唐突すぎるトリック解明
アパートの現場に戻った金田一太郎と佐藤刑事。
廊下では、最初に逮捕されかけた隣人の田中次郎が、ずっと正座させられたまま足の痺れに耐えていた。
「金田一さん! コンビニの目撃証言により、被害者の変装をした人物が犯人だと分かりました! しかし、一体どうやって背中に包丁が刺さった状態を再現したのでしょうか!?」
太郎は自慢げに胸を張り、人差し指を天井に向けた。
「簡単なトリックですよ、佐藤刑事。犯人は『背中に包丁が刺さっているように見えるトリック仕掛けのTシャツ』を着てコンビニへ行ったのです!」
「な……なんだってー!? そんなバラエティグッズのようなものが!?」
「ええ。宴会芸の定番です。犯人は被害者を殺害した後、自らそのTシャツを着てコンビニへ行き、揚げ鶏を購入することで『被害者は19時42分まで生きていた』という偽のアリバイを作ろうとした……!!」
正座していた田中次郎が、思わず口を挟んだ。
「あの……すみません。僕、さっき『自分が刺しました』って言ったと思うんですけど……」
太郎は冷ややかに田中を見下ろした。
「静かにしなさい、田中さん。素人が口を挟む場面ではありません。あなたが刺したというのは、おそらく『刺したような気がした』という錯覚か、夢でも見ていたのでしょう」
「えぇ……。僕の手、今も血まみれなんですけど……」
「佐藤刑事! 現場の状況、そしてセブンイレブンでのレジ袋辞退の件……すべての線が一つに繋がりました。犯人は、この部屋の中にいます!」
佐藤刑事は周囲を見回した。部屋の中には、太郎、佐藤刑事、そしてコタツの横で横たわる被害者の遺体しかいない。
「き、金田一さん……まさか、犯人は……!?」
「そうです。犯人は——被害者の鈴木一郎本人です!!」
「な……なんだってーーー!!??」




