
始動音と共にモニターが明るくなり機械が動き出した。
「よしっ・・!」
次に椅子の左右にはレバーが二つあり、足元にはペダルが装備されている。これの組み合わせで機械を操作する。軽くアーム部分を上下させた。問題なく操作できる。
試しに近くを軽く掘ってみた。馬力も問題ない。サクサク地面を掘り上げていく。。
「よっしゃー!成功だ!こんな大きい機械できるか心配だったけどどうやらうまくいったみたいだな!!」
結果に満足の様子の進藤。
「いやー本当良かった。社畜時代に機械の免許一通り取っといて良かったわー・・・まあ全部自腹だったんだけど。ホント今思い出してもムカついてくるぜ。どんだけブラックだったんだよあの会社!」
自腹だったからこそ試験に落ちるわけにはいかず、進藤は全ての試験を猛勉強の末、一発で合格し続けてきた。その結果次々と新しい資格を取るよう指示されいつの間にか進藤は履歴書の欄に書ききれないほどの資格を取得していたのだった。
「これがあれば一気に目標に近づけるな・・・!フフフ」
進藤は不敵な笑みを見せていた。
ひとまず目的の物を作り出すことに成功した進藤はショベルカーにシートを被せて隠しアイリス家に戻った。
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翌朝も本日も昨日と変わらず快晴だった。
「セリカ、悪いんだけど余っているお酒ってあるかな?」
アイリスの母親のセリカに進藤が尋ねた。
「お酒?それならワインがいくつかあるけどどうしたの?まさか朝からお酒飲むの?」
唐突な質問にセリカが驚いた様子だった。
「いやいやそういうわけじゃないよ!俺が飲むわけじゃないんだけど良かったら一つ譲ってもらえないかな?」
「ふーん・・・まあ別に構わないけど。あんまり飲み過ぎないようにね」
「だから俺が飲むわけじゃないってば!」
そういってセリカは瓶に入った新品のワインを一本進藤に渡した。それから朝食のパンを二つほど部屋に持ち帰った。あと少量の塩を荷物にまとめた。
それから馬に乗りいつも水を汲みに行く川の方に向かった。しかし今日は水汲みが目的じゃない。いつも水を汲む川のさらに上流に大きな湖があることをアイリスに聞いていた。進藤はその湖に向かっていた。




