新しいこと。(2)
ライト
体が光になるスキルを持つ。元々は独りだったが、諸々事情があり、今はミラー、ウルと仲良し三人組。
ミラー
鏡のように反射する壁を出すスキルを持つ。応用すればその壁に吸い込むこともできる。
ウル
物体創造のスキルを持つ。(シルクと同じ)ガロロン似。いつもお菓子をくれるバルカンを慕っている…?
霧の中。
一人歩く。
深い…霧の中。
独り…歩く。
「どうしたの?急に」
「ごめん。良い感じの言葉を探してたんだけど…見つからなかった。」
「ふーん。」
深い深い霧の中を一人…ではなく二人で歩くホルムとジュピター。
「ところでさ。何でこんな霧の中進んでるわけ?」
「ちょっと実家帰るから。」
ほぇ~と気の抜けた返事をしながら、ホルムの周りをふよふよと漂うジュピター。背景と同化してわかりずらい。
「あれ?どこいった?」
「こっちこっち~♪」
「あ、あんなところに!」
「あっはっは~!鬼さんこちら~♪」
楽しそうなジュピターを横目で見ながら、スタスタと前に進むホルム。と、
「……………うわ。」
「ど~~~したの?…あは。」
目の前に血痕。そのさらに先に人が、転がっていた。
「どっかでやってるのかな…」
「いーじゃんいーじゃん!!やろうよ!!僕らも!!」
「いや…だめでしょ…」
冷静にジュピターを押さえ込み、先に進もうとしたその時。
「………ばぁ。」
「~~~~~!!!!」
声にならない悲鳴をあげたホルムの後ろには、顔が隠れるほど前髪を下ろし、手には血がびっしょり……
「ってコラコラ。なにしてんの、こんなとこで。」
偵察者、オークスである。前髪かと思ったそれは、よく見るとワカメで、手についていたのは、ケチャップであった。
「びっ…ビックリしました…何してるんですかこんなところで。」
「いやこっちの質問……何って…そりゃ偵察しかないでしょう。…だからそっちこそだよ。今ここ危ないんだよ?なにしてんの?」
「こきょーにかえんの。」
驚いて暫く黙っていたジュピターが腰を抜かしたままいった。
「故郷…?……あぁ。霧の村か。そうだね。この先にあるよね。そっか。」
変に一人で納得し、何度も仕切りに周りを見ながら、頷きつつ、ジュピターを背負うオークス。
「ちょっと今、結構おっきいとこ同士がやりあってるから…それの偵察してたんだけど…でも危ないからついていくよ。」
「え、そんなの悪いですよ。」
「かみふさふさ。」
乗っけてもらっているのにぽふぽふとオークスの髪で遊びだすジュピター。
「しかもこんな子供つれてるなら尚更。」
「はぁ…ですかね…」
それにしてもジュピターが腰を抜かしたところから、気のせいか周りの霧が濃くなっているような…いつもとは違う雰囲気に、緊張するホルム。
「はぁぁ…気ィ乗らんな…」
「何が?」
「なにがー?」
「まぁそう言わず。」
ふかふかのソファに腰掛けているのは、一昨日行われた、行事の時に、登場こそ派手だったものの、直ぐにバルカンに捕まり、一悶着あった後、空になった軍の警備にまわされてしまった、侵入者のライト、ミラー、ウルである。
「いがいとながいね。」
「?なにがだよ。」
「君の髪じゃないか?」
「はいはい。話そらさない。」
そんな三人と相手しているのは、四人いる付き人のなかでも大人しめで、謎が多いカロル。
「いや気ぃ乗らねっつったけどよー。何すんのか全くわかんねーんだけどよー。」
「できたらもう帰してほしいよね。」
「あの…お菓子食べたいです。」
「はぁ…まぁ気持ちはわかるよ。まぁね。そうだよね。でももうちょっと待ってみようか。」
え?何を待つの?という見事なハモリの五秒後、大きな音をたてて扉が開き、ムスっとした顔でバルカンが入ってきた。
「あ、獣。」
「よくわかんない人。」
「お菓子くれる人!」
「え?なに、知り合い?」
カロルの質問を無視して、静かに椅子に腰を下ろしたバルカンは、明らかにイラついた態度で三人を見た。
「「「こわい…」」」
カロル含む全員がそう言うと同時に、侵入者三人の足元に真っ赤な輪っかが浮かび上がった。
「うわ。なにこr」
言うが早いか、消えるが早いか、ミラーが何か言おうとした瞬間、三人は輪っかのなかに消えてしまった。
「強引だなバルカン。なにかあったのか?」
「………別に。」
といいながら自身も先程よりさらに赤い輪の中に消えた。
「まぁ大体分かるけどね。」
結局自分は、何のためにあいつらの相手をしていたのか、という疑問も浮かべつつ、総責任者、ガロロンの元へ急ぐカロルであった。




