コラボ申請
『こんにちはー!綿本ふわりでーす』
「こんにちは、桜さんのマネージャーです」
私は先輩Vtuberである綿本ふわりさんとコラボすることになっていた。どうしてこうなったのかは俺の初配信終了後にまで遡る。
「コラボのお誘い?」
急に来たお誘い。それはエコーボイス4期生の綿本ふわりさんからだった。具体的にはマルチプレイのフリーゲームをプレイしたいとのこと。でも始めたばかりのVがこんなに早くコラボしてもいいものなのだろうか?桜さんですら、同期の方とのコラボがメインで先輩Vとはガッツリとしたコラボはほとんどしていない。実質9.5期生の私が4期生の先輩と二回目の配信からコラボはしてもいいのだろうか?俺がそんなことを気にしているとさらにDMが届いてくる。
〈もし先輩後輩を気にしているなら大丈夫ですよ。一応上の人たちには聞いてますし、私のマネージャーからも許可取ってます。〉
さすがというべきか。ちゃんとそういうところの対応はしてくれているらし。だがこれは上司の意見がどうこうではなく、客観的に見た時の良し悪しなためどうしようもない。
「うーん……」
ここはしょうがない。あの人に頼ってみるか……
俺はとある人に電話をかけた。
「はいもしもし〜」
「あ、聖さんですか?」
「その声は雪くんかな?どうしたのー?」
この人は坂本聖さん。俺と同じエコーボイスで働く先輩マネージャーだ。何かと相談に乗ってもらうことが多い面倒見のいいお姉ちゃんでもある。
「それが…」
俺は今の状況を聖さんに話す。
「なるほどねー…私の意見だけど、コラボしてもいいんじゃないかな」
「そうですか?」
「うん。もちろんVtuber内というか、事務所的には独り立ちするまで他の先輩とのコラボはあまりして欲しくは無いと思うんだけど、それって登録者が流れることで自分のファンじゃないのに自分のファンって勘違いしがちだからだと思うの。」
「どういうことですか?」
「例えばA推しだけどAとBのコラボが好きな人がAもBもチャンネル登録をしたとしましょう。その場合その人はどっちのファンだと思う?」
「えー、それはもちろんAですよね?」
「そう!つまりはBは登録者は増えるけどファン自体はそれでは増えてないの。長年ストリーマーとかそういうのをやってるとわかってくるのよ。でも初心者ってのはそういうのに気づけないわけ。登録者が全員ファンだと思っちゃう。その点は雪くんは大丈夫だと思うけどね」
「それはそうかもですね」
「結局事務所がそういうのを避ける理由の一つがそれって話。でも雪くんはそんな勘違いをしない。ならコラボしてもいいんじゃないって感じ。それに向こうのマネージャーが了承したということは少なからず向こうにも利益があるということ。雪くんは今や有名人だからね。エコーボイス初のマネージャーV化だし。そんな今話題の君を逃すまいと最速でコラボを申請したって感じだろうね〜」
「なるほど…」
そう考えると向こうにも利益は大きいのかもしれない。話題に乗るということは人が来てくれるということ。そこからファンを作り出せるかどうかは実力次第だが、それでも人が来なければその実力すら無意味。人が来るというだけでもストリーマーやMytuberやVtuberにとってはかなりの利益になる。
「決まりました。コラボしてきます」
「うん、期待してるね〜」
そう言って通話が終わった。
「期待してるってなんだったんだ?」




