表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/22

1

 前世を思い出した。最悪のタイミングだった。大好きなケーキを頬張らんとするその時、地味OLの一生なんてものを思い出してしまったの。至福の時が一変、地獄に突き落とされた気分。大泣きして決意した。今世は悔いのない人生を生きよう!周りには怯える召使いたち。わがまま娘の癇癪玉がまた破裂した、とでも思っていそうだ。私の名前はベアトリス・モリアーティ。悪名高きモリアーティ家の一人娘。さぁ、今日から新たな人生のスタートよ!



 まず初めに向かったのは敷地内にある庭師の小屋。ここには物語の中心となる登場人物がいるはず。汗を拭う横顔は泥に塗れているが、美、美少年〜っ。流石は主要キャラ。顔の造形が桁違いである。けれどもネロが私を睨む目は冷たい。好感度は当然のことながら最悪。だって彼を日陰者にしたのは私。

「あの野良犬が屋敷の中にいるだけでもぞっとするわ」

 彼を見た時の私の第一声。あぁ、一度口に出した言葉は決して元に戻せない。格言にもある通り。ーー覆水盆に返らず、って言うものね。初対面での印象が最悪だということはわかってるの。

「ねぇ、仲直りしてあげても良くってよ!」

 顎を逸らして言ってみた。効果は抜群。少年は嫌〜なものを見た顔をしたわ。お野菜を目にした時の私と一緒ね。

「貴方にチャンスをあげると言ってるの。貴方、今日からわたくしのお友達になりなさい」

 ふふん、とネロを見ると私のことをお野菜を、いいえ大嫌いなお魚を見る目で見ているわ。なんてこと。絶世の美少女作戦が効かないなんて。

 いやよ。彼がいないと私の運命は確実に死!

「う、うえぇーーん」

「!?」

 突然大泣きした令嬢に、ネロはぎょっとしたようだ。

「お嬢様如何なされましたか!?」

 執事長を始め使用人達が慌てふためいて駆けつけて来る。あぁ、大事になってしまったわ。きっとネロは困ってしまうわね。だけど私の涙は止まらなかった。

「お前、お嬢様に何を!?」

「俺は何もしてません。触れてすらいませんよ。それとも、〝野良犬〟は近くにいるだけで罪ですか?」

 弁明をするネロの声はどこか遠い。うぇええんと泣き続ける私の顔は、きっと、ちっとも、可愛くなんてなかった。絶世の美少女作戦は失敗に終わってしまったのだ。

 世界はベアトリス・モリアーティに優しくない。常識よ。私は嫌われて者の悪女で、このままではバッドエンド真っしぐら。だってここは乙女ゲームの世界なんですもの!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ