偶然のhug
放課後の図書室。
窓から差し込む夕陽が、机や椅子の影を長く伸ばす中、悠真は静かに里奈に歩み寄る。
「里奈、大丈夫か?」
図書室で散らばった資料を見て、自然と声が出る。
その瞬間、里奈は慌てて手を伸ばして資料を拾おうとするが、バランスを崩してしまう。
「あ、ちょっと……」
里奈が小さく声をあげた瞬間、二人の体はふわりと接触し、思わず抱きしめる形になってしまった。
里奈の頬が真っ赤に染まり、心臓が早鐘のように打つ。
「え、えっと……ごめん……」
顔を逸らす里奈を、悠真はそっと抱きしめたままおでこに軽くキスをする。
「わし……お前を守りたいだけじゃけぇ……」
悠真の誠実な言葉に、里奈は胸の奥がぎゅっと熱くなる。
(……わし……好きかもしれん……でも、悠真は美咲のこともある……)
葛藤と胸キュンが同時に押し寄せ、言葉にならない感情で心がいっぱいになる。
その瞬間、美咲が図書室の窓越しに二人の様子を目撃してしまう。
(……悠真と里奈が……!?)
胸の奥が締め付けられ、視線を逸らせない。
でも美咲はすぐに呼吸を整え、自分に言い聞かせる。
(……わし、悠真のこと諦めんと……でも、これで前に進めるんじゃ……)
遠くで美月がその様子を見守る。
(……あんたたち、えらい急接近じゃな……でも、これが青春じゃ……)
美月の目には、友情と少しの切なさ、そしてドキドキが混ざった光が宿る。
図書室の窓から差し込む夕陽が、二人の長い影を床に落とし、柔らかい光が包み込む。
甘酸っぱい余韻と切なさが、静かに胸に染み込んでいった――。
里奈がそっと手を離すと、二人は少し距離を置きつつも、微笑みを交わす。
(……この気持ち……どうしたらええんじゃろ……)
心の中で揺れる感情が、静かに、でも確かに成長していく瞬間だった。




