招待客
「私は滋賀咲。此方は同行人の穗積だ」
「宜しく」
時計回りで最初の自己紹介をしたのは男女のペアだ。
志賀咲は長身の女性で、黒髪のポニーテール姿は似合っており、凛とした黒い瞳は武芸者の雰囲気を漂わせている。
女性にしては低音の声がクールで淡白な印象を与える。
着崩したスーツの恰好を重なって、可愛らしいよりカッコいい言葉がよく見合う。
化粧っけのない顔は、二十代半ばと予想する。
穂積と名乗った男もスーツ姿で、此方は第一ボタンまでしっかりと締めていた。中学高校では校則違反とは無縁の生活を送ったことが容易に想像できる。年齢は滋賀咲と同じくらいで、目元の印象がやや似ていた。
そして、ヘタレの印象を抱いた。失礼かもしれないが正直な感想だ。
「俺は鳴瀬十環。同行人は一原五津と凛乃茜」
「宜しく」
「宜しくお願いしますね」
次のグループ紹介。鳴瀬十環、一原五津、凛乃茜と並んでいる。
とりあえず感想。一原五津とかなんだ、その呼びにくそうな名前は! とそこに気がいって、他の人の名前を忘れそうになった。
鳴瀬十環は一言でいえばホストみたいな外見をした男だった。職業はホストだろうかそうに違いない。
呼びにくい男、失礼。一原五津も、穂積と同様スーツを着用しているが、穂積ほど堅苦しい印象はない。しかし、紺色のネクタイとスーツと落ち着いた色合いで統一され、目をやけに細めている姿は生真面目で気難しそうな印象を受けた。
凛乃茜は明るめの茶髪を肩で岐路揃えていて、元気溌剌な印象だ。
明るく無邪気な雰囲気はホスト、スーツと並んでいるとミスマッチに感じられる。まさかホスト通いの女とかキャバ嬢というわけでもあるまい。
さて、これで五人折り返し地点。
「南鳴輝。同行人はなし」
唯一同行人がいない俺と同い年が年下の人物で、南鳴輝は室内でも帽子をかぶりヘッドホンをしている。もみあげだけが長く、後ろ髪は短い。中性的な容姿で性別が分かりにくい。
瞳は半分ほど閉じてあり今にも船をこいで寝てしまいそうだ。
とりあえず、自己紹介の場くらい帽子とヘッドホン脱ごうよ。
「私は綾宮朱奈 同行人は綾宮朱里で双子の妹です。宜しくお願いします」
綾宮朱里と朱奈は見分けがつかないほど同じ顔立ちで、服装や髪型まで一緒だった。どっちがどっちだかわからないので一卵性双生児だろう。
「私は緤で、こっちは同行人の終夜です。本日は宜しくお願いします」
さて、最後は俺たちの番だ。皆名前しか名乗っていないようなものなので、俺もそれに習う。
猫を被った喋り口調は俺の親しい友人を除いて、是がフォーマットだ。グラドールで笑顔を振りまく。
愛らしい俺に皆惚れればいい。
自己紹介が終わったので、次はルールの説明だろう。
流石に条件もなしにゲームを始めるなんてアンフェアなことはないはずだ。
視線が舞月に集まると、待ってましたと舞月が優美に立ち上がる。
「皆様を殺します――犯人が」
両手を合わせて舞月が楽しそうに微笑んだ。
「貴方たちは、犯人に殺される前に、犯人を見つけてくださいませ」
心から笑う姿は狂気そのもの。
これは残酷なお嬢様の暇つぶし遊戯。




