揺れる心と、はじめての嫉妬
週末、夏海は家で少し憂鬱な気持ちを抱えていた。
悠真と過ごす時間は確かに嬉しい。
でも、里奈のことを考えると胸の奥がぎゅっと締め付けられる。
(悠真は里奈のことも……ちょっと気になるんだよね……)
考えれば考えるほど、夏海の心は不安でいっぱいになった。
そんなとき、スマホにメッセージが届く。
里奈からだ。
「今日、少し会って話さない?」
夏海は手が震えた。
嬉しい気持ちと、少しの嫉妬と、不安が入り混じる。
(里奈……何を考えてるんだろう……)
その日の放課後、二人は駅前で待ち合わせた。
里奈は少し笑顔を見せるが、目は真剣そのもの。
「夏海ちゃん……悠真くんのこと、好きなんだよね?」
夏海は小さくうなずく。
「うん……でも、悠真は迷ってるのもわかってる」
里奈は少し口元を引き締め、視線を落とす。
「わたし……悠真のこと、少し気になるんだ。だから……夏海ちゃんに迷惑かけたくない」
その言葉に夏海の胸がぎゅっとなる。
でも、少しほっとした気持ちもあった。
里奈もまた、悠真のことで悩んでいるのだと知ったからだ。
駅前のベンチに座り、二人は少しの沈黙を共有する。
その沈黙は気まずさではなく、理解と複雑な心情を映す鏡のようだった。
そのとき、遠くから悠真が現れる。
「二人とも……ここにいたんか」
声には少し驚きと、でも穏やかな響きが混ざっていた。
夏海は胸が高鳴るのを感じる。
里奈も一瞬顔を赤らめ、目を逸らす。
悠真は二人の表情を見ながら、小さく息をつく。
「……みんな、正直に言うんじゃな。気持ちは隠さんでええ」
その言葉に、三人の胸は一層ざわめく。
友情と恋、すれ違いと嫉妬、すべてが交錯する。
でも、だからこそ、心の距離を縮めるための大事な一歩となる瞬間だった。
夏海は小さく手を握り、心の中で決意する。
(怖くても、嫉妬しても、悠真と一緒にいたい……絶対に逃さない)
里奈もまた、胸の奥で同じ決意を抱えている。
悠真の気持ちに揺れながらも、自分の心を抑えずに進む覚悟を固めた。
夕陽が三人を赤く染め、街全体が少し静かに息を潜めたように感じられた。
交錯する視線と揺れる心の中で、恋と友情の物語はさらに深く、複雑に動き始めるのだった。




