阿吽コンビ
俺たちは生き残っていた。あの無数の矢のほとんどを避けきったのだ。方法は簡単、まずは剣を泥に差し込む。その剣を足場にして立ち上がる。そしてその剣を抜くと同時に泥の範囲から離れる。だが流石に全てを避け切ることはできない。俺も桜さんもボロボロだ。
「…どうやって生き残ったのかはわからんが、ここまでだ。」
再び男は魔法陣を展開する。だが、それより早く俺たちは距離を潰しに行っていた。このゲームにはステータス割り振りが存在する。レベルアップでランダムなステータスが上がると同時にステータスポイントが一つ得られる。それを使って好きなステータスを上げることができる。そして俺が選んだのは素早さ。今の俺の素早さは男が魔法を展開するよりも早いのだ。桜さんは防御力と攻撃力に振っており、俺より脱出が遅く多くの矢をくらったが生き残れたのはそれが理由だ。
「くっ…」
「させるか!」
後ろの二人がそれを阻止しようと俺たちに襲いかかる。だが、俺たちはその二人をぬるりと避ける。構っている暇はない。今はその二人以上に目の前の男の処理を優先するべきだからだ。すでに俺たちは男を射程圏内に入れるまで近づいていた。
「ここまで来たら」
『剣の方が有利ですよ』
「だが俺とお前たちにはレベル差が!」
「それを覆すためのスキルでしょう」
スキル、一定レベルを超えたり、特定の条件を達成すると手に入る力で、職業ごとにもらえるスキルが違ったりする。
『《抜刀》』
「《一閃》」
俺と桜さんはほぼ同時にスキルを発動する。そのスキルによって、男のHPは相当削れた。
「さてどうしますか?」
『見逃してあげてもいいですよぉ?』
「くそが…こんなところで負けてたまるか!」
男がインベントリーから小さな球体を取り出す。形状からして煙幕弾だ。即座に俺はその手を攻撃、桜さんは男の首をはねた。このゲームはよくできていて、急所を攻撃すると大ダメージが入る。首もその一つだ。男はそのまま死んだ。
「君たちはどうしますか?」
「ヒッ!」
「すみませんでしたー!」
そう言って男たちはいなくなった。
《スッキリしたー!》
《まさか勝つとは思ってなかった。》
《逃げた奴らも倒そう!》
「流石にそこまではしませんよ。ね?」
『うん。面倒ごとはごめんだからね。ま、もう面倒ごとにはなってそうだけど…』
《それはそう》
《狙われそうだよな》
《また返り討ちだろうな》
「ま、ひと段落つきましたし、時間も時間ですから、終わりますか」
『そうですね!では乙さくでした〜!』
「お疲れ様でした」
《乙》
《乙さく》
《乙冬》
そしてこの日のコラボ配信は終わったのだった。だがその数日後…
「エコーボイス最強決定戦への参加?」
俺のメールに変なものが届いていた。




