颶風の夢
今回は恒例の夢回!
私がエクストラ予定で用意していたけど出番がなくて不遇になったある子の夢です!
この小説には、微グロ、自己解釈、フェレットではなくイタチが含まれます。
苦手な方は梅雨が開けたと思ったら秋が来たらしい事実に驚きながら回避を!
そうでない方はお盆をゆっくりすごす計画でもたてながら、
ゆっくりしていってくださいね!
今宵も兎は夢を見る。
此度の夢は若草色の夢。
血を吐き同族を憂いた者の夢・・・。
気がつくと、平原に立っていた。
小さな草花達で彩られた一面の緑の世界だ。
桜の時の反応からして、
またどっかの夢に紛れ込んでしまっているようだ。
――今度は・・・誰のだ?
見回すと小さな少女が小さな白い何かを抱いて座り込んでいる。
背丈はそれ程なく、所々に金属質の飾りの着いた服をしゃらん、しゃらん、と音をたてながらその何かへといやいやと真っ白な髪の頭を横に振る。
どことなく力がなく、悲しそうな雰囲気だ。
「死ぬな!野分行くなっ!
私を一人にしないでくれっ!」
悲壮を含んだ叫びが平原を駆ける。
白い何かは所々がさらさらと溶けるように消えていっており、残っているところをよく見るとフェレットのように細長い獣の姿をしている。
「お嬢・・・悲しまないでくだせいや・・・・・・。
これが、鎌鼬の運命ですからに・・・・・・」
そういったきり獣は赤い目を閉じ、
再び口を開くことはないままにさらさらと虚空へ溶けていった。
「野分ぃぃ・・・・・」
手の中に唯一残った金属質の何かの握りしめ、
悲しみの表情を浮かべる。
「皆・・・行っちゃった・・・・・・。
あはは・・・。
なんでなの・・・・・・?
なんで皆消えちゃうのっ?」
疑問の言葉を吐き続けるも、答える声は無い。
僕もこの夢では言葉を出せないようだし、
この問への答えは帰ってくることは無いだろう。
しばらく泣いて気がすんだのか、
少女はゆっくりと立ち上がる。
その目には怒りが在った。
「・・・・・・。
あいつらのせいだ。」
少女が金属質の何かを服へと押し当てる。
すると元からそこにあったかの様に他のものと同様に服の飾りとなる。
「人間どもに率いられたあの破壊者が風をめちゃくちゃにしたせいだ。
逢魔ヶ刻の風を弾いて無くしてしまったアイツのせいだっ!」
少女が怒りに任せて叫ぶ度にあたりに風が吹き荒れ、葉の緑や花の白が舞い踊る。
「私は此処に誓う・・・・・・。
これ以上あいつらをのさばらせないと!」
赤い瞳をさらに紅くして叫び、空へと飛翔する。
巻き起こる風で舞い踊っていた草花たちがすりおろされ、踊るのは風だけとなる。
引っ張られるようにして空を着いていくと、
異質な都市が見える。
幾つも大社と名乗れそうな規模の神社が点在し、
その周りに未来都市と言えるような町並みが広がる。
空をパイプが埋め尽くし、その上を人の乗った何かが行き来する。
――これは原作の月の都市の地上にあった頃のことなのか?
たしか、月の人々も元々は地上にいた人達で、
穢れを嫌って月へ移住した・・・って感じじゃなかったっけ?
考え事をしているうちに神社上空まで行き着き、
境内へと降り立つ。
「風神、覚悟を決めろ!
貴様を殺しに来たっ!」
入口にある石の狛犬と獅子を風でなぎ倒し、
飛び蹴りで本殿の扉と賽銭箱を木屑へと変貌させる。
そして、誰もいない社殿の中を風でズタズタにし、神体となっている神鏡を叩き割ろうと蹴りを放つ。
「なんだ・・・?
こちとら此処で留守番に成るって聞いて虫の居場所が最悪に悪いってのによぉ?」
蹴りを受け止め、鏡を守る物が現れる。
風貌は荒く、そこらのヤンキーに和服を着せてしめ縄を背負わせたらおんなじ感じになるのでは、と言った有様だ。
ただ、放つ威圧は恐ろしいものが有る。
桜が影分身してる時に本殿の入口あたりから感じた殺気と同じ質を持っていて、震えが止まらない。
「貴様が風神だな?
貴様が風をいじるせいで私達は絶滅するところだっ!
殺して償ってもらうぞっ!」
それにおじけづくことなく少女が切りかかった所で視界が黒く染まる。
どうやら戦闘中のことは記憶がぶっ飛んで夢にも出来ないらしい。
しばらく待つと、黒いものが晴れて神社の様子が目に飛び込んでくる。
血がところどころへ飛び散り切り刻まれた石畳。
切り倒された先が消え去った白い神木。
粉砕されて後から来た人らしきものを下敷きにした鳥居。
無残そのものの姿へと変わり果てていた。
「な・・・っ!?
風が集まれば湧く程度の妖怪に私が・・・っ!?」
口を開いたのは片手片足が吹き飛び、しめ縄も細切れになって胴体に至っては木材で地面に縫い止められた風神。
「ただのザコだとしてもその力を幾千、幾万もの数を重ねればある程度は反逆くらいはできるのよ?
風神さん?」
一方、答えたのは衣服は最早用を成しておらず、両足が潰れ、片手も消え去りつつある妖の少女。
腕の力で男神の胸ぐらあたりまで這い寄った少女が裂けたような笑みを浮かべる。
「そして、
似た力を持っているからこそ貴方の血肉から力を奪えるのよ?
ちょうどさっき逃げ帰った子が畏怖を覚えてくれたお陰で妖神に成れる訳だし・・・。
神の肉の毒なんてあってないものなの。
・・・・・・大人しく糧になりなさい。」
男神の腹へ少女が食らいつき、咀嚼する。
風神は暴れるが、両手でしっかりとだき抱えた少女が外れることなくその食事は続いていく。
痛みで神の目は何処も見ることは無くなり、
口は意味を成す言葉を紡げない。
1口頬張る度に神の傷は深くえぐれ、
少女の傷は癒えていく。
また頬張ると神の力は減り、
少女は莫大な力を手に入れる。
・・・・・・・・・やがて、神は頭部を残し、全てを喰らわれた。
「さよなら、風神さん。
貴方の鏡はきっちりと食べさせていただいたよ!
貴方の信仰の力も奪い尽くしたし・・・・・・
無様に死んだら?きゃはっ♪」
口調が変化し、
少女の髪は白から若草色へと変色した。
それと共に少女へ寄り添っていた鎌鼬達の亡骸も風化し、さらさらと崩れて少女へ取り込まれていく。
そして、
「うーん、どうしよっかな・・・・・・?
こんなんじゃ、今までの私とは言えないよね・・・。」
僕を月光の中へ放り込んだ張本人・・・。
「そうだ!
風を吹かせたり止めたり出来るようになったし、
こうしよう!
私は今日から・・・風間 太刀だっ!!」
奴が生まれた。
そこで夢は途切れて暗転した。
風間の意味。
1、風の吹いている間の事。
2、風の止んでいる間の事。
この二つの意味を合わせ、
風を自由自在に操るものという意味でこの子の名前は決めました。




