こっそり、ココロの中
放課後、家に帰っても渚の心は落ち着かない。
机に座って教科書を開いても、視線はページに定まらず、頭の中は悠真のことでいっぱいだった。
「なんであんたのことばっかり考えとるんじゃろ…」
渚は小さく呟く。ギャルで派手な自分と、恋に奥手で純情な心のギャップに、ちょっと戸惑いながらも、心の奥では嬉しくて仕方ない。
机の上には、今日屋上で分け合ったチョコの包み紙が小さく残っている。
「…まだ、余韻に浸っとるんかもしれん」
渚は微笑みながらも、顔が熱くなるのを感じた。
翌日、学校に行くと、クラスメイトの視線がまた渚を捉える。
「昨日の屋上、見たんじゃけど…あんたら付き合っとるん?」
一部の子がからかうように囁く。
渚は慌てて否定する。
「違うし!ばかじゃな!」
でも、胸の奥は小さく高鳴っている。
授業中も、渚の心は悠真のことばかり。ノートを取りながらも、横目で彼の姿を追ってしまう。
悠真がふと目を合わせると、渚はドキッとして視線を逸らす。
「あぁ…うち、完全に恋しとるんじゃろか…」
心の中で自問自答する。
放課後の屋上で、また二人で過ごす時間を想像するだけで、胸がぎゅーっと締め付けられる。
「でも、どうしたらええんじゃろ…自分から話しかけたら変に思われるかもしれんし」
ギャルの明るさと純情な気持ちのせめぎ合いで、渚は悩む。
その夜、布団に入っても、頭の中は悠真のことでいっぱい。
「うち…あんたに、どう思われたいんじゃろか…」
こっそり、心のなかでつぶやく渚。
ギャルの顔の裏に隠した純情な恋心が、少しずつ、自分でも止められないほど大きくなっていく――。




