第18話 奴隷の想い ◇
なぜでしょうか。今日のご主人様には何度もドキドキさせられています。
目が覚めたら抱き締められていたのもそうですし、目を覚ましたと思ったらキ、キスされてしまったり、今は今で急に手を繋いで……。
(ご主人様の手、柔らかい……)
どうしましょう。余計ドキドキしてきてしまいました。
無意識なのでしょうけど、わたしの女の子の部分を刺激するような出来事ばかり起きます。
それに、昨日よりももっと女の子扱いしてくださっているような……。
やっぱりそうでもないでしょうか?
(でもでも、昨日までよりもずっとわたしのことを尊重してくれていますし、大事にしてくださっているのは感じます!)
そんなことを考えていると胸の奥がじんわり温かくなってきました。愛おしさとはまた少し違った、むしろベクトルが逆の、むず痒さも入り混じったような多幸感。
……愛されている感覚、でしょうか。
安らぎを与えてくれる心温まる感情です。
でも、同時にわたしの心臓は早いリズムで脈打ち、心落ち着かなくもさせられるという矛盾した状態です。
この状態でい続けたいと思う反面、このままでいたら心臓が壊れてしまうのではないかと怖くも思います。
繋いだ手の感触、温度にドキドキしていたら、宿でのことも思い出してきてしまいました。
あの時も同じくご主人様の肌に触れていました。
とは言っても、あの時は布越しでした。しかし、それでもわたしの視界には、ご主人様の鍛えられた筋肉質の背中が何も遮るものなどなく晒されていました。
ご主人様のお体を拭くお手伝いをさせていただいたときのことです。
触れるとゴツゴツとして硬く、とても逞しく感じられました。
あの時も直視してしまったご主人様の裸に、顔を真っ赤にしてドキドキと胸を高鳴らせていました。
幸い、ご主人様の背中を拭いていたので、ご主人様にはそんなことは気づかれていないと思います。
けれど、今思い返しても、そんな逞しいお体をしたご主人様に今朝は抱き枕にされて寝ていたのだと思うと、顔から火が出るほど恥ずかしくなってしまいます。
でも、もちろん、それが嫌だったということではなく、むしろ、またあのお体に包まれてみたい、と妄想してしまう始末。我がことながら嘆かわしくなるほど愚かです……。
(けれど、仕方がないではないですか!)
お慕いさせていただいている男の方のお体にドキドキして、また抱き締めていただきたいなどと夢想してしまうのは。
確かにはしたないと思いますけれど、女の子なんですからあこがれてしまうのも無理ないと思いませんか?
誰ともなしに言い訳してしまいます。
そう、そこで私は自分自身で気付きました。
(そう……ですね。……わたしは、ご主人様のことを……)
そう思ってご主人様の横顔を盗み見ます。
ドキンッ
心臓が一際強く高鳴ります。
(ご主人様ぁ……❤)
愛おしさが胸の奥から滾々と湧き上がってきます。
心のどこかで既に分かっていたことでした。
でも、あまりに再会が運命的過ぎて受け止めきれなかったのでしょう。
もう言い訳できません。
わたしは……。
ご主人様のことを……。
(ご主人様。わたしは、貴方のことを……男性として好きになってしまいました❤)
そして、はしたない奴隷をお許しください、と熱くなった胸の内で言い訳がましく断りを入れました。




