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二章 12 『王都・・・侵略?』


 サラスと約束を交わした進藤はアイリス家に戻ると休む間もなくさっそく行動に移した。


 進藤が作り出したショベルカーに乗り込み地面を掘り始める。掘り始めた場所は最初に水道管を立ち上げた場所だ。


 「な、なに!?どうしたの!?」


 ショベルカーの運転音を聞いてアイリスが驚いて駆け付けた。


 「あ!アイリス!驚かせて悪いな!ちょっと今日からまたしないといけないことが出来ちゃって!」

 「しないといけないこと・・・?」

 「うん!二、三日は家に帰れないかもしれないよ!」


 今度は心配させないようにきちんと事前に伝えといた。


 「そうなの!?なんかすごい大変そうだね・・・アイリスに手伝えることは何かあるー!?」

 「そうだな・・・それじゃあお昼と朝だけでいいからお弁当を届けてくれないかな?」

 「うん!わかった!それならちゃんと届けるよ!でも夜はいいの?」

 「夜は暗くて危ないからね!大丈夫だよ!その代わり一回の弁当の量は大盛りで頼むよ!」

 「わかった!お腹いっぱいになれるお弁当作るね!」


 アイリスがはりきった様子で答えた。


 「ありがと!期待して待ってるよ!・・・さてとそれじゃああんまり時間かけるとアイリス達にも心配かけちゃうしバリバリ進めちゃいますか!」


 進藤も再度気合を入れてショベルカーで掘り進めた。掘り進める方角は王都に向かってだった。


 慣れた手つきでサクサク作業を進めていく進藤。分岐させた水道管を王都に向けて延長させていく。


 徐々に王都に近づいていったのだがここで進藤はある心配をした。


 「さすがに王都の近くをこいつで動き回るのはマズイよな・・・?どんな騒ぎになるかわかんねーし」


 今までは人がいないこともあってあまり考えていなかったがあの王都の人の出入りの多さだ。さすがにこれが見つかれば騒ぎになるだろう。


 そう考えた進藤はショベルカーに木や草などを機械の周りに装飾して擬態を試みた。完璧とはいえないまでもそれなりに形にはなった。


 「・・・ちょっと不格好だけどしないよりはましだよな。あとは・・・勝負は夜だな!」


 昼間は周りに人がいないこと確認しつつ作業を進めた。今までに比べて作業スピードは落ちるが仕方なない。その分夜間の作業を重点的に進めることにした。


 夜はほとんど馬車の往来も確認できなかった。これは進藤にとってありがたいことだ。


 昼間の遅れを取り戻すべく徹夜で作業を進める進藤。ライトで身の回りだけを照らしてひたすら王都を目指して水道管を伸ばし続けた。


 翌朝、明るくなったので作業スピードを落としていた進藤に見慣れた馬車が見えた。アイリス家の馬車だ。シルバとアイリスが一緒に乗っている。


 擬態を施しているのでもしかしたら気づかず通り過ぎてしまうかもしれない、進藤は運転席から出て叫んだ。


 「おーい!アイリス!シルバ!」

 「・・・あ!進藤お兄ちゃんいたよ!」

 

 アイリスが進藤に気づき手を振ってくれた。馬車で進藤の近くまで駆け寄ってくれた。


 「はいっ!進藤お兄ちゃん!今日のお弁当だよ!」

 「おお!ありがとう!すっかりお腹ペコペコだよ!・・・て、重っ!」


 受け取った弁当の重量感は半端なかった。進藤の注文通り大盛りで持ってきてくれたのだろう。


 「エヘヘ!進藤お兄ちゃんの言うとおり大盛りだよ!アイリスが作ったんだよ!」

 「そうなのか!?それはありがたくいただくよ!」

 「進藤、頑張っているようだね。今回は何をするつもりなんだい?」


 シルバが労をねぎらいつつ声をかけてくれた。


 「ちょっと今回は俺のわがままみたいなことなんだ・・・アイリスやシルバにも迷惑かけちゃって申し訳ないな」

 「そうか・・・でも進藤のことだ。きっとこれも必要なことなんだろう?それならば一生懸命やるといいさ。私たちは迷惑だなんて思ってないよ。そうだろアイリス?」

 「うん!全然大丈夫だよ!進藤お兄ちゃんがすることなら応援するよ!」


 アイリスもシルバも笑顔で応援してくれていた。


 「アイリス、シルバ・・・ありがとう!みんながいるから頑張れるよ、俺!」

 「ハハハ、君が何をするのか期待してるよ。それじゃあ頑張ってくれ!」

 「じゃあね進藤お兄ちゃん!またお弁当持ってくるからね!」

 「ああ!待ってるよ!」

 

 帰っていくアイリス達を見送り進藤は腹を満たして再び作業に戻った。


 二日ほどアイリス家にも戻らず作業を続けた結果。やっと王都の周りを囲む巨大な城壁が見えてきた。


 「やっと王都が見えて来たな・・・!」


 目的地が見え少し安堵する進藤。しかしここからはさらに作業を慎重に進めた。


 なるべく人通りを避けるために正門を迂回して人目の少ない城壁のほうを目指してショベルカーを動かしていった。


 そしてやっと王都の城壁の下までたどり着くことが出来た。下から見上げると城壁の上が見えなかった。


 「どうやらここまではたどり着いたな・・・さてと」


 ショベルカーから降りて城壁を見上げる進藤。外は夕方を迎えようとしていた。


 「この先は夜に作業するしかないな・・・」


 城壁を見上げ進藤は呟いた。ここまでほとんど不眠不休で作業を進めた進藤は日が沈むまで運転席で仮眠を取ることにした。


 「・・・やるか!」


 体感2時間ほど眠った進藤は勢いよく起き上がった。元社畜にとって二時間寝れば休息は十分である。


 辺りはすっかり日も沈み真っ暗になっていた。


 運転席から降りた進藤は城壁の側にあるものを作り出そうとイメージを思い浮かべる。


 「・・・良し!これだけの大きさなら大丈夫だろ!」


 進藤の目の前に現れたのは巨大なクレーン車だった。クレーン車のアーム部分は空に向かって伸びており夜空の中でアームの先の部分は見えなかった。


 クレーン車からゴンドラを吊って進藤は乗り込んだ。リモコンでクレーンの操作をしながら自身の体を城壁の上の方に吊り上げて行った。


 夜間で作業が悪い中、城壁にぶつからないように慎重に作業を進める進藤。明かりは頭のヘッドライトだけが頼りだ。城壁の近くまで持ってきた水道管を今度は城壁に沿わせて上の方に伸ばしていった。


 水道管は外から見ても違和感がないように城壁の色に合わせて伸ばしていった。これなら明るくなってもそうそうバレないだろう。


 「・・・ふぅ。さすがにこの暗さでこんな高さに吊られるのは怖いな」


 ゴンドラから下を覗く進藤。真下は真っ暗で地面は見えなかった。さすがにこの状況では進藤も息を呑んだ。


 「ゴクッ・・・はやく終わらせて下に降りようっと」


 進藤は高所でなんとか作業を進めやっと計画していた作業まで終えることが出来た。



 「終わったー!!これさえあればサラスも王都を歩けるようになるはずだ!」


 進藤は終わった安心感から笑顔を見せた。


 それから進藤は地面に降りて目の前のクレーン車を見て考えた。


 「うーん・・・そういえば作る時は考えてなかったがこれどうしよう」


 目の前の巨大なクレーン車を見て立ち尽くす進藤。さすがにこの大きさのクレーン車を動かすのは大変だ。


 「作り出すのは出来たけど消すことも出来るのかな・・・?」


 進藤にとって初めての試みだった。


 進藤はクレーン車に向けて作り出した時と同じように丁寧に細かくイメージを脳内に描いた。


 今度は作り出すイメージは反対である。組み上げていくイメージではなく一つ一つ部品をバラバラに分解していくようにイメージを始めた。


 「・・・どうだ!?」


 何とも言えない手ごたえを感じた進藤。目を開けて確認すれば目の前の巨大なクレーン車はうっすらと青白い光を発しながらその姿を消していった。


 「ヨシッ!成功だ!良かったー・・・これで消えなかったらどうしようかと思ったわ」


 結果に安心した進藤はショベルカーに乗り込み王都を後にした。真っ暗な空の音ショベルカーのエンジン音だけが聞こえていた。


 




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