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晴れの国で、恋をした  作者: 櫻木サヱ
うちらの、岡山

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6/101

屋上とチョコと、風の匂い

放課後の学校は、教室から廊下まで静まり返っていた。

渚はいつものように屋上へ向かう。風が金髪を揺らし、ピンクネイルが光を反射してキラキラと輝く。


「はぁ…今日も疲れたじゃな」

一人つぶやきながら、屋上の柵に腰かける。

空は夕焼けで赤く染まり、風にはほんのり川の匂いが混ざっている。倉敷らしい、落ち着く匂いだ。


すると、遠くから声がした。

「渚、ここにおったんか」

振り返ると、悠真が立っていた。放課後の校舎で、二人きりになるのは初めてだ。


「なんであんたここにおるん?」渚は少し照れながら言う。

「偶然じゃけぇ…」悠真も少し顔を赤くして答える。


二人は屋上の隅に腰を下ろす。

渚がバッグから小さなチョコを取り出す。

「今日、ちょっと食べたい気分じゃったんよ」

悠真は少し驚いた顔でチョコを見る。

「ありがとう…」

その一言に、渚の心臓はドキドキと跳ねる。


風が二人の間を吹き抜ける。夕焼けの光に包まれ、なんだか特別な時間が流れているように感じた。

「うち…なんか、あんたといると変な気分になるんよな…」

渚は少し恥ずかしそうに、でも素直に言葉を吐き出した。


悠真もまた心臓がぎゅっと締め付けられるのを感じていた。

「俺も…なんか、落ち着く気がする」

二人はお互いを見つめ合い、言葉にしなくても伝わる何かを感じる。


チョコを分け合い、笑い合い、風と夕焼けの匂いに包まれながら、渚は思った。

「恋って…ほんまに、こんな気持ちになるんじゃな…」


屋上の風は二人をやさしく包み、少しずつ、でも確実に距離を縮めていく。

ギャルで派手な渚の胸の奥、純情な恋心は、悠真に向かってまっすぐに育ち始めていた。

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