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娘に断罪される悪役公爵(37)に転生してました ~悪役ムーブをやめたのになぜか娘が『氷の令嬢』化する件~  作者: 次佐 駆人
第11章 国王マークスチュアート、国を防衛す

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05 エルフ軍合流

 翌日、王都軍はドルトン、リン両将軍の指揮のもと、陣はそのままに、北の平原に防壁を築いたり、拒馬槍を設置したり、罠などを仕掛たりと迎撃の準備を整えた。


 なお、戦場となる北の平原だが、神聖インテクルース王国と魔族領の間にある広大な平原である。川も流れ土地は肥沃で、農耕をしたり人が住んだりするには最適な平地であるのだが、魔族領が近いため旧王国時代から長らく開発されなかった土地である。


 じゃあなんでそんな平原の近くに王都を作ったんだよ! とリアル世界では突っ込みたくなるが、それについては一応理由はある。もともと魔族はもっと北に住んでいたとか、魔族の存在が知られる前に古代王朝の都ができてたとか、王都の地下には実は秘宝が眠っていて、もともとそれを護るための都だったとか。最後のはゲームにもない設定なので眉唾ものであるが。


 それはともかく昔から魔族との戦いはこの北の平原で行われことが多いので、王都軍には陣地構築のノウハウが継承されていて、さらにはゴーレムが50体ほどいるために作業の進みは非常に早い。


 俺はその様子に安心をしつつ、朝のうちにエルフたちを迎えに行くことにした。


『転移魔法』でエルフの里の、族長の館前広場に移動をすると、すでにそこには大勢のエルフたちが集まって整列していた。男女は半々だろうか、全員が長弓と矢筒と短刀、そしてマジックバッグを装備している。弓が短弓でなく長弓なのは遠距離戦を想定してだろう。短弓と長弓では扱い方がまるで違うと聞いたことがあるが、両方対応できるのがエルフの戦士というところか。


「おお、マークスチュアートではないか! 待っていたぞ!」


 美しい笑顔で迎えてくれたのは、金髪縦ロールの美女、族長のゼファラであった。


 相変わらず露出の多い服装だが、肩には一見して剛弓とわかる厳つい見た目の長弓をかけ、腰に矢筒型マジックバッグとポーチ型マジックバッグを帯びている姿は、ゲームでも見たことのある完全なエルフの戦装束である。うっすら腹筋の浮かぶ腹も含めて戦女神をも思わせる姿で、彼女が先頭に立つだけで兵の士気が上がりそうだ。


「戦準備の方は整っているようだな。感謝するぞゼファラ殿。いよいよ魔族軍が間近に迫り、明日にでも干戈を交えることになる。此度はよろしく頼む」


「うむ、我らは約を違えぬ。ワイバーンどもはすべて叩き落としてくれよう」


「エルフ族の力、大いに頼りにさせてもらう。さて、ここにいる者たちが全員ということでよろしいか?」


「少々待たれよ。アルファラ、全員揃ったか?」


 ゼファラに呼びかけられて、娘であるアルファラが金のポニーテールこなびかせてちらへ走ってきた。アルファラもゼファラとほぼ同じ格好をしているが、なんと武器としてエルフの秘宝である『破邪の弓』を装備していた。なお彼女もゼファラに負けず劣らず露出が高く、目のやり場に困ってしまう。


 アルファラは俺の目の前まで来ると、意志の強そうな緑の目で見上げてくる。


 ん? なんか妙に距離感が近いような……。そういえばゼファラも先日の宴の直後あたりから距離感が変わったきがするんだよな。聖女オルティアナほどではないが、彼女たちにも距離感バグが起きたのだろうか。好感度アップのしるしであれば好ましいとは言えるのだが。


「これは人族の王マークスチュアートではないか。すでにエルフの戦士は全員が臨戦態勢だ。いつでも出られるぞ」


「うむ、恐らく戦うのは明日になるが、緊張感は保つようにしてもらいたい。人数は揃ったということでよいのかな?」


「戦士510名、欠けることなく揃っている。もちろん貴殿の薬によって全員が体調も万全だ」


「それは重畳。では『転移魔法』を使う。ゼファラ殿もよいか?」


「いつでも問題ない」


 そう言って、ゼファラはエルフたちに「これより転移する!」と宣言した。


「では行くぞ」


 俺が声を掛けると、ゼファラとアルファラが左右から俺の腕を掴んでくる。どうやらフォルシーナたちの真似をしているようだ。なんか微妙にエルフたちの視線が生暖かい気もするが……俺は『転移魔法』を発動した。




 転移先は、陣中の一角である。


 すでに将軍ドルトンとリン、それからフォルシーナたちが待っていた。


 転移したエルフ兵たちは、初めての『転移魔法』に周囲を見回してザワついている。


 ゼファラとアルファラは一度経験をしてもらっているので驚きはないはずだが、なぜか俺の腕を取ってぴったりと身体をくっつけている。


 それを見てフォルシーナが一瞬冷気をまとったのは、もしかして俺がゼファラたちを騙して腕をつながせてると勘違いされたからだろうか。俺はそっと2人の腕を外そうとしたが、なぜか2人にさらにしがみつかれる結果となった。


「ゼファラ殿、アルファラ殿、もう転移しているので腕を離してもらえぬか」


「む、そうか? 失礼した」


「マークスチュアートがそう言うなら」


 言葉をかけるとさすがに離れたのだが、エルフは外聞をあまり気にしないところがあるのだろうか。特にアルファラは俺のことを女好きだと警戒していたはずなんだがなあ。


 それは今考えることでもないので、俺は先ほどから驚愕の表情で凍り付いている将軍のドルトンとリンを呼びよせた。


「ドルトン将軍、リン将軍、こちらが今回援軍として駆けつけてくれたエルフ族の戦士たちだ。弓術と魔法に極めて長けており、ワイバーンの迎撃を行ってもらうよう頼んである。こちらが族長のゼファラ殿と、そのご息女のアルファラ殿だ」


「へ、へえ。これはその……本日はお日柄もよく……じゃなくて、自分は王国将軍をやってるドルトンという者でさ。よろしくお願いしやす」


「初にお目にかかります、神聖インテクルース王国将軍のリン・ラシュアルと申します。エルフ族の助力、大変感謝いたします」


 いかにも一族の長といった風格を漂わせるゼファラにドルトンはしどろもどろになり、リンは礼を失しないように挨拶をする。


 ドルトンはいつもの小心者ムーブかと思いきや、目が泳いでいるのでゼファラの美しさと露出の多さにやられてしまっているようだ。男としては共感できるところではある。


「エルフ族の長、ゼファラだ。マークスチュアート王の要請によりまかり越した。空のモンスターに関しては我らの力をあてにしてもらいたい。よろしく頼む」


「ゼファラの娘、アルファラです。よろしくお願いします」


 ゼファラはいつも通り、アルファラは珍しく敬語で挨拶をしているので、一応は場をわきまえているのだろうか。その割に俺に対する言葉遣いは変わらないのだが。


「エルフ族はこちらに野営をしてもらって今晩は過ごしてもらうが、まだ正式には交流を持っている状態ではない。彼らにはこの区域から出ないようにしてもらうので、兵士たちも接触をとらないように注意をしておいて欲しい」


「了解しやした。アホなことはしないようにきつく注意しときやす」


「承知しました。協力いただく客人に失礼のないよう厳命いたします」


 その後いくつか戦場での動きを確認し、ドルトンとリンにはそれぞれの持ち場へと戻ってもらった。


 ゼファラ達には事前に準備しておいた野営場所について、ミアールに説明させた。


 エルフ兵らは場所が確定すると、ゼファラの指示で一斉にマジックバッグからテントを出して設営を始めた。その様子は非常に手慣れていて、彼らが戦いの中で生きている人間なのだと再確認する。


「エルフ族はこのような戦いの場にも慣れているのだな」


「モンスターの集団と戦うこともあるからな。里を数日離れて狩りをすることもあるので、野営も慣れたものだ」


「頼もしい限りだ。それからゼファラ殿とアルファラ殿については天幕を別に用意しているのでそちらで過ごされるとよい」


「貴殿は『モバイルフォートレス』という素晴らしい魔道具を持っていると聞いたが」


「それは私の天幕代わりに使っている。寝床には余りがあるのでお二人に入ってもらうことは不可能ではないが……」


「ならば是非そちらで頼む」


 やたらと力強く迫ってくるゼファラ。まあアルファラはあの快適性を知っているからな。話を聞いたゼファラが泊まりたいと言い出すのは仕方ないだろう。


 ただエルフの族長親子が俺と同じところに寝泊まりするというのはどうかと思うのだが、俺が別のテントに行こうとするとフォルシーナたちが全力で止めてくるからなあ。


 と思いながら、俺はゼファラとアルファラを連れて、自分の天幕である『モバイルフォートレス』の方へと向かった。

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